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プライド

「相沢先輩!」


いつものように、4組で昼ご飯を食べていた拓馬達4人の元に、元気な声とともに現れたのは、小さな後輩の美緒だった。

名前を呼ばれた隆が、最初に口を開く。


「また来たのか。昼飯はどうした。食べないのか?」

「また来ちゃいました! お昼ご飯は持ってきました!」


そう言いながら巾着袋に入った弁当箱を見せつける美緒。

一花が自分の膝の上をポンポンと叩いて、『こっちへ来なさい』と無言で合図する。

美緒がそれを見て、スルスルと駆け寄っていき、ぴょんと膝の上に飛び乗った。


「そこがちびっ子の特等席になるのか」

「ほら木下君。私たちの子どもよ」

「さすがに若奥様すぎるだろ。びっくりの年の差だよ」


そうは言ったものの、大人っぽい一花と子どもっぽい美緒をセットで見ると、親子に見えなくない不思議。

それを見ていた名波が隆に向かって小声で話しかける。


「前もそうだったけど、委員長って美緒ちゃん来たとき、なんか嬉しそうだよね」

「そうか? 拓馬との擬似新婚生活を妄想して楽しんでるんじゃないのか?」

「まさかー。さすがに委員長でもそこまでしないでしょ。多分小さい子が好きなんだよ」

「その通りよ」


やっぱり聞き耳を立てていた一花が名波の推測に丸をつけた。


「私小さい子が好きなの」

「へぇ」

「この子、なんか子どもみたいで可愛くて可愛くて。あ、別に性的な意味で好きなんじゃないわよ」

「わかってるよ。逆にそっちなら困るわ」

「ウチは子どもじゃないです!」


膝の上から一花を顔だけで見上げて反論した美緒。


「ウチは小さいですけど、もう高校生です! 子ども扱いはやめてください!」

「あら。ごめんね。そーゆー意味で言ったんじゃないよ」


妙に焦っている一花が美緒に弁解をしています。

それを見た隆が美緒に言う。


「子ども扱いされるの嫌なのか?」

「はい! 好きでこんなに小さく生まれたわけではないのに、子どもだとか言われるのはちょっと嫌です!」

「お前もいろいろ考えてるんだな」

「こう見えてもいろいろ考える年頃なんです!」


胸を張ってエヘンと答える美緒。

それを上から見ていた一花は頬を赤らめた。


「でも小さくて可愛いって言われるのには反論しないよな」

「まぁそこはホントのことですから仕方ないです!」

「こいつさりげなく自分のこと可愛いって言っちゃったよ・・・」

「自分のことは自分が一番よく知っていないといけないんです! だから良いところとか悪いところとかを把握しておくのは常識です!」


だそうですよ。名波さん。


「お前の常識は何気にハードル高いな」

「相沢先輩はそーゆーのないんですか!?」

「そーゆーのって・・・?」

「プライドみたいなやつです!」

「プライドかぁ・・・特に無いかな」

「嘘つけ。隆なんかプライドの塊じゃん」


横で聞いていた拓馬がツッコミを入れた。


「無視されたら怒るし、短気だし、頑固だし」


隆のとなりでウンウンと頷く名波。一花も納得したような顔をしてます。

唯一納得出来ていない隆がくってかかります。


「そんなにか? 俺ってそんなにプライド高いか?」

「自覚無かったのかよ。口喧嘩とかすると、常に正論を叩きつけて相手をねじ伏せてる奴の、どこに謙虚な気持ちとか相手より先に折れる心を持ってるのかを教えて欲しいね」

「そうですよ! 自分の事は自分が一番良くしておかないといけないんですよ!」


拓馬と美緒の言葉に、少なからずダメージを喰らう隆。

自分で自覚がなかったことを、改めて面と向かって言われてショックだったようです。


「まぁそれでこその隆なんだけどさ。あんまり気にすんな・・・って遅かったな」


落ち込んでいるのか、パンを食べる手を止めて、がっくりと肩を落としている隆。


「相沢先輩! そんなに落ち込んでいる先輩は先輩らしくないです!」

「・・・お前が振ってきた話題だろうが」

「それでも落ち込んでいる先輩は先輩らしくないです」

「なんで二回も同じこと言ってんだ・・・」

「それは大事だからよね?」

「はい!」


一花の言葉に元気よく返事をする美緒。

そんな無駄に元気いっぱいの美緒を見ていた隆の目に、変な闘志の炎が点火された。


「ちびっ子」

「はい!」

「お前は自分のことよりも、周りを見ることが最優先じゃないのか?」

「でもウチは『相手を知るにはまずは自分から』というのが信条です!」

「自分を知ったところで、空気が読めなければダメなんだぞ?」

「空気は読むものではありません! 流れるものです! その流れに乗るのがうまい人はうまいのですが、ウチは下手くそです!」

「そこまで把握してるのかよっ!」


美緒の発言に思わずツッコミを入れてしまう隆。

そんな二人のやりとりを見ていた3人は目を合わせた。


「隆、楽しそうだな」

「そうね」

「完全に美緒ちゃんのペースだもんね」


そんなことを話しながら、各自、お弁当をパクパクと食べているのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


最近、コメディがよくわからなくなってきました。

あまり深く考えずに読んでいただけると助かります。


次回もお楽しみに!

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