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暴かれる真実

次の日。

いつものように教室へと入った隆。

先に席に座っていた一花に声をかけた。


「おう」

「おはよう。木下君に聞いたんだけど、昨日相沢君の誕生日だったんだって?」

「まぁ誕生日自体は4月だけどな」


カバンを机の横にかけて席につく隆。


「おめでと。特にプレゼントは用意してないわ」

「別に期待してねぇよ。気持ちだけもらっとくわ。ありがとな」

「いえいえ。木下君の誕生日は期待しててね」

「なんで俺が期待するんだよ。拓馬に言ってやれ」

「プレゼントはサプライズで渡すのが効果的なのよ。今から言っちゃたら効果半減じゃないの」

「拓馬なら忘れてそうだけどな」


アハハと笑い合う隆と一花。


「そういえば委員長の誕生日はいつなんだ?」

「私? 私は9月よ」

「9月か。って拓馬も9月じゃなかったか?」

「えっ! そうなの!?」


思いのほか驚いたようで、勢い良くからだごと隆のほうへ向ける。


「なんだよ。知らなかったのかよ。彼女のくせに」

「じゃあ黒木さんの誕生日知ってるの?」

「そりゃ知ってるさ。6月17日だ」

「なんで知ってるのよ」

「それは酷い言い方だな」

「誕生日なんて木下君に聞いたことないもの。ダメ?」


特に表情を変えずに上目遣いで隆に聞く一花。

しかし表情が変わらないので、そんなに効果がないようだった。


「別にダメじゃないけどさ。そこは人それぞれだから」

「き、木下君の誕生日教えてくれないかしら」

「委員長って拓馬の話になると、別人格が現れるよな」

「いいじゃないの。で、いつなのよ」


拓馬のことになるとなりふり構わずな一花のお願いを、隆が答えるはずもなかった。


「いやー。たしか6月31日とか言ってたような気がするなぁ」

「・・・31日なんてないじゃないの。もしかして言わないつもり?」

「そのくらい自分で聞いたらいいじゃん」

「な、なんて聞けばいいのよ」


わずかに赤面する一花。隆は一花のちょっとした一面を見てしまった気がした。


「委員長って実は恥ずかしがりやだったりする?」

「そ、そんなことないわよ」

「そんなことあるのか。・・・ってことは、拓馬のこと『木下君』って呼んでるのって・・・」

「・・・・・・」


完全に赤面して下を向いて沈黙する一花。そんな一花を見た隆は、沈黙を肯定と受け取ったようで話を進めていく。


「フフフ。そーゆーことだったのか。で、ホントはなんて呼びたいんだ?」

「私は別に木下君でいいのよ」

「まぁそんなに恥ずかしがることじゃないだろ。拓馬の彼女なんだから、好きに呼んでもいいんだぞ?」


まるで悪魔の囁きかのように一花に話しかける隆。

久しぶりにいじめがいのある標的が現れたので、隆もテンションアゲアゲ状態です。


「拓馬か? それともたっくんか? もっと可愛くたっちゃんか?」

「うー・・・」

「それとも木下って呼び捨てにしたいのか?」

「わ、私は・・・」

「んー?」


一花のほうに耳を傾ける隆。

そして何かを心に決めたようで、キッと顔を上げて隆に言う一花。


「私は、今までどおり木下君って呼べればそれでいいのよ。もう少し仲良くなってきたら、拓馬君とか拓馬とかって呼べればいいわよ」


そう言った一花は、少しスッキリしたような顔をしていた。


「なんだよ。結局は『木下君』か」

「いいのよそれで。別に呼び方なんて人それぞれでしょ」

「まぁ俺も委員長って呼んでるからな」

「そんなもんよ。ようは気持ちの問題なの」

「それにしても、拓馬には『一花』って呼ばせてるのはなんでだ?」

「あ、あれはもののはずみってゆーか・・・」


花見の時に雰囲気で酔っていたのは名波だけではなく、一花も少なからず酔っていたわけで、その時に『一花』と呼んでもらおうと強制したのは、勢いとその場のノリだったのだ。

そのことを隆に説明すると、隆は意味ありげに頷いていた。


「じゃああれか。あの時に拓馬の腕にしがみついてたのが本当の委員長で、いつもここでクールを気取ってるのは偽物の委員長ってわけなのか」

「なによその設定。どこの中二病よ」

「あ、中二病って言われて思い出したけど、委員長って『氷の女王』とか『銀世界の女神』とか言われてるんだってよ」

「誰が言ってたのよ」

「委員長のファン」


さも当然に言っておりますが、学校で個人にファンがつくことはおかしいことなので、みなさんは学校でのそーゆー会話は控えましょう。


「黒木さんとかにファンがつくならわかるけど、私にファンがつくってどーゆー趣味なのかしら」

「多分、ドMの集まりとかなんじゃないか?」

「やめてよ。私はSじゃないわ」

「マジで? ずっとSかと思ってた」

「木下君の前ではいつでもMよ」

「それは知らんけど。委員長って時々冷たい時あるよな」

「そんなこと言われても、基本的に無表情だし、興味ある人にしか懐かないからそう思われてるだけよ。実際はSでもMでもないわ」

「ふーん。まぁそんなもんなのかねぇ」

「そんなもんよ」


キーンコーンカーンコーン


遅刻を告げるチャイムと共に担任が現れて、一花に号令をするように指示する。


「起立。礼。着席」


そしていつものように朝のホームルームが始まった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


照れる一花さん可愛いですね。


次回もお楽しみに!



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