久々の通学路
GW明けの通学路はなんだかとても懐かしい感じがしました。
拓馬達4人は、この連休中に大阪に旅行に行っていたので、なおさら懐かしく感じました。
「なんかすごい久しぶりに来る気がするなー」
「まぁ実際4連休明けとか久しぶりと言っても過言ではないな」
「いよーっす!」
いつものように学校への道を歩いていた拓馬と隆に、背後からの元気な挨拶とともにやってきたのは、隆と同じクラスの来兎でした。
「おう。お前も電車だったのか」
「まーねー。そんなことよりさ、GWって何してた?」
「俺たちは旅行に行ってた」
「旅行っ!?」
「あぁ。大阪にな」
「大阪っ!?」
「・・・なんだよ。朝から騒がしいやつだな」
「いや、GWに旅行って言ったら、ちょっとした上流階級の人間がするイベントじゃないですか!」
拓馬と隆は、目を合わせると、来兎に名波のことを話した。
「なんですとー! お、お前ら、あの黒木さんと一夜を共にしたのかよ!」
「俺はしてないぞ。一夜を共にしたのは隆だけだよ」
「相沢ぁ! てめぇは俺を怒らせたぁ!」
「マジでうぜぇ!」
胸ぐらを掴んできた来兎を、素早く引きはがした隆。
しかし来兎の怒り(妬み?)は収まっていないようで、その矛先は拓馬へと向けられた。
「相沢が黒木さんと一夜を共にしたってことは、木下は誰と一夜を共にしたんだよっ」
「俺は一花と一夜を過ごしたな」
「いちか?」
「俺たちのクラスの委員長だよ」
「委員長・・・もしかして市原一花か!?」
「そうだけど・・・」
「お前も死ねっ!」
そう言って拓馬の胸ぐらを掴もうとした来兎だったが、今度は拓馬まで届かずに寸前で拓馬に手をひねり上げられてしまった。
「イテテテテッ!」
「なんだよ。椿って朝から賑やかだな」
「お前も結構騒がしいけどな」
拓馬の拘束から逃れた来兎は、少し距離を取って拓馬と隆の横に並んで歩き始めた。
「痛かったー。ってゆーか、木下って市原と付き合ってんのかよ」
「付き合ってるよ」
「お前ら、本当にすごいな。相沢は学校のアイドルと付き合ってるわ、木下はあのクールビューティで完璧超人の市原と付き合ってるんだろ?」
「一花ってそんな風に呼ばれてんの?」
「知らなかったのかよ。一部の生徒からは結構人気あるんだぜ。『氷の魔女』とか『銀世界の女神』とか呼ばれてるぞ」
「なんか委員長が聞いたら喜びそうだな」
「さすがに喜ばないだろ」
あまりの中二病ネームの数々に、拓馬と隆は変な意味で驚いた。
「あの冷徹な女をどうやって攻略したんだよ」
「攻略ってゆーか・・・」
「委員長が告白してきたんだよ」
「うっそ! マジで?」
「そうだよ。一花に告白されて、最初は断ったんだけど、俺の気持ちが変わって俺から告白し直したってわけ」
「木下、お前一回振ってるのかよ」
「おう。だって一花のこと知らなかったしな」
「はぁ・・・世の中よくわからないことだらけだな」
顎に手を当てて、何かを考える仕草をする来兎。きっと格好だけで、何も考えては居ないんでしょうね。
そんな来兎を見て、脱線していた話を戻す隆。
「そういやお前は何してたんだ?」
「俺か? 俺は特に何も・・・友達と出かけたり、ダラダラしたりしてたかな」
「「つまんねー」」
「つまんねーとか言うな。普通こんなもんだろ。どこか旅行とか行こうにも金無いし、近場で済ませようとしたら人が多いし。結局は家にいるのが一番楽なんだよな」
「それは極論すぎるだろ」
「それでも友達と遊んだりしたからな。家にいたのは最後の一日だけだって」
「ふーん」
「椿は彼女とか居ないのか?」
「いたらこんな生活してないっ」
さっきのひねり上げられたことを学習したのか、言葉だけで拓馬に食ってかかる来兎。
「そっか拓馬は知らないのか。こいつな、竹中のこと好きなんだってよ」
「えっ? 竹中って2年の時の? 椿ってロリコンじゃなかったのか?」
「ロリコンゆーな。そうだよ。俺はあの竹中さんが好きなんだ。あの見た目に反しての強気な態度。あぁ、思い出すだけで照れちまうぜ」
「強気?」
「なんかこの間会ったら、ちょっと印象変わってたんだよ。名波のこと大好きーって言ってたし」
「なんだそれ。俺の知ってる竹中とは違うな。吹っ切れたのかね?」
「かもな」
「何、私の話?」
すると背後から追いついたらしい有紀が現れて、二人に声をかけた。
拓馬と隆はさして驚かなかったが、来兎はものすごく驚いていた。
「たっ、竹中さん!」
「よっ。ひさしぶり。今日は名波いないよ」
「そうなの?」
「たしか、先に行ってるとか言ってたな」
「先に行ってるの!? ありがとっ!」
そう言って今にもヨダレを垂らしそうな笑顔で、先に走り去っていく有紀。
その後ろ姿を見ながら、拓馬が隆に声をかける。
「・・・名波って先に行ってんの?」
「さぁ? 俺たちより先に来てることってあんまりないよな」
「・・・竹中に怒られても知らないぞー」
「竹中さんを騙したのか!」
隆に牙を向く来兎であったが、隆の性格が『ドS』であることをいまさら思い出して、これは仕方のないことなのだと悟った。
それにしても有紀って最初から隆の手のひらの上で踊らされてばっかりですね。かわいそうに。
こうして久しぶりの学校へと、来兎と3人で賑やかに登校した拓馬と隆であった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると発狂します。
久々の男三人トークでした。
次回もお楽しみに!