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部屋割り

時刻:11時頃



「大阪キター!」

「うおっ!」


空港を出るなり、両手を上げて急に叫ぶ一花。

それに驚いた拓馬が思わず声をあげた。


「どうした? 熱でもあるのか?」

「無いわよ。ちょっとやってみたかっただけよ」

「まぁいいや。で、どこ行けばいいんだ?」


飛行機の中で爆睡していて、まだ寝惚け眼の隆の看病をしている名波に、拓馬が訪ねた。


「えーっとね。電車で先にホテルまで行って荷物をあずけちゃおう。そのほうが楽だし」

「んじゃ・・・ってなんか二色あるんだけど、どっちだ?」


関空から出ている電車は二種類あって、南海線とJRがあります。そのどちらに乗るのか分からない拓馬が、切符売り場の前で料金表を見上げてほげーっとする。


「安定のJRで行こう。もし間違えたらそのまま北海道まで帰れるし」

「なんで帰る話してるんだよ。じゃあこっちだな」


目的の駅までの切符を買うと、改札を抜けてホームのある下へと続くエスカレーターを降りていく。

4人は、それぞれキャリーバッグをガラガラと引きずっています。

そしてタイミングよく到着していた電車に乗り込んで、大阪市内へと向かっていきます。

電車に揺られること約一時間。

その車内でも寝ていた隆は眠そうに大きなあくびを一つした。


「そんなに眠いの?」

「いや、もう大丈夫だ。寝てばっかで悪かったな」

「いいって。旅はこれからだもん」

「さてさて。次はどっちだ?」

「ん? こっちだろ」


駅構内をスイスイと歩いていく隆。少し不思議に思いながらもそのあとについていく3人。

そして改札を出て一旦止まる。

隆が名波の持っている地図を横から見ながらキョロキョロと現在地を確認する。


「あれ? どっちだっけ?」

「えーと・・・そこの信号渡るんだな」

「なんでそんなにスイスイ歩けるんだよ。隆だって大阪は初めてのはずだろ?」


長年の付き合いで、隆が大阪に来たことがないことを、拓馬は知っていた。


「んなもん、地図とか案内板みたいのとかあれば簡単に行けるだろ」

「えぇー。すげーな。少なくても俺はできないな」

「私もー」

「私も無理ね」

「まぁいいじゃねぇか。地図が読める人間がいると便利だろ。そんなもんに思っておけばいいさ」


たいして気にした様子もなく、先頭を歩いていく隆。

そして隆に先導されながら歩くこと10分。

角を何度か曲がって、和風な旅館が見えてきた。

さほど大きくはないが、高級そうな雰囲気が漂っていて、名波以外の3人は思わず息を飲んだ。


「名波。ここでいいのか?」

「うん。お父さんからもらった地図だと、ここって書いてあるし」

「やっぱりお前すげーよ」

「俺、こんなところに泊まれるなんて思ってなかったわ」

「私も。もっとベッドとテレビが置いてあるだけのような部屋かと思ってたわ」


それぞれが感想を述べた。

そして覚悟を決めて旅館の中へと進んでいく。

ロビーで名波と隆が予約していることを伝えると、二人の従業員が荷物を持って部屋へと案内してくれた。

旅館は5階建てで、その最上階である5階の部屋だった。


「ではこちらと、こちらのお部屋になっておりますので、何かございましたら中にある電話でお呼びください」

「えっ。二部屋なんですか?」

「そう伺っておりますが・・・」


拓馬と隆は顔を見合わせた。

修学旅行のノリで来ていたので、てっきり全員が同じ部屋だと思っていたのだが、まさか2部屋に別れているとは思ってもいなかった。

そんな二人を見ていた名波と一花が、隆と拓馬の腕をそれぞれ引っ張った。


「じゃあ隆はこっちの部屋ね」

「えっ、名波?」

「木下君はこっちよ」

「一花さん? あれっ?」


一つの部屋には隆と名波が、もう一つの部屋には拓馬と一花が泊まることになった。少し強引でしたが。

部屋に入ると、簡単な説明を従業員さんがしてくれた。

部屋の鍵や夕食のことや朝食についての話だったのだが、拓馬と隆はそれぞれ上の空になってしまっており、全然頭に入っていなかった。

そして従業員さんは話終わると部屋を出ていき、また名波と一花に腕を引かれて部屋の外へと出た。


「よし。チェックインも済んだことだし、大阪観光と行きますか!」

「そうね。少しお腹が空いてきたから何か食べたいわね」

「私もー。大阪と言えばたこ焼きだよねー」

「そうね。たこ焼きを食べに行きましょう」

「「ちょっと待った!」」


楽しそうに予定を立てていた女子二人を男子二人が止めた。


「何?」

「何ってゆーか、部屋はあれでいいのかよ」

「いいんじゃないの? ねぇ、委員長」

「そうよ。私は木下君と離れて寝るなんて出来そうにないわ」

「いつも離れて寝てるだろうが」

「まぁいいじゃん。せっかくの旅行なんだし、ダブルデートの延長ってことで」


『意外と積極的だなぁ』と心の中で感心した隆は、これ以上言っても無駄だと判断し、女子二人の意見を尊重した。拓馬を見ると、拓馬もそう思ったらしく、こちらを向いて肩をすくめた。


「じゃあ部屋はこれでいいとして、どこ行く?」

「大阪で食べ歩きと言えば、やっぱり道頓堀でしょ」

「木下君はあの橋から飛ぶんでしょ?」

「飛びません」


行き先も決まったところで、一旦部屋へと戻り、準備を整えて部屋の前集合ということになった。

これから大阪観光が始まっていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


この采配がどう出るのか・・・


次回もお楽しみに!

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