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夜ごはん

ちょっと長めです。


すっかり黒木父のお気に入りとなった隆。

すっかり打ち解けた(?)二人で仲良く(?)将棋をしていると、キッチンから料理を持った拓馬と黒木母が出てきた。


「おまたせー」

「ほら、あなた。ご飯並べるから将棋片付けてちょうだい」

「そうか。なら仕方ないな。将棋はこのへんにして片付けるとしようか。いやーあと少しあれば私の勝ちだったんだがなぁ」

「・・・いや、俺の圧勝でしたよ」


王手の連続で敗北寸前まで追い込まれていた黒木父は、時間切れを理由に将棋をいそいそと片付け始めた。なんとも往生際の悪い。

そして一品ずつ料理を手に持った名波と双子達が、テーブルに料理を置いて席に着く。


「あ、俺も手伝います」

「いいからいいから。うちの旦那の世話してくれるだけでありがたいわ」

「世話とはなんだ。私に失礼だろう」

「はいはい」


さらに一品持ってきた拓馬も席に着いて、最後に黒木母が持ってきた料理を並べて、全員が食卓についた。


「じゃあ食べよっか。いただきまーす」

「「「「いただきます」」」」


名波が音頭をとって夕食が始まった。

今日のメニューは、鳥肉おかゆ、トマトとアボガドのサラダっぽいやつ、茹でたもやし、スコッチエッグっぽいやつ、ラーメンサラダの計5品。


「すげー。これ初めて食べた。美味しいですね」

「そう言ってもらえると嬉しいわ」


隆が初めて食べた鳥肉おかゆの感想を素直に伝えると、黒木母は嬉しそうに微笑んだ。

隆の隣に座っていた名波が母親そっくりの笑顔を浮かべて言う。


「これ私の大好物なんだー」

「マジでか。お前いいもん食べて育ってそうだもんな」

「えへへへ」

「隆。安心しろ。このレシピは俺がちゃんと教わったから、今度うちでも食べさせてやれるぞ」

「まぁ俺はお前んちの子じゃないけどな」

「木下君は料理上手なのね。包丁さばきが料理人みたいだったわ」

「ホントですか? 俺、料理人になろうかなぁ」

「なったらいいじゃないの。そしたらうちで雇ってあげるわよ」

「いや、友達の家で働くのはちょっと・・・」


まさかの勧誘に遠慮を前面に押し出す拓馬。そのやりとりを見ていた拓馬以外の全員はハハハと笑った。

そしてなごやかムードで進んでいた夕食も終わりに近づきました。


「さてと、そろそろデザートにしましょうか」

「「やったー!」」


声をそろえて両手を上げる桜と遥。デザートが何かを知っている二人は、ここからが本番と言わんばかりの喜びようでした。

キッチンに向かい、冷蔵庫を開けて黒木母が取り出したのは、プリンでした。

桜と遥はプリンが大好きです。


「木下君も相沢君もプリンは食べれる?」

「はい」

「あ、大丈夫です」

「それはよかったわ」

「これお母さんの手作りプリンなんだよ」

「プリンも作れるんですかっ」

「いやぁねぇ。プリンなんて簡単よ。プリンの素に色々混ぜて冷やすだけだもの。こんなので喜んでくれる桜と遥は安上がりで嬉しいわ」


デザートのプリンも食べ終わり、さすがにお腹一杯になった拓馬と隆は、ふぅーっと一息ついていた。


「ごちそうさまでした。美味しかったです」

「ごちそうさまでした。色々レシピありがとうございました」

「いえいえ。お粗末様でした」

「よしっ! じゃあ私の部屋行こっ!」

「おう。お前楽しそうだな」

「まぁね。前は私風邪ひいてたから」

「相沢君」

「はい?」


名波の部屋に行こうとしていた三人を黒木父が引き止めた。


「なんですか?」

「いや、大したことじゃないんだが・・・」

「・・・?」

「名波を大事にしてくれよ」

「・・・それはもちろん。任せてください」

「ふっ。君みたいな男が名波の彼氏でホッとしたよ。それだけだ。ゆっくりしていきなさい」

「はい。ありがとうございます」


ドアの前で待っていた拓馬と名波と一緒に、居間を出ていく隆。

その姿を見ていた黒木父が黒木母に向かって話しかける。


「名波はいい友達を作ったもんだな」

「そうね。名波が選んだ友達だもの。いい子達に決まってるじゃないの」

「これなら孫の顔も早く見れそうだな」

「あなたったら。気が早いわよ」





「じゃあ今日はありがとな」

「お父さん達にもお礼言っておいてくれ」

「うん。来てくれてありがと」


名波の部屋で少し話したあと、次の日も学校があるということで早めに帰宅することにした拓馬と隆は、名波の家の前で別れを告げていた。


「ホントに送っていかなくて大丈夫?」

「大丈夫だ。暗い夜道は危ないからな」

「俺、たくさんレシピ教わっちゃったよー」

「お前は何しに来たんだよ」

「そりゃあ名波のお母さんとの交流を深めるために来たに決まってるだろ」

「なんだそりゃ」

「あ、もうそろそろバス来るよ」


持っていたケータイで時間を見ると、いい時間だった。

名波に背中を向けて、バス停へと歩き出す二人。


「よっしゃ行くか」

「じゃあまた明日な」

「うん。着いたらメールしてね」

「はいはい。んじゃな」

「・・・隆」

「ん?」


名波に呼ばれて振り返った隆は真後ろにいた名波に驚いた。そして名波は隆に別れのキスをした。

その瞬間をたまたま見てしまった拓馬は、思いっきりニヤついていた。


「ありがとね」

「・・・おう」

「おやすみっ」

「おう。おやすみ」


お互いに照れながら、恋人っぽいやりとりをして、手を振っている名波に手を振り返してバス停へと歩いた。

道を曲がって名波の姿が見えなくなったあと、拓馬が隆にぼやいた。


「もうラブラブじゃないっすかー」

「・・・まぁな」

「いいなー。うらやましいなー。俺も付き合おっかなー」

「そうしろそうしろ。委員長も喜ぶぞ」

「そうすっかなー」


さりげなく爆弾発言をする拓馬に隆は驚いた。


「ってマジかよっ!」

「ちょっとマジだったりするかもー」

「うぉー・・・俺、明日どんな顔して委員長に会えばいいんだよ」

「別に隆はいつも通りでいいじゃんかー」

「・・・なんだ眠いのか?」

「別に眠くないし。俺はいつでも正気ですー」

「そっか。まぁ頑張れよ」

「・・・変じゃないよな?」

「何がだよ」

「俺と市原だよ。別に変じゃないよな?」

「変じゃねぇよ。俺からしてみれば、付き合ってなかったってほうが変だしな」

「だよな。よし。今度告白してみっかな」

「お前が告白すんのいつ振りだ?」

「いや・・・初めてじゃね?」


そんなこんなで、隆と名波の関係を見ていて少なからず感化された拓馬は一つの想いを隆に告げて、バス停までの道のりを歩いた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


今回、メニュー紹介が文字数の都合により、非常にざっくりしたものになっております。

活動報告のほうでメニュー紹介をしておりますので、よかったら見てみてくださいな。


次回もお楽しみに!

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