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気になる年頃

「今度ウチ来ない?」

「えっ?」


拓馬、隆、名波の三人で帰っていた時、名波が言い出した。


「おぉ。ついに名波んちの両親にご挨拶か。頑張れよ、隆」

「いや、拓馬も呼んだつもりだったんだけど」

「へ? 俺も?」


自分のことを指さす拓馬。てっきり両親に隆のことを紹介するものだと思っていた拓馬は、名波の意図がわからずにいた。

そんな拓馬の代わりに隆が名波に問いかける。


「またなんで?」

「実はお父さんが会いたいって言ってるの」

「名波の父さん!?」


そう。今回の事の発端は、昨日の家族揃っての夕食でのことだった。





「そういえば私の友達にも双子の兄弟いるよ。ねー」


そう言って同意を求めるように桜と遥に向かって笑顔を向ける名波。


「うん。可愛かったよね」

「うん。ラブラブだった」

「なんだ。桜と遥は見たことがあるのか」

「「うん」」

「私が双子見たいーって言ったら招待してくれたから、桜と遥も連れていったの」


微妙にソワソワする父親。


「その友達とは仲良いのか?」

「うん。すごい仲良しだよ」

「お姉ちゃんってば、今その人と付き合ってるんだよー」

「あらまぁ」


桜が父親にとっての地雷をあっさりと踏みに行った。

口を押さえて小さく驚いていた母親をよそに、その言葉を聞いた父親の頭の中はすでに真っ白だった。


『え? ツキアッテル? ということはカレシ? もしかして夫になる男か!?』


色々と飛躍している父親であったが、表には出さないようにして落ち着くために麦茶を口に含む。


「この前チューしたんでしょ?」

「ぶはっ!!」


そして吹き出した。


「ちょっとお父さん、汚い! 桜もそれ以上言ったら怒るからね!」


顔を赤くして桜を叱っている名波を見ながら、鼻から出てきた麦茶をティッシュで拭き取る父親。

母親が呆れながら、台ふきで麦茶を拭いている。


「な、名波。その友達というのは男の子なのか?」

「えっ? うん」

「どうしてお父さんに教えてくれなかったんだ?」

「だって聞いてこないから」

「名波の友達なら興味があるに決まってるだろう」

「あれ? でも一回来たわよね?」

「うん」

「も、もしかして母さんは見たことあるのか?」

「まぁチラッとだけど、お辞儀程度はしたわよ。二人ともなかなかのイケメンだったわ」

「イケメンだと?」


イケメンと聞いて父親の頭の中では、母親が好きな芸人の『ラーメンつけ麺僕イケメンッ!』のほうが出てきたが、そーゆー意味じゃないと思い直し頭を振る。


「で? 名波はどっちの子と付き合ってるの?」

「えーと・・・なんて言えばわかるの?」

「髪が黒い子のほう? それとも茶色い子のほう?」

「あ、黒いほう」

「隆さんって言うんだよ。もう一人は木下さん」


遥が名前を母親に教える。

女子4人でワイワイと話している光景を見ながら、父親は先ほど飲みそこねた麦茶を飲んだ。そして口を開く。


「よし。名波。その友達をウチに呼びなさい。みんなでご飯を食べよう」





という経緯である。

黒木父の考えなど何も気にせずに、名波は拓馬と隆を誘ったのである。


「でも名波の父さんって怖いんだろ?」

「怖くないってー」


アハハと笑いながら言う名波であったが、拓馬と隆の中では『巨匠』という言葉が似合いそうなイメージがついていた。


「でもご飯食べるだけだし、食べ終わったら私の部屋で遊んでもいいんだよ?」

「お前の部屋なんか遊ぶもんは何もねぇだろが」

「トランプぐらいありますー。それに桜も遥もお母さんもみんな会いたいって言ってるし」

「そこまで言われたら断るわけにはいかねぇよなぁ」

「だよなぁ。俺としては名波んちの料理がどんな料理なのか気になってる」

「じゃあ今度の日曜日なんだけど大丈夫?」

「大丈夫だ。もともと予定なんてない」

「俺も隆と遊ぶぐらいしか予定ないしな」

「じゃあ決まり。お父さんには言っておくから。別にお土産とか何も持ってこなくていいからね」


前回のお見舞いの時に、お土産うんぬんのことを桜と遥から聞いていた名波は、変に気を使わせないようにと二人に釘を差した。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


お父さん、可愛いなぁ


次回もお楽しみに!

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