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それぞれの兄弟姉妹

「そういえば兄弟とかっているの?」


拓馬、名波、隆は仲良く3人で帰っていた。ちなみに今日は後ろには誰もいません。

拓馬に忘れられたことがちょっと寂しかった名波は、その気持ちを誤魔化すために一緒に帰ってます。

なんて健気な女の子。なんやかんやで二人のことが好きな名波ちゃんでした。

その名波が会話の中で二人に質問した。


「俺は姉ちゃんと弟が一人ずついるぞ」


そう答えたのは黒タイツ拓馬。

珍しく名波の黒タイツではなく、前の女子生徒の黒タイツを見ながら答えた。

『あの足はちょっといまいちだな。O脚すぎる』とか考えてます。


「へーそうなんだ。いくつぐらい離れてるの?」

「えーと・・・たしか3つずつ離れてるんだっけな?」

「2つずつだ。自分の家族構成ぐらい覚えとけ」


そう拓馬の発言を訂正したのはドS隆。

今日の隆は比較的穏やかな心境。名波に適当な嘘をついて困らせたあげく、放課後に拓馬のところに行った時の名波の泣きそうな顔は格別だった。

そんなこんなで満足できた隆は、今日の帰り道ぐらいはいじめるのをやめてやろうと思えるぐらい良心的な精神状態だった。


「あれ? 2つだったか。時が流れるのは早いなぁ」

「時が流れても年の差は変わらねぇよ」

「じゃあ相沢は? 兄弟とかいるの?」

「俺は双子の妹と弟がいる」

「双子か! 顔とか似てるの?」


双子と聞いてちょっとテンションの上がった名波。


「多分見分けつかないぞ。男と女だから見分けられるかと思ってたら大間違いだ。あいつら自分たちが似てるの知ってて、わざと同じような格好して家族のこと騙しに来やがる」

「俺も何回も見てるけど、全然見分けられないもん」

「あれ? お前まだ見分けられなかったのかよ」

「隆のとこの家族がおかしいんだって! あの二人の見分け方教えろよ!」

「何回も言ってるじゃんか。肌が弱い方が(のぞみ)で目が少し小さいほうが(のぞむ)だって」

「もうそんなので見分けられるわけ無いじゃん!」


ついに茶色の頭を掻き毟る拓馬。


「そんなに見分けられないの?」

「多分お前じゃ無理だな」

「まだ見てないのにその発言は酷いのではないかい?」

「・・・なんでそんなに自信満々なんだよ」


何故か自信たっぷりの名波。そんな名波を少し気持ち悪いものを見る拓馬と隆。

そして重大発表をするかのように気合を入れて胸を張る名波。


「実は私の家にも双子がいるのです!」

「へー」

「マジで! そんなに双子ってポンポン生まれていいもんなのか!?」


あんまり驚かない隆と、双子祭りで少子化問題が続いているのが不思議でたまらないという表情をしている拓馬。


「なんか俺だけ仲間外れにされた気分ー」

「いいじゃん。私もお姉ちゃん欲しかったなー」

「姉ちゃんなんていいもんじゃないぞ? だらしないわ部屋汚いわでいいとこなんてないぞ?」

「でもお前の姉ちゃん可愛いじゃん」

「本人の前で言ってやってくれ。皆そうやって言うけど、家族だと全然わからんちんだよ」

「へー。木下のお姉さんって可愛んだ! 弟は?」


その質問に顔を見合わせる拓馬と隆。

不思議そうに二人の顔を交互に見る名波。


俊哉(としや)は・・・なぁ?」

「そうだな。あいつには会わない方が身のためだぞ?」

「えっ? そんなに問題児なの?」

「問題児っていうか・・・確かに問題児かもな」

「とりあえず黒木は会わない方がいいと思う」

「ふーん。そっか」


頑なに弟のことを否定する二人。そこで食いつくのがいつもの名波だが、珍しく二人が心配してくれてるみたいので、今日は大人しく引いた。

話題を変えようと隆が口を開く。


「黒木のとこの双子は似てるのか?」

「うち? うちは・・・似てるのかなぁ? 自分の家族だから似てるとかよくわかんないけど、見分けられる程度には似てるかな」

「女の子同士?」

「うん。二人ともとっても可愛いよ。目に入れても痛くないもん」

「目に人が入ったら大問題だけどな」

「昨日もお姉ちゃんお姉ちゃんって走りよってきて、80点のテストの紙を見せてくれたの! はぁ~可愛すぎる!」


隆のツッコミを無視して、自分の顔を両手で押さえてからだをクネクネと動かす名波。

だんだんと姉バカが垣間見え始めてきた。

この美少女名波は、双子の妹を溺愛する姉バカだった。その妹達も妹達で姉が大好きなので相思相愛という仲良しっぷりであった。


「なぁ隆? 黒木ってこんなキャラだったか?」

「いや、俺の知ってる黒木はこんなんじゃなかったはずだ」

「じゃあここにいる黒木は俺たちの知ってる黒木ではないということか」

「じゃあ本物の黒木はどこに?」

「「おーい! 黒木ー! どこ行ったー!」」


そう叫びながら走っていく拓馬と隆。


「えっ? ちょっと? 黒木って私でしょ? どこ行くの? 黒木名波はここですよー!」


慌てて二人を追いかけていく名波。


今日も世界は平和だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とかあれば書いていただけると大変嬉しいです。


次回は閑話代わりというわけではないんですが、拓馬、隆、名波の3人の兄弟の話にしたいと思ってます。


では次回もお楽しみに!

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