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恋人警報

拓馬と話した隆は、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いたこともあり、その後は名波と話さずに教室まで来てしまった。

そして放課後。

誰よりも早く教室を出た隆は、隣のクラスの名波を訪ねてドアを開いた。


「名波!」

「隆・・・」

「こ、こら、相沢君! まだ授業中ですよ!」


というわけで、少し授業が長引いていたらしく、まだ授業中でした。

大人しく廊下で待っていると、すぐに終わったらしく名波が教室から出てきた。


「お待たせー。何やってんのさー」

「いや、高ぶる気持ちを抑えられなくて・・・」

「何それ。流行ってるの?」

「そんなことよりも一緒に帰ろう!」


テンションが高いのかテンパっているのかわからないようなテンションで名波を誘う隆。


「いいけど・・・何かどうかしたの?」

「いや、その・・・ちょっと恥ずかしくて・・・」

「恥ずかしい?・・・あぁ。拓馬から話聞いたから大丈夫だよ。いつもの隆でいてよ」


顔を赤くする隆を見て察したのか、名波が笑顔で隆に言う。その顔を見て少しホッとしたのか、軽く深呼吸した隆が名波を見る。


「ふぅ・・・よし。帰るか」

「うんっ!」



帰り道。


「なんかアレだな。二人で帰るのってなんか久しぶりだな」

「あー・・・言われてみればそうかも。拓馬とか委員長とかと最近一緒に帰ってるもんねー」

「それでだな、その、このあと俺んち来ないか?」

「えっ? 隆の家?」


付き合い始めてすぐに隆の家に名波が来たことはあったが、3年生になってからは初めてだった。

そんな隆からのお誘いに名波は何を思ったのか、顔を赤くして答えた。


「へ、変なことしないなら行ってあげるっ」

「変なことってなんだよ。お前と落ち着いて話したいなーって思っただけなのに、まさか名波がそんなこと考えてるなんて思わなかったわー。不潔ー不純ー不埒ー」

「そ、そういうことなら早く言ってよね! 私だけ恥かいたみたいじゃん!」


赤くなっていた顔を更に赤くして名波が隆に抗議した。





そして相沢宅前。


「あれ? 誰も帰ってきてねーじゃん」


そう言ってカバンから鍵を取り出してガチャガチャと鍵を開けてドアを開ける隆。

その後ろをついてくる名波。


「おじゃましまーす」

「はい、いらっしゃいませっと。先に俺の部屋行っててくれ。お茶持ってくわ」

「あ、うん。ありがと」


階段を上がっていく名波を見た隆は、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注いだ。

それをこぼさないようにしながら階段を登って、自分の部屋の前へと向かう。


「名波ー。ドア開けてくれー」

「はーい」


がちゃりと開いた部屋の向こうで待機していた名波にお茶を渡すと、隆はベッドの上、名波は隆の勉強机の椅子へとそれぞれ腰を下ろした。


「なんか隆の部屋入るの久しぶりー」

「まぁな。前に来た時は勉強しにきたんだっけ? たしか拓馬が好きな人出来たーとか騒いでたころだよな」

「そう考えたら隆んちってあんまり来てないよね。拓馬の家の方が行ってる気がする」


普通の会話をしていたが、隆の内心はバクバクしていて、今にも心臓の鼓動でろっ骨が折れてしまいそうだった。


「そ、それよりよ、その、拓馬と付き合うって言ったのは嘘なんだよな?」

「えっ! あっ、うん。嘘だよ」


その質問に名波は驚いていたが、キチンと否定した。


「はぁー。よかった。もう嘘でもそんなこと言わないでくれよ? 心臓に悪いわ」

「うん。ごめんね」


そう言って申し訳なさそうに微笑む名波。その笑顔につられて隆も笑みを浮かべる。


「なんか俺が空回りしただけみたいになったな。拓馬も殴っちゃったし」

「そうだよ。暴力はいけないよ?」

「今後暴力はしないよ」

「あ、あのさっ!」


急に名波が声を張り上げた。


「ん?」

「と、隣行ってもいい、かな?」

「と、隣っ? い、いいぞ。ほれ」


驚きながらも自分の隣をバフバフと叩く隆。そこへ立ち上がった名波がちょこんと座った。

そして沈黙が訪れる。こんな瞬間には天使さんが通っているのですね。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


・・・早く通り過ぎてくれませんかね? 沈黙に耐え切れなくなって隆の目が挙動不審レベルにまでキョロキョロとしてるんですけど。

その時、天使が押したのかどうかはわからないが、名波のからだが隆の方へと倒れて、肩に頭が乗っている状態になった。


「な、名波さん?」

「・・・フフフ」


恥ずかしさから笑ってしまった名波だが、隆からしてみたら興奮と緊張以外の何ものでもなかった。


「私ね、やっぱり隆のことが好き」

「・・・やっぱりってなんだよ」

「じゃあ大好き」

「俺もお前の事が好きだよ」

「泣いちゃうぐらい?」

「っつ! そうだよ。泣くぐらい好きだよ!」


そう言って名波と反対側を向く隆。笑っているのか、名波のからだが揺れていた。

そしてそっぽを向いていた顔を戻して、そのまま名波の方を見てみた。

すると名波もこちらを見ていて、目が合ってしまった。

完全に見つめ合ったまま動かないでいると、名波の大きな目が静かに閉じられた。

隆は名波の唇に自分の唇を重ねた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想ありがとうございます。


イチャラブ警報が発生してます。


次回もお楽しみに!

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