表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/187

拓馬と名波のクッキング

木下家のキッチンはダイニングキッチンで、キッチンとリビングの間にカウンター席のようなものがある。

そのカウンター席に隆と一花が座り、キッチンの中にいる拓馬と名波の様子を見ています。

それにしても制服に赤いエプロン姿の名波が可愛いです。


「さて。何から切りましょうか」

「じゃあ名波は人参の皮剥いてくれ」

「がってんしょうち」


ゴミ箱に向かって人参を差し出すと、その上でピーラーを使って皮を剥く名波。

拓馬はその間に玉ねぎを薄切りにしていきます。切るのがうまい人は、涙なんて流しません。

人参を剥き終わるとほぼ同時に玉ねぎを切り終わった拓馬が、人参を受け取っていちょう切りで切っていきます。

名波はじゃがいもの皮を剥いていきます。

そして人参も軽やかに切り終わり、次々と渡されるじゃがいもを手際よく一口サイズに切っていきます。

二人が真面目にやるとこんなにスムーズに進むのか、と少し感心しながら様子を見ている隆。

そして拓馬が次に冷蔵庫から取り出したのは茄子でした。


「えー、カレーに茄子入れるのー?」

「カレーと茄子ってすごい合うんだぞ?」

「うちは入れないよ?」

「今日は人数が多いから具をたくさんにするのさ」


一花は『木下君は良いお父さんになるわね』と心の中で思った。もちろんその隣には一花が立っています。


「というわけで、茄子を切っていくざます」


変な口調になりながら、茄子を切っていく拓馬。名波はななめ後ろかた茄子を切っている拓馬を見ています。

茄子を切り終わると、次は具材を炒めていきます。

大きめの鍋に油を入れて、冷蔵庫から取り出したひき肉から炒めていきます。


「どうしてひき肉なの?」

「安いから」

「そーゆーあれなんだ。意外と気使ってるんだねー」

「主夫だからな」


ある程度炒めたら、玉ねぎ、人参、じゃがいも、茄子の順で足していき炒めていきます。

拓馬が炒めている姿を見ていた隆がふと気になって一花に訪ねます。


「そういえば、委員長って料理出来るのか?」

「微妙ね。調理は出来るけど、料理はできないわ」

「得意な料理は?」

「お茶漬けよ」

「わぁ素晴らしい」

「そーゆー相沢君はどうなのよ」

「俺はレンジで温めてるやつを見るのが得意だ」

「似たりよったりじゃないの」

「男が料理する時代がおかしいんだ」

「そんなことないわよ。これからは男の子も料理できないとダメよ」


そんな料理できない組の会話をキッチンの中から少しつまらなさそうに見ていた名波は、手持ち無沙汰だった。

そんな名波に気づいたのか、拓馬が具材を炒めながら声をかける。


「名波。冷蔵庫の中からトマト出して切ってくれないか?」

「トマト? レタス買ってないよ?」

「サラダじゃなくてカレーに入れるんだよ」

「トマトカレーなんだ! 私初めて食べるかも」

「そうかそうか。それは良かったな」


にっこりと微笑んだ拓馬に、名波も笑顔で返した。


「でもどうやって切ればいいの?」

「サラダに盛る時みたいにじゃなくて、なんか適当にザクザクって」

「四角く切ればいいの?」

「そうそう。そんな感じ」


炒めた具材に水を投入すると、蓋をして沸騰するまで待ちます。

と言ってもすぐに沸騰するので、アクを取り、弱火にして具材を煮込みます。


「よし。あとは煮込むだけだから遊んでてもいいぞー・・・って米炊くの忘れてた。あぶねーあぶねー」

「じゃあ私、隆とゲームしてくる」

「よっしゃやるか」


待ってましたと言わんばかりの勢いで、ゲームへと駆けていく隆と名波。

残された一花は、米を研いでいる拓馬を見ていました。


「今日は急に押しかけてゴメンね」

「・・・なんだよ。急に改まって」

「ちょっと木下君へのポイントを上げておこうかと思って」

「俺の中にはそんなポイントは存在しねーよ」

「フフフ。なんだかんだ言っても木下君は優しいよね」

「なんなんだよ。今日の市原はなんか変だぞ?」

「私ね。やっぱり木下君のことが好きよ」


思わぬ言葉に、拓馬の手がピタリと止まる。


「・・・それは告白か?」

「そうとってもらっても構わないわ」

「・・・だったら答えはNOだ」

「やっぱりダメ?」

「やっぱりってゆーか、まだ市原と付き合うとかよくわかんねぇんだわ。それに市原は市原であって、彼女にしたい対象ではないってゆーかなんてゆーか・・・わかる?」

「もちろん。木下君のことならなんでもわかるわ」

「なら助かるよ。ってわけで、今はまだ付き合えない」

「そっか。わかったわ。でも私の気持ちは木下君一択だからね」

「はいはい。わかったわかった」


さりげない告白が終わったところで、拓馬の米研ぎも終了した。炊飯器に米をセットし『早炊き』を選択する。

しばらく煮込んだ具材の様子を見て、火を止めてからカレールウを投入。

ぐるぐるとかき回して、溶けたのを確認してから火をつけてまた少し煮込む。このタイミングでトマトを投入します。

あとは弱火で煮込みながら、ご飯が炊けるのを待つだけです。


一花の2つ隣の椅子に座った拓馬が、ゲームをしながらワイワイ言っている隆と名波を見てボソリと呟いた。


「こりゃちょっとやばいかもなー・・・」




米が炊けて、いざ実食!


「トマトカレーうめぇ!」

「茄子おいしー」

「これはなかなかいけるわね」


拓馬の茄子とトマトのカレーは大好評でしたとさ。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


いろいろといろいろな回でした。

一花さんは落ち着いてはいますが、一応乙女なのです。

今日の夕食はカレーに決定ですね。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ