高利子
放課後。
「はぁ? お前への貸しはアレだけだろ?」
「馬鹿ね。うちは悪徳金融なのよ? 舐めてもらっちゃ困るわよ」
「契約違反だ。言わないほうが悪い」
「聞かないほうも悪いと思うけど?」
全ての授業が終わった教室で、あーだこーだともめている二人ですが、今日の数学の授業中に隆が一花に借りた『貸し』の利子についてもめています。
「だーかーらー。お前が教えて欲しい情報をなんでも一つ教えてやるって言ってるだろうが。これ以上の返し方は無いと思うぞ?」
「それだけなら木下君に直接聞くから問題ないわ。もっと相沢君から木下君に頼まないとやってくれなさそうなことを私は求めているのよ」
「そんなこと言われたって・・・」
「たーかしー!」
そんな話をしていると、授業が終わった拓馬が隆の元へと駆けつけてきました。
「なんだよ」
「あの先生に何したんだよっ。うちのクラスなんかほとんどのやつが爆笑してたぞ!」
「ちょっと金剛力士像置いただけだ」
「金剛力士像っ!」
後ろでそれを聞いていた名波がプッと吹き出しました。
「名波なんかあの授業以来、ツボにハマったみたいでずっと思い出し笑いしてるんだよ。笑い茸でも食べたみたいだ」
「意外と笑い上戸だったのか。新しい発見だな」
そんな話をしていると、一花が隆の背中を肘で突っつきました。
隆は分かっているのです。『何かやるなら今がチャンスよ。むしろ今やりなさい』というサインだということを。
自慢の頭脳をフル回転させる隆。そしてひらめきました。
「今日、拓馬の家でご飯食べてもいいか?」
「別にいいけど・・・。なんかあったのか?」
「いや、特に何もないけどさ。最近拓馬の手料理食べてないなーって思ってさ」
「付き合いたてのカップルかよ。じゃあ何時集合にする?」
「そこでだ! 名波と委員長も呼んでパーティをしよう!」
強烈な一花のひじ打ちが隆の背中に突き刺さりましたが、きっとこれは『やればできるじゃないの!』という褒め言葉の代わりだと思ってスルーしました。
名波を見ると、苦しそうに笑っていましたが、指だけでOKサインを出していました。
「全員かよ。まぁ・・・食費は出してくれよ?」
「出す! 出します!」
隆の代わりに一花がものすごい勢いで返事しました。拓馬は色々と察したのか、隆に追求はしませんでしたが、目だけで『あとで詳しく聞かせろよ?』とだけ伝えました。
「さてと。そうと決まればだけど、なに食べるべ?」
「簡単にできて拓馬が作れて美味いものだろ? お前に作れない料理なんてあるのかよ」
「レシピ見ながらならなんとか作れないものはないだろうけど、多分インド料理とかイタリアンとかは、俺個人があまり好きじゃないから作らない。スパイスとか無いし」
「そこまで求めてねーよ」
「市原は何が食べたい?」
「わ、私はウェディングケーキとか食べたいなー」
「いろんな課程を一気にすっ飛ばしたな。なんかもうカレーとかでいいか? 家族の分も作らないといけないだろうから」
「任せるよ」
こうして拓馬、隆、名波、一花の四人は、拓馬の家でカレーパーティをすることになりました。
みんなが集まって何かをすれば、それだけで『○○パーティ』になるのです。異論は認めません。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけると発狂します。
区切りよくしようとしたら、短くなってしまいました。
ごめんなさい
次回もお楽しみに!