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閑話・目薬と希望

「希ちゃん。じっとしてないとダメだよ」

「望くんが怒るー! あたし、自分でやるから!」

「ダーメ。僕が希ちゃんにやってあげたいの。それに怒ってないから」


希の頭を膝の上に乗せて、じっと目を見つめる望。


「じゃあいらない! あたし目薬なんて必要ない!」

「もう暴れないでよー。そんなに真っ赤な目をして何言ってるのさ」

「うぅー。望くんがイジワルだよー・・・」

「イジワルでもなんでもいいからじっとして」


口をとがらせてブーブー言っている希を黙らせた望は、頭を片手で押さえつけると再び目薬の先端を目の前へとやった。

しかし希の目が全く開かない。


「希ちゃん。目、開けて?」

「開いてるってば!」

「希ちゃんは薄目とかなんだろうけど、僕から見たら1ミリも開いてないから」

「ムリ! これ以上はムリー!」

「もう・・・ワガママなんだからっ」


そう言って、頭を押さえつけていた手を離すと、自分の指で強引にまぶたを押さえて開かせようとする望。

強引に開かせようとすると、まぶたの裏の赤い部分がベロンチョしてしまい、大変グロい状態になっています。


「希ちゃん。力抜いて?」

「うっ・・・うぅー・・・」


頑張って力を抜こうとする希なのだが、頑張れば頑張るほど力んでしまい、むしろ逆効果でした。

どうしたもんかと望が悩んでいると、希が一つの提案をしてきた。


「望くん。やっぱりあたしが自分でやるから」

「僕が希ちゃんにやってあげたいのに・・・」


明らかにシュンとする望。


「わかった。じゃあこうしよう。右目は自分でやるから、左目は望くんがやっていいよ」

「えー。両方ともやりたいなー」

「じゃあどうするのさー」

「アレは? ヒッヒッフーってやつ」


ラマーズ法ですね。出産の時にやる呼吸法です。


「わかった。やってみる。ヒッヒッフー・・・ヒッヒッフー・・・」

「希ちゃん。力抜いてよ・・・」

「抜けてないの?」

「全然変わらないよ」


効果は無しでした。

その時、部屋のドアがガチャリと開いて、隆が乱入してきました。


「お前らさっきから何してるんだ?」

「希ちゃんが目薬差すのに、目を開けてくれないんだよー」

「はぁ? そんなの強引に開かせたらいいじゃねぇかよ」

「タカ兄怖っ!」

「どれ。望は目薬差せよ」


さりげなく恐ろしいことを言いながら、希の目を両手で開こうと力を入れる隆。そして何故か必死に抵抗し始める希。


「希っ! お前、目薬差される気あるのかよっ」

「タカ兄がやると超怖いんだもん!」

「いいから力抜けっ!」


そう言いながらも全力でまぶたに力を入れていき、なんとか目薬が入るぐらいは開いた。その瞬間を見逃さずに、望が目薬を華麗に入れた。


「よっしゃ。じゃあ反対なー」

「タカ兄、痛いんですけどー」

「よく効く薬ほど痛みが強いんだ」

「・・・何言ってるの?」


そして左目と同じように右目のまぶたも強引に開いて目薬を差した。

目薬を入れられた目を必死に擦っている希と、それを心配している望。

無事任務終了した隆が、部屋を出ていく時に言った。


「お前ら。もう目薬差すな。眼科行け。眼科」

「「もうタカ兄には頼まないようにする」」


そう心に決めた双子だった。


次の日の朝。

鏡で自分の顔を見た希が、自分の目の周りに隆の指の痕が付いていたことに驚いて、単身で隆の部屋に乗り込みに行ったことを望は知らなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


若干短めになっております。

ご勘弁ください。


次回もお楽しみに!

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