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変態紳士の判別方法

その日の放課後。

授業が終わるなり、カバンも持たずに名波が拓馬の席の前に立った。


「ねぇ木下。本当に私のことわからないの?」

「おぉ黒木。わからないって何が?」

「いや何がって・・・ほら、私のこと知らないって言ってたじゃん」

「そんなこと言ったか?」

「だって今だって・・・」


ふとおかしなことに気づく名波。目の前の拓馬は頭にハテナを浮かべている。


「あ、あれ?なんであんた私と話してるのよ」

「なんでって・・・お前が話しかけてきたからだろうが」

「もう・・・なんなのよ!」

「いてぇな! なんで叩くんだよ!」


いきなり拓馬の頭をべしっと叩く名波。

それもそのはず。体育の授業のあとはあんな状態だったのに、今は何事も無かったかのように自分と話しているではないか。 

そのことが気になって、授業も上の空で拓馬のことを考えていた。

『もしかしたら本当に記憶が?』とか『もしかしたらまた相沢の仕業?』とかいろいろ考えていた自分がバカみたいに思えてきた。


「相沢! どういうことなのよ!」


そして怒りの矛先は隆に向かった。やれやれといった様子で答える隆。


「どうしたもこうしたも、こいつは根っからの変態だぞ?」

「そんなこと周知の事実じゃない」

「おい黒木! それは言い過ぎじゃないかっ?」

「そうかもしれない。ところでお前が拓馬と初めて話したのはいつごろだった?」

「えーと・・・確か9月の終わりぐらいかな?」



拓馬と隆が名波と今のような関係になったのは夏も終わり、肌寒くなり始めた9月の終わりぐらいだった。

変態爆発の時期を迎えた拓馬が浮かれ始める時期だった。

そんな拓馬を見て、隆は秋の始まりを感じた。そんな時、教室に入って拓馬の変態レーダーが一人の女子生徒の足を捉えた。

拓馬は全然女子の名前を覚えてなかったので、その時はまだ名波の名前を知らなかった。

それから少ししてから名波の名前を知ることにはなるのだが、それまでは『素晴らしき黒タイツの人』と覚えていた。

つまり何が言いたいのかと言うと、拓馬は変態である。そして黒タイツ中心で回っていたので、黒タイツが無い名波などただの人でしかないのだ。

先ほどまで体育の授業で暑かったために黒タイツを履いていなかった名波のことを、拓馬は『名波』と判別できなかったのである。

とんだ変態だ。


「・・・というわけで、黒タイツを履いてないお前が悪い」

「えぇ~! それって私が悪いの?」

「まぁ原因はお前にあるんだからお前のせいだろ」


どうも納得がいなかい名波。とりあえず隣に座っている拓馬の頭をベシっともう一回叩いておく。


「なんだよ! なんでそんなに皆してポカポカ叩くかな! これ以上おかしくなったらどうするんだよ!」

「あ、自覚はあったのね」

「落ち着け。叩いて直してるんだ。感謝しろ」


好き放題に言う二人に納得がいかない様子の拓馬。

そんな拓馬を見て名波がつぶやく。


「もしかして私って春になったら忘れられちゃうの?」

「ずっと履いてればいいじゃん。俺はそっちのほうがいいと思うよ」

「誰があんたの性癖にために履くもんですか。それにこれって地味にあったかいんだからね。冬ならともかく春に履いてたら足が蒸れて仕方ないわよ」

「そこは我慢しろよ」

「あんたが我慢しなさい」


また頭を叩く名波。ポコスカと頭を叩いている名波だが、実は本当に忘れられたのかと思ってちょっと寂しかったのだ。

でもこうやって覚えていてくれたことが嬉しいわけであって、この『叩く』という行為は照れ隠しの行為なのだ。可愛いやつめ。


「こうして黒木は拓馬のために春でも夏でも季節を問わずに黒タイツを履き続けるのであった」

「何勝手にナレーションしてるのよ」


さりげなくナレーションを入れる隆にちゃんとつっこむ名波。


「で、実際どうするんだ?」

「これ履いてないと気づいてもらえないって、地味に怖いわね」

「確かに恐怖を感じるよな」


拓馬の変態っぷりに恐怖を抱く隆と名波。おそるべし変態。


「まぁなんとかなるんじゃないか?」

「・・・ホントにそう思ってるの?」

「少なくとも俺は覚えててやるよ」

「相沢・・・」


少し意外な言葉にキュンとする名波。


「『拓馬につきまとう変な美少女』って感じでいいか?」

「変な覚え方はやめてもらえないでしょうか?」


その頃異様に静かだった拓馬は何をしているのかというと、二人の会話を聞きながら、カイロをハサミで開封していた。

※よいこはマネしちゃダメだぞ!


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


前のほうをいろいろと手直ししました。

内容は変わってませんのでご安心を


次回もお楽しみに!

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