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バレバレな嘘(前編)

四月中旬になり、雪もほとんど溶けてゴールデンウィークに向けて桜達がつぼみを付け始めた。

そんなほんわかな日の昼休みに、4組の隆の机で昼食を取っていた拓馬と隆と名波の3人。


「狭い」

「だから木下君なら私の机で一緒に食べても良いわよって言ってるのに」

「断じて行かない」


何度も隣の一花が自分の机を提供しているのにも関わらず、それを拒否し続けている拓馬。


「意地張っちゃって。そこにいると相沢君と黒木さんの迷惑になっていくのよ?」

「市原の机で食べるくらいならこのまま床で食べるさ!」

「それはお行儀が悪いので私が許しません」


意外と行儀に厳しい名波に止められる。

お嬢様育ちな名波は意外と(?)礼儀作法には厳しかったりするのです。


「ほーらほーら。もう木下君は私の席に来る以外の選択肢は残されていないのですよー?」

「くっ・・・」


そんなノリノリな一花を見ていた隆は、名波に話しかける。


「俺さー。委員長ってもう少し大人しい感じの人かと思ってた」

「あ、それは私も思った」

「でも拓馬と絡んでる時の委員長ってすごい生き生きしてるってゆーか、楽しそうだよな」

「すごいわかる。きっと好きな人と同じ時間を共有できる幸せってやつなんだろうね」

「さすが黒木さん。模範解答よ」


ちゃっかり聞いていた一花が、名波に向かって花丸を送った。

そしていまならイケルと判断し、ずっと気になっていたことを隆が聞いてみた。


「委員長って友達いんの?」

「いるわよ。なんで?」

「だって最近は俺たちとばっかりつるんでるじゃん? 他に友達とかいないのかなーって思って」

「他の学校にいるのよ」

「へー」


自分から聞いておいて、あまり興味なさそうに返事をする隆。気になっただけってやつですね。


「でもその子も忙しいみたいだから・・・あら。ちょっと失礼」


一花が話している最中に、机の上に置いてあったケータイがブルブルと震えた。どうやら電話だったらしく、ケータイを開いてもしもしと電話に出た。


「うん。今ちょっと友達と話してて・・・うん。ごめんね・・・え?・・・でも忙しいんじゃないの?・・・わかったから。じゃあまたあとでメールするね。うん。バイバイ」


電話が終わって、ケータイを閉じて机の上に置いた。

そして小さくため息をつく。


「なんかあったのか?」


電話の内容とため息をついた一花の様子を見て拓馬が声をかけた。


「はぁ・・・えーと、私の姉が木下君達に会いたいって」

「今の電話、市原のお姉さんからなのか?」

「えー、まぁそんなところよ」

「あれ? この間、委員長は一人っ子だって言ってなかったか?」


少し嘘くさい発言をしている一花にカマをかけてみる隆。相手の弱点や嫌がるところは決して見逃さない隆です。


「前はそう言ったかもしれないけれど、あれは相沢君達を試したのよ」

「そうか。試される大地、北海道だもんな」

「そうよ。道産子たるものいつでもどこでも試されているのよ」


もう完全にバレバレな一花の嘘に対して適当に答える隆。完全に顔が悪い人の顔です。

そんな隆を見て、色々と察したらしい拓馬が話を戻す。


「で? そのお姉さんがなんだって?」

「えーっと、今日の放課後に木下君たちに会ってみたいって。もちろん都合が悪かったら断っても」

「「全然悪くないし!」」


拓馬と隆が揃って言った。名波は隣で大人しく笑っていた。


「そ、そうよね。じゃあちょっとここから遠いかもしれないけど、そこで待ち合わせすることになるかもしれないけど大丈夫?」

「大丈夫です」

「じゃあそうやって言っておくわね」


そう言ってケータイでメールを送る一花。

その横で隆を中心に作戦会議を行う三人。


「で、どうする?」

「もちろん行くに決まってるだろ」

「委員長がお姉さんって言ってる人ってどんな人なのかな?」

「多分さっき電話してた友達とかだろ」

「ちょっとテンパってる市原面白かったな」

「たまらんな」

「あんまりいじめたらダメだよ?」

「はいはい、わかりましたよ。黒木マリア様」

「その名前で呼ばないでよー。テクニシャン隆ー」

「なんだそれ?」

「前に会ったちびっ子いるだろ? あいつの情報によると、名波は聖母扱いらしい。だからマリア様ってわけ」

「隆なんかテクニシャンって呼ばれてるんだよー」

「それはお前が勝手に呼んでるだけだろ」

「へぇー。俺はなんて呼ばれてるんだろ?」

「今度会ったら聞いてみろよ」

「なんの話?」


メールが終わった一花が隆達の作戦会議の輪に入ってきた。


「いや、別に。ただ一年の中でどう思われてるのかなーって話」

「よっぽどの有名人じゃないと一年生の話題に上がらないわよ」

「ところがどっこい。隆と名波はな・・・」


拓馬が一年生から見た隆と名波の印象を教えたりして、楽しい昼休みを過ごした。

そして本番である放課後へと時間は進んでいく。

果たして一花の姉(仮)とは誰なのか?


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると大変大喜びします。


今回から3回分は3部構成となっております。

最近刺激が足りなくて事件もなにもないのんびりほんわか小説になりつつあったので、そろそろ展開があってもいいかなぁと思って進めちゃいました。

これで話が動いていくかと言われればうーん・・・


次回もお楽しみに!

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