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椿来兎の恒例行事?

入学式の次の日の昼休み。

いそいそと昼ご飯を食べた隆と拓馬は、来兎に連れられて一年生の教室がある3階へとやってきた。

拓馬と来兎はすぐに打ち解けて、すっかり仲良くなっている。波長が合うってスバラシイ。


「で、一年の教室なんか見て何が楽しいんだよ」

「相沢って意外とエロくない系?」

「隆は意外と純情だぞ」

「マジで? ちょっと意外だわー」

「意外意外って本人の前で失礼だろ」

「はいはい。この時期にここに来る理由といえば、決まってるじゃないか。ほれ、木下。言っておやり」

「新しい黒タイツが似合う人材を探す!」


拓馬は後ろに『バァーン』とう擬音が見えそうなくらい堂々と言った。腕を組んで言い切った。

それを隣で聞いていた来兎は、うんうんと頷いている。


「そうそう。新しい黒タイツの人材を・・・って黒タイツ!?」

「おぉ。いいノリツッコミだ」

「は? 違うの?」

「違うよ! いや、違うのか? いや、び、微妙に違うよ!」

「じゃあ椿は何しにきたんだ?」

「そりゃ可愛い女の子の発掘に来たんだろうが!」


熱く強く拳を握って訴えかける来兎。

そんな来兎を拓馬と隆は少し冷めた視線で受け止める。


「あーそうだよねー。若干盛ってる高校生ってそんな感じだよねー」

「わかるわかるー。なんか黒タイツに興味無いとか問題外だよねー」

「二人して会話がかみ合ってないことにはつっこまないのな」


ツッコミの才能を余すことなく発揮している来兎。

そんな来兎に隆が呆れ顔で尋ねる。


「とまぁ冗談は置いておいて。なんでこの間まで中学生だったやつらの見物をせねばならんのだ」

「いやいや、恒例行事でしょ。一年生が入ってきたらとりあえず見に行かない?」

「「行かない」」

「もしかして年下には興味無い系?」

「あるかないかと言われれば無いな」

「俺は黒タイツにしか興味無い」

「このイケメン共! 死ね! 滅びろ!」


キッパリと答える拓馬と隆に、来兎が暴言をぶつけるも反応は無かった。。

来兎は拓馬や隆に比べると顔のレベルは劣っている。だがそれでも中の上ぐらいはあると見える。

来兎がその中の上ぐらいの顔をデローンとさせながら文句を言う。


「えぇー。じゃあなんでついてきたんだよー」

「なんとなく。面白そうだったから」

「たまには黒タイツの似合う人材を発掘するのもいいかと思ったから」

「もうなんなんだよー」


二人の対応方法がまだわからない来兎は、困っていた。


「よーしわかった。もう俺に大人しくついてこい。わかったな!」

「「はーい」」


ダラーっとした返事をした二人を引き連れて、1年1組から順番に回っていった。



ひたすら教室の入口から中の様子を伺うこと5クラス目。

拓馬はまだしも、隆はめんどくさくなってきて教室の中を覗こうともせずに、到着してすぐに廊下の壁に寄りかかって待機していた。

そんな時である。


「うちの王子様キターーー!!!!!」


ものすごい絶叫とも奇声とも言える声が廊下に響きわたった。

三人はその声にビクッとなったが、状況確認をする暇も与えずに隆は右脇腹にものすごいタックルを喰らって廊下に倒れる。正面から見ると横向きにくの字に折れてました。

何事かと思った隆が、起き上がろうとして自分の胴体に巻きついているちびっ子に声をかける。


「貴様。何奴か」


思わず武将めいた言葉になってしまったが、ちびっ子はなんとも思わなかったらしく、顔を上げてニコっと笑うと自己紹介を始める。


「うちの名前は神崎美緒(かんざき みお)です! あなたを王子様にしたくて飛びつきました! ごめんなさい!」

「なんだ? 王子様?」


隆が謎のちびっ子・美緒に抱きつかれたまま頭にハテナを浮かべていると、何事かと思った拓馬と来兎が近づいてきた。


「隆、大丈夫か?」

「大丈夫に見えないと思ったなら助けてくれ」

「おっ! なかなかの美少女!」

「椿ー。やっぱりお前ってロリコンだよな」

「だれがロリコンか! 俺は可愛い女の子が好きなの! この子だって小さくて可愛いじゃんよ~」


顔に手を当ててクネクネする来兎。この来兎君ですが、ロリコンです。ロリコンとはいえども、自分の年齢から前後4歳ぐらいまでが許容範囲だと言っておりますが、高校生の4つ下となると中学生なので、ロリコンと呼ばれても仕方のないことなのです。


「ロリコンでもフェミニストでもどっちでもいいから早く助けてくれ」

「ロリコンとフェミニストは違いますー。ロリコンってゆーのはロリータコンプレックスの略で」

「どうでもいいから早く助けろよ!」


ロリコン談義を始めようとしていた来兎を無視して、拓馬が美緒の駆除に取り掛かる。

隆から引き離そうとして、美緒の脇に手を差し込んだその時だった。


「キャー痴漢ー! 変態ー! 離してー! おーかーさーれーるー!!」

「おい、ちょっ! 急になんだよ!」


ひょいっと拓馬に持ち上げられそうになった途端に、拓馬のことを変態扱いし始めたのである。

しかし美緒の拘束が解けたことにより、隆が自由になり、親友のピンチに隆が戦闘モードへと移る。


「おいちびっ子。うるせぇ。泣き止め」

「はいっ!」


とてもいい返事をして泣き止んだ美緒。そして隆に笑顔を向けている。どうやら次の指示を待っているようです。


「叫ぶよりもまずは言うことがあるんじゃないのか? 特に俺に!」

「あっ! そうでした! うちの王子様になってください!」

「ちげーだろ! 謝れよ! ごめんなさいだろ!」


首を傾げる美緒。

その仕草に舌打ちとともにイラッとした隆が牙をむこうとした。その気配をいち早く察知した拓馬が止めに入る。


「隆! ストップ! 相手は一年だぞ!」

「関係ねーよ。うちの双子よりは年上だ」

「そうかもしんないけどさ!」


キーンコーンカーンコーン

昼休みの終了を告げる予鈴が鳴り響いた。レフリーストップのコングのようなタイミングだった。


「ちっ! いいかちびっ子。話があるから、次の授業が終わったら・・・って放課後になるのか。放課後になったら俺のクラスに来い。3年4組だ。わかったな?」

「はいっ!」


そう言い残すと隆は自分のクラスへと戻っていった。

その後ろ姿を見ながら、拓馬に来兎が尋ねる。


「相沢って怖いな」

「怒らせると一番怖いと思うぞ。あ、でも隆も名波には敵わないけどな」

「えっ! そうなの? やっぱりいつの時代も女って強いんだな」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発狂します。


また一人新キャラ出ました。

テンション高いなぁ。


次回もお楽しみに!

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