表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/187

新学期・後編

始業式が終わると、先生たちの打ち合わせがあるらしく、進級後初のホームルームまで少し時間が空いていた。


「相沢君」

「ん?」

「今日の帰りは木下君と帰るのかしら?」

「あー多分な」

「多分っていつも一緒に帰ってるのに?」

「家が近いから一緒に帰ってるだけで、特に約束とかはしてないぞ?」

「もし私が木下君と二人で帰りたいって言ったら邪魔する?」

「それはもちろん」

「・・・嫌な性格してるわね」

「お互い様だろ」


お互いの何を計り合っているのかはよくわからないが、隆からしてみれば一花と話す以外にすることが無かった。

会話が途切れてしまってまた暇になってしまい、なんとなく目の前の黒板を見上げてみた。


「相沢?」

「ん? 誰?」


黒板を見上げた時に、ちょうど目の前に見知らぬ男子生徒の顔があった。


「人の名前を聞くときは、まず自分からって言うだろ?」

「今俺の名前呼んだじゃん」

「おっとカッコイイこと言ったと思ったのにバレバレでしたか」

「もしかして俺、あんたのこと知ってる?」

「いや、初対面だと思うよ。俺が一方的に知ってるだけ」

「なんで知ってんの?」

「いや、相沢って結構有名だよ? イタズラ王子とか呼ばれてたし、うちのクラスの女子とかにも結構人気あったし」

「ふーん」


隆は自分の風評を聞くのは意外と少ないので、新鮮な情報であった。


「まぁ極めつけは、あの黒木名波と付き合ってるってことだけどね」

「あ、やっぱりそこなのね」


名波と付き合いだしてからというもの、名波関連の噂ならあることないこと、嫌でも耳に入ってくるようになった。

隆に脅されて名波が付き合っているだの、隆が名波にメロメロだの、拓馬と隆が名波をめぐって大喧嘩しただの、色々な噂が飛び交っていた。

そこで隆はふと思い出す。


「で、あんた誰?」

「おっと、こりゃ失敬。俺の名前は椿来兎(つばき らいと)っていうんだ」

「すごい名前だな」

「よく言われる。ほら、最近言うじゃん? ドキュンネームとかキラキラネームとかって。うちの親も無駄に流行に先駆けちゃった一人なんだよねー」

「なんか残念だな」

「まぁ慣れたけどね。ってゆーよりも市役所の人も提出したときに止めてくれれば良かったんだよ」

「面白がってるんじゃない?」

「多分ね」


互いにアハハと軽く笑う。


「まぁ同じクラスになったんだし、仲良くしてよ」

「そうだな。なんか用があったら話しかけろよ」

「アハハ。相沢からも話しかけてくれよな。じゃあな」


そう言って手を挙げて自分の席へと戻っていく来兎。

すると横で見ていた一花が声をかける。


「あら。早速お友達できたみたいね」

「まだクラスメイトだろ」

「相沢君の友達基準ってどこなのよ」

「いつだか名波にも聞かれたけど、互いに友達だと思ったら友達なんじゃね?」

「私と相沢君は友達?」

「拓馬論だと、友達の友達は友達らしいぞ?」

「つまり?」

「俺と委員長は友達ってことだろ」

「そうなの? 嬉しいかな」


笑顔を見せる一花に笑顔で返す隆。意外と仲良しなんですね。この二人。


一方その頃。

拓馬と名波は人だかりの真ん中にいた。正確には名波の周りに人が集まってきたので、それに拓馬が巻き込まれている状態になっている。

なんでこうなったのかと言うと・・・まぁご察しの通りです。


「やっぱり黒木さん可愛いわぁ」

「こんなに近くで見れたの初めてかも」

「やべっ。良い匂いしてきた」

「あ、俺今オナラしちゃった」

「マジデコロス」


一番近くて前の席ぐらいからの近距離での野次馬に囲まれている名波でした。

名波は他の人から見られるのは慣れているとはいえども、このくらいの近距離で集団から見られることに慣れていないので、さすがにビクついていました。


「ちょっと、拓馬ぁ。どっか行かない?」

「そんなこと言われたって、もう少しでホームルーム始まっちまうだろうが」

「どうしたらいいのさぁ。居心地悪すぎるぅ・・・」


さすがの名波も拓馬もこの状況にはお手上げでした。

その時、助っ人が参上しました。


「これ! 散った散った! このクラスは動物園じゃないよー! これ以上見るなら見学料取るからねー!」


人ごみの周りで大きい声を出しながら、人ごみを蹴散らしていく女子が駆けつけた。

その女子生徒のおかげで、人ごみは散っていき、教室内は落ち着きを取り戻していた。

これには名波も拓馬もホッとして、その女子生徒にお礼を言う。


「ありがとー。私、黒木名波。よろしくね」

「俺は木下拓馬。よろしくな」

「私は広瀬圭子(ひろせ けいこ)。よろしくね。って言っても、私なんかがよろしくしてもらうなんてちょっと夢みたい」

「夢?」

「だって超有名人の黒木さんだよ? どう考えたって仲良くしてもらえないだわよー!」


いつだか聞いたようなことを圭子の口から聞いた拓馬が隣の名波を見ると、少ししょんぼりとしていた。やはり『高嶺の花』扱いされているのは、少し傷つくらしい。名波自身は自然体でいるだけなのに、何もしていないのに、みんなから謎の扱いを受けているのだから仕方のないことなのかもしれない。


「名波は面白い奴だぞ?」

「そういえば木下君も黒木さんと仲良いんだもんね」

「よく知ってるな」

「まぁねー」

「広瀬さんも同じクラスなんだよね?」

「そうだよー。・・・あっ! もしかしてさっき私がやったことって、迷惑だった?」

「そんなことないよ! むしろすごい助かったよ! ありがと!」

「うっ! そんなに眩しい笑顔を見せられたら、私溶けてしまいそうだ!」


手を顔の前で交差させて、自分に影を作ろうと試みるが、大して効果は無いようだった。


「まぁ同じクラスになったのも何かの縁だし、よろしくな。広瀬」

「私共仲良くしてね。広瀬さん」

「こちらこそ! よろしくね。黒木さんと木下君」


三人はお互いの顔を見て微笑みあった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると発熱で溶けてしまうかもしれません。


新キャラが出てきました。

どんな人なのかは今後のお楽しみです。

次回ももう一人増えます。

大量豆乳ってやつですね。・・・あ、投入でした。てへぺろ。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ