the same old ritual
日が回って部屋が暗くなるたびに木屑と血肉でデコレーションされたハチェットを照らす月明かりと青い顔をした“みんな”が登場しそれが頭の奥底からてっぺんまで俺を見てくれというようにぐるぐる回って、つまり眠れなかった。それで俺は蝋燭に火を灯し気を紛らわすために露店で手に入れた薬草を乾燥させ紙で巻いたものを摂取するために使ったマッチとその箱をジャケットにしまっていることを今更思い出して、彼女の正体を知ったときいっそのこと燃やしてしまおうかと考えてやめた。今までこいつをどうにかしようと試行錯誤して結局徒労だったから、ただこの自室の天井より薄気味悪いにやけヅラを見てるとはらわたが煮えくり返ったり凍りついたりして自分を手放してしまいそうだ。思わぬ提案をしてきたのは薄汚い湖と火災の田舎町を超えくたびれた礼拝堂の前を通りかかったときだった。錆びた短剣を彼女が取り出したとき、その持ち主は本来あの建物の裏で息絶えているべきはずだったのに未使用のままここに立っているということを理解する。取手を俺の方へ向けて殺人鬼は、これでわたしを殺せばいいと放ったとき、心に冷たい風が吹いていた青年はすぐさまそれをひったくって少女の喉元に突き立てようとする自分を、悪魔の思うつぼだと言い聞かせて堪えた。そんなこと知っているさというふうに殺人鬼は涼しく笑って踵を返す。
「きみがやらないならいいんだ。どうせ使い終わったら、わたしが始末するつもりだった」
これはささやかなサーヴィスだと、彼女が軽やかな足取りで礼拝堂へ入っていく様子を哀れな青年は(あるいは少年は)いつものようにただ、こうやって、眺めることしかできない。カラスが鳴いた。黙ってろ。




