キス釣り
体調が悪いので、病院で診察を受けたら熱中症でした。皆様も気を付けて下さい。
今日はキス釣りに来ている。来週はお盆期間になるから、洋菓子店の緊急へルプに対応できる様に自宅付近にいるつもりだ。
実は雪華の両親がウチに来ることにもなっている。雪華のこちらでの生活を見たいというのが本音な気がするメッセージだった。表向きは雪華がバイトを始めたので雪華のお父さんの会社に提出する書類の記入らしい。
一応は日帰りの予定らしいけど、一泊もあるかもしれない。何せ俺の両親と雪華の両親は仲良しだからな。つまりは結婚への視界は良好ってことだ!雪華にはお兄さんもいる、顔を合わす機会は少ないけれど俺のことを弟分として見てくれている。現在大学生で、雪華とは6歳差だ。
「さて、投げ釣りの感覚は覚えてるか?」
「ちょっと不安かも」
「なら仕掛け針を付けずにオモリだけの状態で投げてみるか。投げ方は覚えてるか?」
「そこは大丈夫 よっと」
そうして投げたオモリはいい感じの場所へ着水した。
「大丈夫そうだな、なら仕掛けを付けるぞ。俺も隣で投げてるから仕掛けを俺のほうに投げてオマツリ(※仕掛け同士を絡ませること)はやめてくれよ?あと、後方確認もしっかりな」
「は〜い」
俺達と同じように釣りに来ている人もチラホラいるから周囲の確認はしっかりと。
数回投げてると雪華にアタリがあった、らしい。リールを巻くことをしばらくしてキスを三匹釣り上げた。
「やったな!良サイズで美味そうだ」
「キスってさ、結構綺麗だよね」
「だな。どうした?飼いたいのか?」
「うん、ちょっと思った。寿命ってどの位なのかな?」
「だいたい5年位といわれてるな。まあ飼育下なら長生きの個体もいるかもな」
「じゃあ飼ってみたい」
「了解だ。なら本来はリリースサイズの小さめのやつを三匹ほど確保しておくか」
「水槽は新しく立ち上げるの?」
「いんや。当面はべラと同じ水槽でいいだろ、水槽の環境も砂地で同じだからな」
「そうなんだね」
こうしてキスの飼育が決まるのだった。
その後もいい感じで釣れている。キスは10匹釣れたので家族分は確保できたし、マゴチやヒイラギなんかも釣れているので釣果は上々だ、そう思っていると。
「ひろ君、ハゼが釣れたよ」
「おお!イトヒキハゼじゃん。これはウチで飼育しているヤシャハゼとかと一緒でテッポウエビとの共生ハゼなんだよ」
「飼育する?」
「数が釣れてたら食べるんだけど、これだけなら飼育するか。次のガサガサの時にテッポウエビも捕まえようぜ」
「わかった!楽しみだね」
そんな感じで時間は過ぎていき、帰宅することにした。
「結構釣れたね」
「だな。蔵持先生へのお土産も出来たし、飼育する魚も釣れたし上々の釣果だよな」
「今度はガサガサ?」
「その予定だ。夏休みが終わっても数回は行く予定だからよろしくな。あとは河口でのハゼ釣りも予定しているぞ」
「そうなんだね! …やっぱりひろ君のところに来て正確だった。毎日楽しい」
「ん?何か言ったか?」
「うん!夏休みもそうだけど、毎日楽しくて充実してるなって」
「そっか。喜んでもらえてるなら何よりだよ」
あの顔、確実に向こうで何かあったな。雪華の両親に聞いてみよう、近々ウチに来るからな。
最寄り駅に戻ってきた俺達は高校へと向かっている。ここで蔵持先生と待ち合わせだからだ。
先生には事前に今日釣りに行くことを連絡してあるし、電車内では予定時刻を連絡してある。
高校の校門前に先生はいた。
「「先生、お久しぶりです」」
「お久しぶりです。わざわざありがとうございます」
「先生のほうこそ、すみません。ここから遠かった場合申し訳ないです」
「いえ。私は近くのマンションなので平気ですよ。職場近くじゃないと疲れて帰るとき、しんどいですから」
雪華「あははは」
「じゃあこれ、連絡しておいた釣果のキスとヒイラギです」
「ありがとうございます。ではこれで二人で何か食べて下さい」
そう言ってお金を渡してくる。
「受け取っても平気ですか?」
「今は完全にプライべートなので平気ですよ。それに高額ではありませんから」
「わかりました、ありがたく頂戴します。今度はガサガサに行きますので楽しみにしていて下さい」
「遊ぶのもいいですけど、自宅課題もしっかりやりなさいよ?」
「もちろんです。では、失礼します」
「先生、失礼します」
そう言いつつ、ペコッと頭を下げる。徒歩圏内なのか、バス停とは別方向に行く先生だった。
帰宅後は先日のガサガサ同様、飼育する魚は薬浴をする。
今日は別のおかずなので下処理だけしておく。
蔵持先生に渡した魚は全部俺が釣ったのになっている。雪華が釣ったのは家族で食べたいと感じたからだ。蔵持先生に渡す時にその事に気付いた雪華に就寝前のいつもの時間は甘えられて大変だった。




