ある日の朝食後
すみません。短いです。
朝、飼育部屋に異変があった。
どうやら飼育中のタツノオトシゴが出産(産仔)しそうだ。彩夏には何度か観察させているけど、雪華はどうだろうか?バイトまで時間があるし聞いてみよう。
「雪華。タツノオトシゴの出産って見たことある?」
「動画では見たことあるけど、実際には無いよ」
「なら丁度いいや。出産しそうだから飼育部屋に見にこいよ」
「すごい、本当に?すぐ行く」
雪華と一緒に飼育部屋へと向かい、飼育水槽の前へと来た。
「今回出産するのはサンゴタツという種類だな。小型の種類だから産仔数はそれ程多くは無いよ」
「なるほどね。成魚になるのはどの位なの?」
「だいたい、7〜8割位かな。稚魚の餌の確保が難しい種類だけどクリアできる環境だしな」
「確かにね。普通の家なら怒られる部屋だよ」
「雪華は結婚したら意識が変わって反対する?」
「しない。あたし自身が好きなんだから、否定しないよ。だから安心して飼育は続けてね」
そんな会話をしていたら出産が始まった。雪華はすごく興味津々で観察している。
知っている人も多いと思うけど、タツノオトシゴはオスが出産する。オスには育児嚢と呼ばれるのがあり、そこにメスが卵を預ける。なので、海水魚の中では繁殖が楽しめる種類だな。
時間にして約10分。そろそろ終わりかな?時間が経ってから出てくる場合もあるけど、出産はほぼ終了だろう。後は稚魚を紙コップで回収して、親と同じ水槽内に隔離ケースを取り付けてそこでしばらく育てていく。
「いいもの見せてもらった。ありがとね」
「おう」
「彩夏ちゃんには見せなくていいの?」
「彩夏は何度も見てるしな。淡水魚含めて産卵や出産シーンは結構見てるぞ」
「そう考えると贅沢な環境なのかもね。鳥や昆虫とかもいるしさ」
「そうなのかな?よくわからないや」
「で、繁殖させたのはお金に替えるわけだ」
「そうだな。維持費や新しいやつの購入資金にしているな」
「なるほどね」
「雪華だってレオパの繁殖狙えばいいじゃん。この部屋にスぺース作るぞ?」
「それはまだ先にするよ。でも、野外採集したヤモリちゃんは繁殖狙ってみたいよね」
「そうだな」
そんな会話をして部屋を後にする。
飼育部屋の室温は年中一定になっている。
気温や水温の変動が繁殖トリガーになっている種類もあれば日照時間の長短が繁殖トリガーの種類もあるので、その辺は創意工夫でやっている。
室温を一定にしているならエアコンがフル稼働だから電気代が大変そうだと思うかも知れないが安心して欲しい。何せ我が家の屋上には自家発電の設備があるから問題ない。月々の電気代を確認しているけど、高額請求ではないからさ。




