彩夏の誕生日プレゼント
今日は雪華と一緒に水族館へと向かっている。実は、彩夏の誕プレを買う目的なんだけどね。
ここの水族館は館外に土産物売場があるので、入場料を支払わずにお土産を物色できるのだ!
セコいとか言うなよ、今月は色々と出費があるから抑えられるのは抑えたいんだよ。
〜電車内にて〜
「へえ、館外にお土産屋さんがあるんだ。それなら気軽に入れるね」
「申し訳ないけど、今回は水族館への入場は無しな。今度改めてデートに来るからさ」
「でも、ひろ君の飼育部屋も魚に限って言えば似たようなもんじゃん」
「いや、まあ、うん。確かに珍しいのも飼育しているけどさ、巨大水槽を見るのもいいだろ?」
「あたしとしては、釣りに行くほうがいいかな。釣った魚を食べれるし」
「さいですか」
まあ雪華が楽しいと思えることをするのが一番だからな、釣りがいいと言うならそうしましょう。
そんな会話をしながら水族館外の土産物店に到着する。
「何を買うの?」
「ぬいぐるみを予定してるんだよね。両親は文房具系を準備するみたいだし」
両親の祖父母は現金支給の模様。自分の好きなものを買いなさい、ということ。
「そっか。あたしは何がいいかな?」
「ここには無いけど、ネコ柄のマグカップを可愛いと言ってたから喜ぶと思うぞ」
「それいいね」
さて、彩夏にはラッコのぬいぐるみにしてあげよう、抱き枕にも使えそうな大きめのを購入しようかな。お?メンダコのぬいぐるみもあるのか!これは愛美が喜びそうだから、愛美の誕プレ候補で朝輝にはペンギンだな。なんて考えながら物色していると雪華が見つめているぬいぐるみがあった。
「この、べルーガのぬいぐるみが欲しいのか?」
「え? あ、うん。可愛いなとは思ってた」
ふむ、ならば一緒に買ってあげよう。
「買ってあげるよ。そこまで高い商品じゃないからさ」
「え?でも」
「いいから、いいから。大好きな雪華にプレゼントしたいから受け取って」
「Kiitos。大切にするね」
ラッコとべルーガのぬいぐるみは自宅配送を申し込みしておいた。彩夏の誕生日までには到着するから問題ないからね。それとは別にウミガメのキーホルダーを雪華とお揃いで購入した。
尚、申し訳ないけど自宅へのお土産は無しだ。館外とはいえ、水族館に来たのがバレたら、連れて行って欲しかったと妹達に言われるからな。
〜雪華side〜
まったく、ひろ君はあたしに甘すぎる。離れていた時間があるからなのかな?
でもここで、勘違い女子みたいに高価な商品を欲しがるようになってはダメ!そういう事をしたら一気にあたしへの愛情が消えていくから。ああ見えてひろ君はシビアなのだ。
そんな事を思いつつ商品を見ていると、イルカのアクリルスタンドに目が止まった。ピンクとブルーのイルカが中央でハートを作っている絵柄になっている。カップル向けなのかイルカの下の部分には名入れが出来る仕様になっているので購入することにした。
名入れはローマ字以外に漢字も可能との事なので漢字にしておいた。到着には少し時間が必要とのことだったけど問題ない。
何を購入したのか気になってたみたいだけどsalaisuusと言っておいた。
〜〜〜
さて、地元に戻ってきた俺達はショッピングモールへとやってきた、雪華の浴衣を買うためだな。早速浴衣が売っている特設会場へ。
「もし、雪華が気になるのがあれば言えよ?」
「ぬいぐるみも買ってもらったし、自分で買うから平気だよ」
「そこまで高額じゃないからいいんだけどな。で、俺が着て欲しいのはこの金魚柄なんだけど、どうかな?」
「へえ。横からじゃなくて上から見た金魚の柄なんだね」
「そうなんだよ。この尾ビレの広がり具合なんてウチで飼育している土佐金(※土佐錦ともいう)にそっくりだろ?」
「そんな視点で浴衣の金魚を見るのなんて、ひろ君ぐらいだよ……」
なんで呆れた目で見られにゃならんのだ!解せぬ。
「そんな細けえことはいいじゃん。で、気に入った?」
「うん!いいと思う。あたしのと同じで洗濯可能だし」
「なら、購入してくるな」
購入して売場を離れて、今度は雑貨屋だ。ここで一点物の可愛いネコのマグカップがあったので雪華が彩夏の誕プレ用に購入し帰宅することに。
〜帰宅中〜
「気になる浴衣の柄は無かったのか?」
「そんな何着も必要無いわよ。着る機会なんて少ないんだしさ、買うとしても来年ね」
「確かにそうだな。じゃあ実用的に温泉浴衣でも買うか?」
「買ってどうすんのよ?」
「俺が温泉に泊まりに来た感覚が味わえるだろ?」
「んもう」
そんな事を話しつつ、帰宅した。無事に彩夏の誕プレを確保できたし、よかったよかった。




