着衣泳
日曜の午前中にジムへと来た。今日は母さんの訓練日とは違うけど、年数回必ず受講しているのがあるのだ。
それは、着衣泳教室。不定期で開催されているやつに引っ越ししてきてから毎回参加している。
釣りやガサガサをする時は、ライフジャケットを着用しているけど用心と感覚を覚えておくためだな。
今回俺が着ているのは、長袖に長ズボン。それと重しを身につけている。他の参加者は半袖にハーフパンツといった軽装だ。向こうは俺の容姿を小バカにしているみたいでクスクスと笑い声が聞こえる。
そんな感じで始まったが、軽装組は動きづらさはあるようだけど泳げてはいるな。対する俺は立ち泳ぎを中心に訓練している。イメージとしては、双子の一人を抱えて泳いでいる感覚だ。中学生になってからは毎回必ず自分自身に起こる可能性があることをイメージしながら挑んでいる。なので、速さとしては最下位だから余計にバカにされている雰囲気があるが気にしない。
(ふう。いきなり20Kgはやりすぎたな。バテバテだ)
プールサイドで休憩していると、顔見知りの講師の先生と俺が疲れているのを面白がってる野次馬がやって来た。
「よっ。今回も参加してくれてありがとな!にしても、らしくない動きだなどうした?」
「こんにちは。今回は胸に約20Kgの重りを身につけてたんですよ、ホラ」
そう言って腰痛べルトを改造して、重り付きのを講師に渡す。
「お前さんは毎回変わったことをするな。今回の趣旨は何だ?」
「今回は妹の救助を念頭に訓練させてもらいました」
「それでこの重さか…」
「はい。ただ、いきなり20Kgはやり過ぎました。ご覧の通りバテバテです」
「いや、それでも充分すごいことだ。衣服が無ければどうだ?」
「海パンだけなら比較的余裕がありますね。相手が暴れなければ、ですが」
「そうか。時間まで訓練するか?」
「はい。感覚を養いたいので」
「わかった。無理だけはするなよ」
そう言って去っていく講師。野次馬は面白くなさそうにしていた。こちとら真剣でお前らのための見世物じゃないんだよ。
その後も休みながら訓練していると、時間となり終了。
帰宅して、昼飯をガッツリ食べたら流石に疲労困憊なので愛美と朝輝と一緒に和室に敷いたお昼寝布団でお昼寝。
兄が一緒に寝てくれるんで、最初はテンションが上がっていた二人だけど俺が寝たら寄り添うように寝てしまったそうだ。
目が覚めたら両脇をガッチリホールドされていたけどそこは慣れたもの、一人ずつ丁寧に剥がして起きる。
時刻を確認すると15時前。約2時間寝ていたことになる。でも、疲れはとれたしスッキリしている。筋肉痛は…どうだろう?明日にならないとわからんな。
今日の晩飯の準備は母さんがすでに終えていて、後は焼くだけ。ちなみにメニューは回鍋肉の野菜多めとなっている。
〜就寝前のいつもの時間〜
「今日は一緒にいる時間が少なくてゴメンな?」
「平気だよ。あたしも試験勉強してたからさ、今回も少しだけ夜更かしするから肌荒れするかもしれない」
「前回の時、気がつかなかったけど?」
「そりゃ、お手入れしてたもん。あたしさ、化粧品の一部は肌が受け付けないらしくて赤くなるのよ。だから、すっぴんに近いから日頃からお手入れは入念にしてるのよ?」
「陰の努力、お疲れ様です」
そう言って頭を下げる。
「大好きな人に好きでいてもらうためだもん。美容と健康には気を使わないと」
「俺も健康には気を使うけど、ファッションとかは疎いから雪華まかせで申し訳ないな」
「ひろ君をあたし好みの格好に出来るから嬉しいし、楽しんでるから平気。これからも頼ってよね!」
「了解だ!明日からテストだけど、この後も勉強するのか?」
「少しだけ。ひろ君は寝るんだよね」
「ああ。昼寝したとはいえ疲れたからな、ちゃんと寝て明日に備えるよ」
「わかった。Hyvää yötä」
「うん。おやすみ」
「「んっ」」
おやすみのキスをして、雪華は自室へと向かう。
いつもと違い、普通に“おやすみ”と返してしまったな。それだけ疲れているという事か?そんな事を思いつつ眠りの世界へと向かうのだった。
明日からは期末テスト。それが終われば久々に雪華と過ごせる夏休みだ!




