雪華のファッションショー
梅雨明け。
結局雨はあまり降らなかった。その代わりゲリラ雷雨があったけどさ。雨天時は外出が嫌な俺にとってはありがたいけど、適度な降雨は欲しかった。
庭の家庭菜園で、今年初のスイカが収穫できたどー!早速オヤツの時間に食べよう。我が家の冷蔵庫はデカイので一個丸ごと入れても余裕だぜ。
さて、時刻は三時前。確認すると冷え具合もいい感じなので、全員集合だな!
「雪華。庭の初穫れスイカを食べるから勉強は小休止にしなよ」
自室にて勉強中の雪華に声をかける。
「んーっ! いいね。行こっか」
伸びをしたあとに小休止に同意してくれた雪華と共に下に降りる。リビングテーブルに雪華以外集まっているから合流してもらい、俺はスイカを持って行く。
「ひろ君、それってお高いスイカだよね?」
「おう!スーパーとかで箱入りで売られている場合もある黒玉スイカだ!」
漫画とかの表現で良くある“ババン”と効果音がある感じで雪華に見せる。
「うわ〜。高くて一生食べることは無いと思っていたよ」
「食べれちゃうんだぜ〜。とは言っても作ったの今年が初めてなんだけどね。普通の皮色の中身が赤玉や黄玉で勉強して満を持してって感じだな」
「お母さん達に悪い気がする」
「これが美味しく出来てたら、次のを送るから安心してくれ。雪華と同居してない場合も送る予定だったからさ」
「Kiitos、ひろ君は優しいね」
「では、切るぞ〜」
そう言って安全を確認しながら横半分に切る。その後、甘いのは中心部分なので放射線状に切れば全員に中心部分があるスイカの切り方の完成だ。
「いただきま〜す」
そう言ってカプッと一口。本当なら皮側から食べていくと甘味を最後まで持続できるけど、最初だしね。
「結構いい感じに出来たんじゃないか?」
俺がそう言うと。
「市販の黒玉は食べたこと無いから本物の味は知らないけど、上出来じゃないの?」
母さんも追従してくれる。
彩夏と愛美と朝輝も美味しいらしくて夢中で食べているし、父さんも頷きながら食べている。
「ひろ君、美味しいよ」
雪華も満足しているみたいだな。
結局、黒玉スイカは全員満足な甘さだったらしく、一玉を食べ切ってしまった。まだ収穫可能だし、普通の縞模様の赤玉と黄玉も栽培しているから、スイカはまだまだ食べれるぜ!
メロンとまくわウリも収穫間近だし、楽しみだ。
就寝前のいつもの時間。雪華が見せたいものがあると言うので待っていると。
「バイト先の制服だよ」
そう言ってピンク基調の制服を着ていた。
「おー、中々可愛いじゃん。夕方に少し出かけたのはこれを受け取ってきたのか」
「うん。サイズ確認で一度着用して、って言われたの」
「接客だし、動きやすそうでいいじゃん」
ヒラヒラフリフリな感じでは無く、機能性重視といった感じだな。
「じゃあ着替えてくるね」
そう言って部屋から出ていく。
「お次は浴衣だよ〜」
部屋に戻ってきた雪華は浴衣を着ていた。自分で着付けが出来るのはビデオ通話で知っていた。
「朝顔柄か!すごく似合ってるよ。今度、俺好みの柄の浴衣を買いに行こうぜ?」
「それも楽しそうだね。どんな柄を選んでくれるのかな?」
「それはお楽しみで。ただ、売り切れが心配だから近い内に行こうぜ。今なら時期的に取寄せ可能かもだし」
「うん。夏休みデートだね」
そう言いながらまた部屋から出ていく。
「お次は学校指定のスク水です」
うっ。これは一番ヤバイぞ。雪華自身も恥ずかしいのか、モジモジしているのも相まって思考が危険な方向へ行きそうだ。
「雪華は水泳の選択していなかったよな?」
何とか言葉を発する。
「うん。でも、ひろ君専用に購入したの」
「そうか、ありがとな。ファッションショーが終わったならパジャマに着替えてこいよ。な?」
そう言って背中を押しながら、出ていってもらう。
その後、パジャマに着替えた雪華といつもの時間を過ごして“おやすみ”する。
スク水の破壊力はあぶなかった。もし、水着選びに付き合わされたらどうしましょう。ただし、結婚後はあれで膝枕をしてもらおうと固く決心するのだった。
〜雪華side〜
ひろ君がスク水を着ているあたしを見る視線が男の視線になってた。
あたし自身そういう目で見られる覚悟だったから不快には思っていないし、女として見られている事に安心する。
今度、水着選びに付き合わせてみようかな、なんてイタズラ心が出てきた。
でもね、結婚後は下着を含めて様々な格好で誘惑するから覚悟してよね。




