野菜の収穫
梅雨入りして最初の週末。月末でもある。
雪華がバイトの面接をして一週間になる。そろそろ結果を通知してもいい頃だとは思うけど、募集期間とか具体的なのは知らないし、商店街にも行ってないからどの店かも不明だしなあ。雪華自身焦る様子もないし、俺がヤキモキしてもしゃーないんだけどさ。
今日は曇り空。予報ではたまに雨は降るかもしれない、みたいな感じだ。
俺は今、雪華と一緒に家庭菜園で収穫中。
雨だと一気に野菜が成長するから収穫は早目、早目が大事。
「雪華、次はキュウリの収穫に行こう。それで、今日のところは最後だな」
「わかった。色々収穫できたね、このトマトなんてすごく美味しそうだよ!しかも大玉のオレンジ色のトマトなんて初めて見たよ」
「だろ?スーパーでは滅多に買えない種類の野菜を収穫できるのも家庭菜園の楽しみだよな」
様々な色や大きさの種類の野菜を育てている。
見た目が変わっているから興味を持つので妹弟も野菜嫌いは無い。まあ、食いしん坊な母さんの遺伝子の影響と言われたらそれまでの気もするけどさ、現に俺は最初から食べてたみたいだし。
「ひろ君。このキュウリ育ち過ぎてない?」
「おっと、そうだった。キュウリなんだけど、味噌汁用に育てているのもあるから注意してくれ。ここらの支柱が赤い五株がそうだな、そこにある株は一番下の実が来年用の種を取るやつだから収穫禁止!それ以外は普通に収穫可能だな」
「じゃあ、このキュウリはまだ収穫しないんだね?」
「そうだな。明日に収穫かもな」
「わかった」
ウチでは、わざと太くしてから収穫する味噌汁用キュウリがある。品種としてのジャンボキュウリでは無くてスーパーとかで売られている品種を大きくしたやつになる。
キュウリの味噌汁はあまり一般的では無いかもしれないけど、ウマイんだぜ?
一般に販売されているのを500円玉位の太さとした場合、味噌汁用のは缶コーヒー位の太さになる。それを縦半分に切って真ん中のタネをスプーンとかを使い取り除く。後は横に2cm幅位に切って味噌を溶いた鍋に投入、シャキシャキ感が強めがいいなら火を通す時間は短く、逆に長い場合はシャキシャキ感は無いけど歯ごたえのあるキュウリになる。ウチの場合は後者になるな。
「よし、今日の収穫終了!雪華も手伝いありがとな」
「あたしも楽しかった」
収穫した野菜の一部は昼飯に出そう。キュウリはぬか床に入れとけば昼飯はもちろん晩飯にも出せるし、シロウリも同様だ。
まくわウリやメロン、スイカのフルーツ連合はまだ先。雌花が咲いた後の日数がかかるから収穫は早くて7月中旬だろう。
昼飯後は飼育部屋で軽く作業してからダイニングテーブルで雪華と二人でまったりする。
彩夏は友達と遊びに行ってるし、双子はお昼寝中。父さんと母さんも外出している。
そんな中雪華のスマホに着信があり、会話の内容からどうやらバイトが決まったようだ。その後、烏野さんと鳳来さんにも確認したところ二人も採用されたらしい。近々、シフトのことでバイト先に行くことになったみたいだな。
ただ、我が校はテスト前週間からテスト終了前日までバイト禁止だから、開始日によってはすぐに休むことになるけど大丈夫なのかな。
その辺の説明はした上での採用だから問題はないだろうけどさ。
心配なのはバイト先に男がいた場合や接客業だった場合の迷惑客だな。
必要なら職員室でやったような護身術を烏野さんと鳳来さんにも軽く教えておこうかな。
そんな事を思いつつ、バイト先の業務内容を聞くのであった。




