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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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桃瀬さんの頼み事

 桃瀬さんから放課後に時間が欲しいと言われたので、今日は一緒にファミレスに来ている。

 同行者として雪華と笹嶋さん、鳳来さんも一緒だ。


 桃瀬「内宮君。早速本題なんだけどさ、桃アイスのレシピを考案してくれないかな?もちろん謝礼金は出すし、売り上げの一部も渡すから」

 意外な提案に驚いた。俺はバイト関連の話だとばかり思っていたから。

 でも、雰囲気が少し変だな?

「その前に聞きたいんだけど、親御さんはアイス作りの事知ってるの?」

「まだだね。内宮君の許可を得てから、と思っているから」

「申し訳ないけど、見切り発車になってない?」

「それは、あるかも」

「キツイ言い方になるけどさ、売り上げって事は販売するんだよね。悪いけど、他所様(よそさま)がお金を出すようなものは作れないよ」

「でも、文化祭とかでは喫茶店の出しものとかあるじゃん?」

「それは、()()()だから許されることだよ。素人の学生が作ったアイスなんて普通は買わない。下手したら桃瀬さんの農園の悪い評判になる可能性もあるよ?」

「それは…」

「それにね、アイスとは言え加工品。俺も詳しいことは知らないけど、役所や保健所に報告する必要があったはずだよ」

「そうなの?」

「ほら、そこら辺の調査も不十分じゃん。桃瀬さんが実家の農園を盛り上げたい、って気持ちは察するけどさ、今の状態だと無駄になるよ?」

「うん。ごめん」

 鳳来「まあまあ。内宮さ、桃瀬さんだって何か事情があって頼んだのかもしれないから」

「だからこそ、俺達が止めてあげないと。お金さえ貰えれば、後は知らねー。なんて薄情なことはしたくないから」

 桃瀬「内宮君」

「家族経営の農園だから、深くは詮索しないよ。だけどハッキリ言うならお断りさせていただきます」

「うん、ありがとう。自慢の桃だからさ、多くの人に知ってもらいたいって気持ちが先行してた。今度は入念に準備してからにするよ」

「そうしたほうがいい!」

 話し始めの頃の危うい雰囲気も無くなったし、大丈夫だろう。


 桃瀬「今度は別の話になるんだけどさ、内宮君が農園バイトに消極的なのは何で?」

 やっぱ、その話題になるよね。

「桃が繊細な果実なのを知ってるからね、作業内容によっては失敗して、クラスメイトとしても微妙な雰囲気になるかもだし」

 雪華「具体的には何をするバイトなの?」

 桃瀬「基本的には販売。あと、フルーツキャップ(※網目状の緩衝材のこと)の装着かな」

「悪いけど、フルーツキャップの装着なんてさせたら、弁償とバイトのクビで学校で会うのが憂鬱コースだと思うけど?」

 桃瀬「まさか、そこまでは」

「名前を出して申し訳ないけど、鳳来さんは桃が繊細な果実だと知らなかったからね?普通に桃を掴んで、触れた部分が変色してダメにしていた可能性もあるぞ」

 桃瀬「マジで?」

 鳳来「マジで」

 笹嶋「あたしが失敗したの忘れたの?あの時、友達でいられないって思ったからね?」

「笹嶋さんでもそういう気持ちになるんだから、余計にギクシャクするぞ?」

 桃瀬「待って。そんなに桃の果実はデリケートな認知度低いの?」

「低いと思うぞ?だって、スーパーの桃売場に《触らないで下さい》って注意書きがある位だしさ、子供向けの可能性もあるけど。俺は手前にある桃は絶対買わないぞ?表面上は平気そうに見えて果肉は全体的に赤茶色になってる場合もありそうだし」

 桃瀬「そ、そうなんだ」

 鳳来「この場に居ない人の話になるからここだけの話にして欲しいけど、烏野さんと明槻さんも知らなかったからね?知らずにバイトした場合、うちらのせいで大損害の可能性あったよ?」

 桃瀬「・・・」

 どうやら、ショックのあまり言葉が出ないみたいだな。桃瀬さんの場合、幼い頃から桃について教えられてきた当たり前の事が知られてないんだから当然そうなるよな。

 鳳来「農園バイト止めたほうが良さそうだね」

 雪華「うん。長く働けるとこを探そうね」

 そう言って二人して頷いていた。


「内宮君、今日は色々とありがとね。相談したのが内宮君で良かったよ。石嶺さんと鳳来さんもありがとね」

 そう言って帰っていく桃瀬さん。

「笹嶋さん。悪いけど桃瀬さんの事、お願いね」

 笹嶋「任せて。そのために来たから」

 色々な感情が交錯しているであろう桃瀬さんのことを笹嶋さんにお願いする。力強い言葉と共に桃瀬さんと一緒に帰っていく。


 鳳来「じゃあ、うちも帰るね。二人ともバイバイ」

「「バイバイ」」

 雪華と一緒に軽く手を振って鳳来さんとも別れる。

「俺達も帰ろっか」

「うん」

 自然と手を繋ぐ。


 今度桃瀬さん自慢の桃を買いに行こう、そう思いながら帰宅した。

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