裁縫実習
梅雨の時季が近づいてきた。
ウチの家庭菜園も夏野菜の収穫が始まってきている。家庭果樹園のほうも色々と実っているし楽しみだ。特に熱帯果樹は収穫してからの追熟では無く樹上で完熟してからの収穫だから美味しさが違うんだぜ!
まあ、果実の性質上収穫して追熟させるのもあるから全部では無いけどね。
さて、今回の家庭科は裁縫の実習だ。
前回は調理室だったけど、今いるのは被服室。
進学校では家庭科の実習そのものが無くなってきているらしいけど我が校はしっかりとカリキュラムにある。
他にも保育園での子供触れ合いなんかもあるそうで、俺にとっては慣れてるのばかりだから他の生徒に申し訳ないね。
それで今日は手縫いでの基礎復習。小学校の時に購入した裁縫セットを持参している。
この裁縫セットを購入した時は、雪華が引っ越しする前だからお揃いです。
男子の場合こういう学校指定の購入品は、男友達同士でふざけて手荒に扱われてどこかしら破損するけど、俺のは綺麗な状態を維持している。雪華だけが友達だったからね。
授業内容は、手縫いの基礎中の基礎。玉結びと玉止め、これが出来た人はボタン付けもやるとのこと。
いつも針仕事はミシンだけど細部は手縫いだから、俺にとってはいつもの作業になるわけで、指先が覚えてるんだよね。調理実習と違って個人作業になるから時間もかからないし。
そんな事を考えて、ちょっとボーッとしていたら多澤先生に声をかけられた。
「どうかしましたか内宮君。料理は得意みたいだけど裁縫は苦手ですか?」
「いえ。これならすぐに出来るので、どうしようか悩んでました」
「そっちの悩みですか!?ではここで拝見してもいいですか?」
「はい。お願いします」
そうして俺は先生の前で玉結びと玉止め、ついでにボタン付けも見てもらう。
「上手いですね。これも料理同様、日頃からやっていますか?」
「そうですね。一番下の妹弟は今は三歳なので、色々と手直ししたりする場面が多いですからね。来年は着れなくなっているので、季節物は新しく買わずに持ちこたえられればいいので。裁縫は母さんに鍛えられました」
「そうなんですね。では内宮君はこちらへ」
そう言われて連れてこられたのは準備室。
「このハギレを使って小物を作っていていいですよ」
「ありがとうございます」
大きめの綺麗な色合いの生地を数点選び、席へと戻った。
「綺麗な生地だね。どうしたの?」
班形成は無いけど自然と俺の近くに、内宮班のメンバーがいる。今、声をかけてきたのは鳳来さんだ。
「今日の実習課題が終わったから、これで小物でも作っていてだって」
鳳来「あたしも早く終わらせて生地貰おうっと」
手芸が得意な生徒は一定数いるようで、実習課題を終わらせて、先生から生地を貰って小物作りをしている人もチラホラいる。
小学生時代に経験して、そこからハマる人もいるだろうしね。そういや中学時代の冬の休み時間に編み物をしている女子もいたなあ。
雪華の裁縫は苦手って程でも無いけど、小学校以来とのことで苦戦している。
なので、後ろから雪華の指を持ちつつ教えるという高度なイチャつきをしたりもした。先生には教えていると見えてるから注意もされない。
中学時代は裁縫実習が無かったから知らなかったけど、昌史も意外と手先が器用らしく早めに終わらせていたね。ただ、小物作りまでの時間は無いらしく、色々な縫い方の練習をしているようだった。今後も実習はあるんだし、慣れておいたほうがいいよね。厳さんはこれからの伸びしろに期待ってことで。女子組は、鳳来さんと笹嶋さんが得意みたいで他の女子に教えていたよ。
そんな中で俺が作ったのはポケットティッシュカバー。雪華が好きな色でパッチワーク風に仕上げてある。
雪華愛用品に加わったのは自然なこと。




