バーべキュー中盤
まずは火の通りが遅い野菜とキノコ類を並べ終わったら、メインの肉類へと移るがこれに施設側が用意したやきとり風串刺し肉も含まれる。
この串刺し肉だけどネギ・鶏肉・赤パプリカ・牛肉・黄パプリカとなっている。彩りはバーべキュー感あるね。
肉類を並べるのは女子にお願いした。俺はピーマンの肉みそ詰めを開始する。
「昌史もステーキ肉焼きはじめてもいいぞ?ただ、途中で休ませるから食べるのはまだ先な」
「わかった」
そんなやり取りをしつつも手は動かしている。
挽肉の味付けは自宅で済ませてあるのでピーマンの中へと詰めていき、出来上がり順に網の上に置いていく。
全部置き終わったら肉を詰めた切り口からゴマ油を垂らしていき、ピーマンが焼けてしんなりしたら完成になる。
みんなはトングのみを使用しているけど、俺は菜箸を持参して兼用している。使い慣れたやつもあったほうが崩さずに裏返しできるからね。
「焼きおにぎり食べたい人は言ってね。文字通り焼くから少し時間もらうし」
厳さん「じゃあ頼むわ、何個かおにぎり持参してるけど初めてだからまずは1個頼む。わりぃな」
「いいって。全部焼いて口に合わない時のほうが悲惨だからさ」
そう言って厳さんからおにぎりを受け取り網の上に置く。両面を軽く焼いたら、ゆず胡椒みそにエビ油を混ぜたものをたっぷり塗り、しばらく裏返しながら焼いていく。表面のみそに焦げ目ができたら完成だ。
現在俺の焼きスペースはおにぎりが占領中だ。でもご安心、雪華が俺の分も肉の世話をしてくれているからな。
そんな感じで厳さんのが焼き上がる。
「ほい。厳さんの焼けたぜ」
「ありがとな、どら」
そう言って一口頬張るのを見る雪華と俺以外。
「みその焼けた感じがうまいな。この表現が難しいのが、ゆず胡椒なのかな?中まで火は通っていないんだな」
「中はそのままだな。だから最悪焼けた部分が気に入らなければ、剥がしてしまえば平気だぞ」
「はい笹嶋さん。ピーマンが焼けましたよ」
おにぎりの世話とピーマンの世話をしている俺が言う。
「本当に食べなきゃダメ?」
彼女の彼氏のタイプは甘やかしてくれる人。だけど俺には通用しません!
「一口食べてみなって、駄目ならペッすればいいからさ」
「ううっ」
そう言いながらも律義に食べる笹嶋さん。が、次の瞬間項垂れてしまう。やっぱ駄目だったか?
桃瀬「佳奈、ペってしちゃいな」
隣の桃瀬さんが心配そうだ。
笹嶋「まさか、ピーマンに敗北するとは思わなかった。美味しい」
桃瀬「本当に?大丈夫なの?」
笹嶋「本当。ピーマン特有の臭み?エグみ?そういうのが無いし、ゴマ油と肉みそが最高」
そう笹嶋さんが言うことで俄然注目を集めるピーマンの肉みそ詰めだった。
「ごはんとの相性もいいからおにぎりと一緒にどうぞ」
そう言って笹嶋さんの焼きおにぎりを取り皿にのせる。
笹嶋「焼きおにぎりも焼けたみその風味が美味しい」
そんな感じで用意した食材は次々と消費されていく。
昌史のステーキ肉もアルミホイルで休ませたのち再び焼いて現在は昌史の腹の中だ。
新山君希望のジャガイモも皆で1個を半分ずつシェアしてなくなった。ジャガイモは満腹度を刺激するから丸ごと1個は避けてもらったよ。昌史が小さめ1個で数調整。
〜〜〜
現在小休止中。
厳さんはスーパーで購入した小アジのみりん干しを炙っている。
鳳来さんは他クラスの友人の場所を冷やかしに、烏野さんも他クラスの彼氏のもとへと出張中だ。
その他のみんなはここにいてウインナーを食べている、俺は自分と雪華の焼きおにぎりを見ている感じ。
すると。
「皆さんバーべキュー楽しんでますか?」
「九條先生いらっしゃいませ」
我らが担任の登場である。
「おや?人数が少ないようですが?」
「今、少しだけ炭の補充をして火力が低下しているので小休止中なんですよ」
「そうでしたか。内宮君は食材持参でしたね、売店は覗きに行ったのですか?」
「いえ、行ってませんね。やる事多くて」
笑いながら否定する。
「正解ですよ。混雑すごいですから、特に男子が」
「あ〜」
言葉が見つからない、とはこの事。
「それにしても、焼きおにぎりとアジのみりん干しとは渋いですね」
「先生の胃袋が大丈夫なら一つどうですか?ゆず胡椒みそにエビ油を混ぜた特製みそ焼きおにぎりですよ?」
厳さん「先生、アジのみりん干しも是非どうぞ」
「では、ありがたく頂戴しますね」
そう言って空いてるイスに座り食べはじめる先生。腹が減っていたのか、美味しかったのかは不明だけどペロッと食べ終える。
「すごく美味しかったですよ」
「ありがとうございます」
「では、私はこれで。この後も火傷には注意して下さい」
「わかりました」
そう言って去って行く先生。
さて、火力も戻ったし。あとは海鮮と肉が少しでデザートだ。




