調理実習(烏野・鳳来side)
〜烏野side〜
今日は調理実習。普通なら普段使わない刃物や火を使うことに躊躇いがあると思う。
でも、内宮君がいるから心配無用と男子二人と石嶺さんに言われた。確かに石嶺さんと内宮君はお弁当を持参しているし、それを内宮君が作っているらしい。同居している石嶺さんが言うことだけど不安はある。
調理実習開始後に内宮君が餃子の中身は誰が作るか聞いてきた。
私は正直に「科目書見たけど、よくわからなくて」と言った。鼻で笑われるかも、と思ったけど「じゃあ、今回は焼き餃子だから食感よりも中身重視にしようと思うけどどうかな?」と提案してくれた。
後から「水餃子は簡単に言えば茹でると表現したほうがわかりやすいと思うよ。だから、家で作るなら餡の具材は大きめに切って食感を楽しめるようにするほうがいいかもね」と内宮君がアドバイスをくれた。
肝心の調理過程だけど、内宮君が入ると私達の出番が無くなるとの鳳来さんの提案で、現場監督になってもらった。
本当に手際がいいのに驚いた。しかも、使い終わった器具はさりげなく洗ってくれているので、作業台が片付けられてるから調理が楽だった。
餃子の焼く段階で、テレビで良くみるフライパンからお皿に移すのをやってみたいと思ったけど、フライパンに触れて火傷するの怖いね、なんて鳳来さんと話ししていたら内宮君がやってくれた。
しかも、二回目は羽根付き餃子にしてくれたの。今回は片栗粉だけど、小麦粉でもよくて食感が変わるらしい。結局お皿に移すのは内宮君におまかせしちゃった。
そんな感じで他の班よりかなり早く調理終了。
内宮君が先生を呼んできて、評価してもらっている時に内宮君の家庭はまだ幼い兄弟がいて、中1の頃からキッチンに立ってると聞いて驚いた。
最後に厳田君が余り食材でチャーハンを頼んでいたので便乗させてもらった。
確かに言ってた通りパラパラでは無いけど、すごく美味しかった。
鳳来さんと今度、恋人である石嶺さんの許可を得て諦めたポタージュ作りを教えてもらおうと話した。
〜鳳来side〜
今日は調理実習だ。事前の班決めで石嶺さん、ゆきちゃんからひろ君が居れば楽勝だよ、と言われて内宮の班に参加した。烏野っちもいるしね。
ゆきちゃんから話は聞いていた、聞いていたけど想像以上だった。すごく手際がいい。
多分だけど、一人でやったら50分もあれば食事終了までいける気がする。
なので、烏野っちとも話しして、現場監督として調理を指示してもらっていた。
途中、指示してばかりで調理してない内宮に注意しに来た男子がいたけど、鮮やかな手つきで餃子の皮に中身を包み、追加のキャべツの千切りを料理動画で見るような速さで切るのを見て何も言えなくなってるので言ってやった。
「今の手際見たでしょ?内宮君がやると、うちらが調理する出番がないから教えてもらってんの!あんたらも注意なんてしてないで、自分の班の調理しなよ」
そして餃子の中身だけど、うちら女子にかなり配慮してくれているのが判った。他の班が普通にニンニクやニラとかの女子にとってのお口問題の食材を気にせず使っているのに対して、生姜以外の香味野菜は不使用なのだ。
餃子の焼く段階でも、テレビで良くみるフライパンからお皿に移すのをやってみたいけど、フライパンに触れて火傷するの怖いなあ、なんて烏野っちと話ししていたら内宮がサクッとやってくれた。
二回目は折角だしとのことで、羽根付き餃子にしてくれた。今回の片栗粉と小麦粉では羽根の食感が少し違うらしい。
結局、フライパンから皿に移すのは内宮におまかせした。無理して火傷なんてする必要ないって言ってくれる心遣いが嬉しい。
ゆきちゃんが惚れてる理由もわかる。
主に内宮以外の男子が作っていたポトフ風スープも完成したのに、周りはまだまだ調理中だった。内宮が先生を呼んできてくれて評価終了。食べる段階で厳田が余り食材でのチャーハンをリクエストしていたので、うちもお願いした。
確かに内宮が事前に言った通りパラパラでは無い。でも、確実に美味しい。おかわりしたいと思えるほどに!
食事が終わった後に今度、恋人であるゆきちゃんの許可を得て諦めたポタージュ作りを教えてもらおう。と烏野っちと話した。