夏休みに語学研修があるんですって
朝のHRで夏休み中に予定されている語学研修の希望用紙が配られた。去年この話題が無かったように、これは2年を対象としていて、3年の場合は夏休み期間中の海外留学が認められるらしい。
語学研修の内容は、8月下旬に1週間の海外研修に行くというもの。希望用紙とあるように参加は自由となっていて、希望者は参加費用が発生する。
HR後の教室内は当然ながらこの話題になり、近くに集まった内宮班の場合は全員行かないみたいだ。
「研修だから当然かもしれないけど、スケジュールを確認するとかなりハードですよね。観光地を見るような時間や自由時間も皆無みたいですし」
舞原さんの言葉に俺と雪華以外の全員が頷く。俺と雪華は飛行機がダメで海外に行く事は無いからさ、秋に予定されている修学旅行も移動手段は列車だしな。
希望用紙を確認すると、この語学研修は寮のある学校で寝泊まりして同世代と交流しつつ語学力を身につけるというもので普段の学校生活と変わらない勉強時間となっている。しかも研修中は寮生活なので自由時間は無し、観光地巡りといった時間も見当たらないハードスケジュールとなっているのだ。
他のクラスメイトも参加費用の事もあるし消極的な意見が多い。
そんな中、興奮状態なのが俺達ついに海外進出組で。
「ついに我々の望んだ用紙が配布されたぞ!」
「ああ。この学校でお近づきになれる女子がいない以上、狙うはこれしか無いんだ」
「オネエさんにバイトを紹介してもらって参加費は問題無いからな」
「それで失ったものも多いがこれで女子に近づければ帳消しに出来るんだ!」
「そうだ!海外なら金髪美女やダイナマイトボディの女子が選び放題に違いない」
「「「「「ぐへへへへ」」」」」
「でもよ、俺達の語学力で大丈夫なのか?」
「そこはコミュニケーション能力の高い陽キャな俺達なら問題無いだろ」
「当然だな。俺達と関わった女子は帰らないで欲しいと泣くに決まってる」
「そうだよな」
クラスメイトの女子は「サイテー」とか「そんな訳無いじゃん」「キモッ」といった反応で、ますます女子から敬遠される事態となっているのを彼らは知らずにいる。まあ、そのほうが幸せなのかもしれないけど。
「話しは変わるけどよ、アニキの住むマンションすごかったな」
「ああ。都心のマンションよりかは低いんだろうけど高層マンションだったもんな」
「俺は大人な映像作品の豊富さに感動したよ。希少価値の高い出演女優の下着入りや直筆サイン入りもあったしな。置いてあったのがカギ付きガラスケースで間近で見れなかったのが残念だったけど」
「オネエさん達も大興奮でいつも以上に大変だったぜ」
「アニキも興奮して常に叫んでいたもんな」
「金曜の夜から日曜の夕方まで泊まりでパーティになるとは思わなかったけどな」
「アニキも夜景を見ながらオネエさんの厚い胸板に感動の涙を流していたもんな」
「知ってるか?オネエさん達が気に入ってあの部屋をルームシェアするみたいだぞ?」
「なに!?じゃあ次からは常にアニキの部屋でやるのか?」
「かもしれないな」
「アニキも俺達同様オネエさんのケツ好きに目覚める日も近いかもな」
「そうだな」
これにはクラスメイトの男子が反応して「一体どんな事をしてるんだ」とか「大人な映像作品に関して俺は一家言あるぞ」といった意見がある中で「フム。柔らかなケツなら確かに豊満なムネの感触を味わえるのかもしれん」とメガネをクイッとあげてレンズを光らせた仕草だけはカッコ良くて発言は残念な男子もいたよ。
そして、意気揚々と帰りのHRで語学研修の希望用紙を担任の九條先生に渡した彼らだけど「あなた方は問題行動ばかりなので、受け付けは出来ません」と拒否されてしまうのであった。
教室では海外で出会う女子についてアレやコレやの妄想を授業間休憩中に常に語っていた彼らは絶望のあまり泣き崩れてしまうのであった。同情するクラスメイトは皆無だったけどね。
「くそう!今日もアニキの部屋に行くぞ!」
「当たり前だ!アニキの部屋に大量にあった大人な映像作品を鑑賞して癒やされるんだ」
「その後は豊満なムネに勘違いさせてくれるオネエさんのケツで癒やされるぞ」
「「「「「応ッ!」」」」」
そう言いながら俺達海外絶望組はさらに絆が深まったらしいチャラ男先生の元へと向かう為に教室から出て行くのであった。
「ひろ君、帰るよー」
「はいよ」
俺と雪華も下校するけど、帰宅中は語学研修の話題にはならずに来月の夏休みが始まった後の釣りやガサガサの話題ばかりだったのが俺達らしいよな。




