けしからん連中ばかり
『おっ?何かいいもんでも持って…げっ、虫かよ!虫とマッチョは苦手なんだ』
『今日は風が強いからラッキーハプニングばかりだぜ』
『あー。白パンは目の栄養が豊富だぁ』
『君達はまたスカートじゃないのか。スカートじゃないとパンツが見られないじゃないか』
『いいか?先生が教えてあげる。女児のパンツは先生の夢と希望なんだ』
『な。あの子は黒パンだと!?け、けしからん』
水曜日の朝。朝食と俺と雪華の弁当を作りながら、彩夏のボイスレコーダーに記録されたのを思い出していた。どうやら今週は彩夏の小学校では朝の挨拶週間みたいで登校中にイヤな実習生に毎日遭遇しているみたいだ。
俺達の実習生問題があったけど、月曜に彩夏は学校に蚕の成虫を持っていった。飛べないから安価なタッパーに一匹を入れて、計三匹持っていったんだよな。蚕を見たクラスメイトの反応もバッチリ録音されていて、顔を正面から見たら可愛いかもだけど上から見るとブヨブヨしてそうなガって反応だったな。ただ、成虫の寿命は5日位なのでその日に持ち帰らせたけどね。
火曜の朝は風が少し強めの日だったから実習生にとってはボーナスタイムだったみたいで風によりめくれるスカートに興奮する様子がこちらにも伝わってくる。彩夏はハーフパンツで登校したからパンツはガードされていたけどな。それとな?けしからんのはお前の頭だよ!
「おにいちゃん、おはよう」
「おはよう。あやちゃん、今日はこれを持っていきなさい」
「なあに、これ?」
「クロアゲハかカラスアゲハの幼虫だよ。黒いアゲハチョウがたまに飛んでるでしょ?あれの幼虫」
「いいの?おにいちゃん」
「全部で五匹入ってるからね。まだ黒っぽいから長く観察出来るよ」
「わかった!」
庭にあるカラスザンショウから今朝採った幼虫を彩夏に持たせることにした。幼虫は鳥のフンに擬態している状態の2齢か3齢幼虫になる。
ま、彩夏は俺が累代飼育しているアゲハ類を卵から成虫になるまで観察した事があるから、今後の成長過程は知っているんだけどね。
それに、今日は昨日みたいに風が強くないから実習生もパンツを見るのに忙しいって事も無いから絡まれる危険を回避する目的もある。虫が苦手って言ってたから登校途中で一緒になる彩夏の友達も一緒にガード出来るだろう。
「食べる葉っぱはどうしようか」
「明日、先生の都合が良ければお兄ちゃんが説明に行くから先生に伝えといて」
「うん!」
最近ではフリマやオークションサイトで各種チョウの食草を販売しているから入手しやすくなっていいよね。最盛期には俺も数日おきに購入する位、利用させてもらっているしな。
「やっぱり実習生の授業は、うちら同様どこも静かみたいよ」
放課後に実習生関連の情報をくれるのは鳳来さんだ。俺達が実習生の授業を受けるのは三人だけで、九條先生が担当している科目以外だと全学年共通教師の生物と家庭になる。古典は偽物だったし、他の科目は実習生を担当している教師とは別の教師の授業になっているからな。
どうやら普段ならありそうな脱線や授業終わり近くの実習生との雑談タイムも無いらしく、静かに粛々と授業が進むらしい。実習生にとっては授業に集中出来ていい環境と捉える人もいそうだけど、何せ空気が重いんだよな。
女子の髪型や服装チェックをしていた実習生も事件以降は一切そんな素振りはしていないみたいだ。
尚、チャラさが売り?の俺達が担当クラスの実習生は来るもの拒まずの雰囲気は無くなっておらず「実習が終わったら気兼ね無く会えるね」何て言いながらウインクしてるんだってさ。そんな強心臓の彼を俺達カウンセラー粉砕組が兄貴とか師匠って慕ってるんだよね。
カウンセラーとして来てくれている方は実は元ヤンの既婚者らしく、元ヤンとは知らずに既婚女性を屈服させるのも一興とか言って突撃した俺達調教したい組だけどカウンセリングでは無いバカの集団だった為「ああん?」と凄まれたらガクブルしながらお互いに抱き合ってたんだって。だけどカウンセリングはとても丁寧で慕う学生も出始めたんだとか。俺達が良く知る姉御先生は元ヤンでは無いけど、カウンセラーの方も姉御肌なんだろうね。
帰宅後、母さんから。
「明日の15時頃にお母さん広也の学校に行く事になったからね」
「保護者説明関連で?」
「それもあるみたいだけど、別の用件もあるみたい。広也も同席するみたいよ?」
「俺も?何だろうね」
「わからないわ。とりあえず明日よろしくね」
「あいよ」
雪華のほうの両親には連絡が無かったみたいだし、全校集会以降特に呼び出しとか無かったから何があるのか一切不明だな。




