マクラメ編み
本日の家庭科目は被服室での実習となった。
実は教育実習に来ている女性の一人が家庭科を実習選択しているのだ。我が校では家庭科は家庭と金融の二人の先生に別れて授業しているけど、この実習生は両方とも参観しているから大変だろうな。そして今日は実習生が授業をしてくれるみたいだ。
「今日はマクラメ編みを教えたいと思います。これは、途中で止めるピンとかは必要ですが手編みで完成させることが出来ます。完成品の提出とかはありませんので、興味が出た人は自宅で動画を見ながら作れるので気軽に作品を作ってもらえればと思います」
まずは基本の結び方を教えてもらい、それを連続で結んでいくのがマクラメ編みというらしい。
バッグチャームやキーホルダーといった小物やポーチやバッグといった幅広い作品を作れるのも魅力らしい。もちろんコースターやマットみたいに編むのを繰り返すだけの作品も可能。
編むのに使用するのはロープ素材なので丈夫なんだとか。普通の毛糸をこの編み方で編むのは難しいのかね?なんて思いながら編んでいく。
あ〜、こういう無心になる作業っていいわ〜。この数日、学校では警戒モードだから気が休まるわ〜。
「ひろ君?何作ってるの?」
「結び方が釣り糸を金具と結ぶのに似ているから結んでいただけ。作るのは決まってないよ」
「んもう。でも、こういう単純作業っていいよね無心になれて」
「だよな〜」
マクラメ編みと全く関係無いけど今度陶芸体験にでも行ってみようかな〜、なんて思っていると。
「やっぱ家庭科の実習生が一番だよな」
「ああ。あのダイナマイトボディに顔をうずめたいぜ」
「お前、うずめるの好きだねぇ。昨日も騙されてオネエさんのケツに顔をうずめてたじゃん」
「ぐあああああ。やめろぉ!思い出させるなー」
俺達いつもポツン組がまーた騒いでるよ。それにしてもケツに顔をうずめるって、どんな事をしてたんだよ。
授業時間も残り少なくなり、手先が器用な人なんかは小物を作りあげている。俺は結局、結んでばかりいたから紐状になったのを完成ってことにしたよ。実習生の先生には申し訳無いけど、ウチでも作るか?と聞かれたら作らないになるだろうな。
「家庭科の先生は穏やかな人みたいだね」
「今日はエプロン補正もあるかもな」
「と、いうと?」
「スーツは着てるけど、あのエプロンて調理用というよりかは保育士さんが着用しているような雰囲気あるじゃん」
「確かにね。愛美ちゃんや朝輝君と一緒にいても違和感無いかも」
「だろ?」
「でも、仮に他の先生があのエプロンを着用してもあの雰囲気にはならないと思うな」
「鳳来さん情報によると、男子から一番人気らしいからな。来週もあるのにお疲れ様だよ」
「そういうひろ君もああいうボディがいいの?」
「前にも言ったけど、俺は雪華のボディが一番なんだから安心しなさい」
「んもう」
そんな会話をしながら教室へと向かっていると嫌な気配がしたので雪華を背中に隠した。誰だよ?折角、マクラメ編みで落ち着いた気持ちを警戒モードにさせるなんて何がしたいんだよ!
廊下での気配以降は何事も無く無事に終わり、帰宅する。
すると、俺の通った中学校で数年ぶりにバザーが開催されるらしい。ダイニングテーブルにチラシが置いてあった。
「おにいちゃん、お帰りなさい」
「ただいま。お洋服に縫い付けたお守りをはずすから脱いでくれるかな?」
「うん!お守りのおかげでね、イヤなことなかったよ」
「それは良かった。明日も付けてあげるからね」
「うん!」
疲れたじゃなくてイヤな事って言っちゃったぞ彩夏ってば。あの様子なら直接言われたのは無いだろうけど、情報は入手出来るかもしれないから一応確認しておこう。
お守り袋に似せた袋入りのボイスレコーダーを回収したら洋服を彩夏に返す。
「あやちゃんの小学校では、ここの中学校であるバザーを知っている人は多いのかな?」
「ほとんど知っているよ。チアリーダークラブに入っている子もおどるんだって」
「へ〜。あやちゃんもチアリーダーやってみたい?」
「ん〜ん。やりたくない。それよりね、おにいちゃんがやってる、ごしんじゅつをやりたい」
「! 何かイヤな事されたのか?」
「覚えておきたくなったの」
「わかった。今度、一緒に行って入室しような」
「うん!おにいちゃんも教えてくれるの?」
「それは、わからないな〜」
「そっかー」
彩夏が護身術教室に入室するのは嬉しいな。切っ掛けは例の実習生だろうけど。そういった意味では感謝するぜ!それと、お前さん自身の悪行が暴かれる日はすぐそこだ。
俺は彩夏の担任教師にある事を伝えて、彩夏を悲しませた実習生を罠にかけることに決めた。




