10円ハゲへの道のり
朝のHRで教壇に立ち、連絡事項を説明するのは教育実習に来ている男性だ。
「朝の連絡事項は以上になります。何か質問のある方はいますか?おっと、僕個人についての質問はHR後にお願いしますね」
「質問は無いようなので、これにて朝のHRは終了します」
「ねえ、内宮。教育実習に来ている人達との距離感てどうすればいいのかしらね」
「俺もイマイチわからんな。だから、聞いてみようと思う」
「聞くって誰によ?蔵持先生?」
「頼れる姉御がバイト先にいるだろ?」
「! 確かに!」
という訳で放課後に洋菓子店へとやって来ました。ま、今日は雪華もバイトだしね。
「教育実習か懐かしいな」
「それで、俺達ってどうすりゃいいんですかね?鳳来さんも俺も中学時代に教育実習生はいなかったんで。呼び方って先生になるんですかね?」
「基本的に教育実習に行くのは母校になるから、卒業した先輩になるな。呼び方も先生で構わないと思うぞ」
鳳来「そうなんですね」
「距離感はどうすればいいんですか?」
「そうだな、話しやすい人ならば日常会話をしてあげたほうがいいな。人によっては実習期間はツライと感じる人もいるからな」
鳳来「生徒の服装や髪色なんかをチェックしている女性の実習生もいるんですけど」
「随分と積極的だな。無事に教員資格を取得すれば教師として赴任する事になるから、先を見据えているのかもな」
鳳来「うわー、めんどくせぇ」
「仮に髪色について難癖を言われた場合、担任の先生や教頭に相談していいですよね?」
「なるほど、石嶺さんの事だな?もちろん報告するべきだ。てか教頭と繋がりがあるのか?」
「実はちょっとしたイべントがあって、そこで」
「へえ〜。今の楽しい内宮と中学の教師時代に会いたかったな」
「何を言ってるんですか、生徒と教師の関係よりも気さくに話せる今の関係のほうが俺は嬉しいですよ」
「ははは。それもそうだな」
鳳来「他に注意すべき事ってありますか?」
「恐らく来週は実習生が授業をする事になるだろうから、先生の立場として色々と言ってくる事もあるかもな。鳳来が警戒している人とかは特にな」
鳳来「なるほど」
「ま、難しく考えずに相手が自分にとって嫌な話題の場合はしっかりと拒否していいし、普通に会話を望んでいる場合は付き合ってあげればいいさ」
「「わかりました」」
「今日は相談にのってもらい、ありがとうございます。話題は変わりますが、赤ちゃんは活動範囲が広がって大変なんじゃないですか?」
「そうなんだよ!ハイハイでどこにでも行くからな。目が離せないけど、楽しいよ。そうそう、こないだなんてティッシュを箱から全部出してドヤ顔をしていたり…」
最後は赤ちゃんの話題で盛り上がって一旦帰宅することにした。
鳳来「とりあえず、まだ様子見だね」
「だな。姉御先生に話しを聞いて良かったよ。ま、10日しかいないと考えれば気楽になったかな」
「そうだね。新人の教師として赴任してきたのと違うしね」
今後も情報共有を密にしていこうとなって鳳来さんとは別れる。鳳来さんも軽く髪を染めているしオシャレもしているから、もしも先生達からは注意されないのに実習生から注意されるのは納得いかないだろうしね。
帰宅すると彩夏の元気が無い。心配になって聞いてみると、友達とケンカしたとかでは無くて彩夏の小学校にも教育実習生が来ているらしく、昼休みに一緒に遊んでいるからと言っている。
遊んでいるのも嘘では無いみたいだけど、兄としての勘が警告してくる。放置してはいけない、と。なので、俺はすぐに駅前商業施設内にある家電量販店へと向かい、長時間録音可能なボイスレコーダーを購入してきた。
まずはこれで明日、様子見をしよう。彩夏の友達に聞くのは明日の様子を確認してからだ。
雪華を迎えに行った時に姉御先生に小学校の教育実習についても聞いてみたけど、小学校の場合は約1ヶ月と期間が長いらしい。
もし、クラスメイト関連で無い場合は1ヶ月間彩夏は苦しむことになるからな。そんなの絶対に許さないからな!
こうして俺の10円ハゲになる可能性は増えるのであった。校長!10円ハゲになった場合、良く効く育毛剤があれば教えてもらいたいんですがいいですかね?




