たけのこ掘り
通常授業にも慣れ週末。我らが高校は土日両方休校となっている。もちろん部活動はあり、今頃は練習してるだろうね。
雪華も含めた我が家全員は現在、たけのこ園に向かっている。
テレビで芸人さんが土の中から探すミッションがあるけど、それと同じ事はしない。今の時期は堂々とニョッキリ生えている。
ただし、成長がすっっっごく速いので、早めに掘りに行くのが吉だぞ。
そんなこんなで到着し、掘るわけだがやはり小さめを狙う。デカイほうがいいんじゃね?と思うかもだけど、固くなるんだよ。料理として食べるなら、食べやすいほうがいいだろ?罰ゲームじゃあるまいし。
ここの園は重さで値段徴収のシステムなので、3本だけにする。つまり、彩夏・愛美・朝輝がそれぞれ掘ったのだけだな。行楽なんだから、そんなもんだろ?
尚、ここの園は季節外はバーべキュー場としても営業している。利用したことないけどさ。
ここで青竹を何本か格安で譲ってもらった。俺はべニカミキリの幼虫の餌と工作用に、父さんもハンドメイドの作品用にするためだな。
ここに来たのは自宅で昼飯を食べてから。普通、行楽なら昼飯も外食でいいと思うだろうけど、幼い双子がいると嫌な顔されるんだよ。
ちゃんと両親が躾してるから騒がないのにさ。そんな悪意の視線に彩夏も含めて晒したくないから食事はほぼ自宅。もちろん、個室があるファミレスに行くこともあるけどね。
次に来たのは鮮直市場。新鮮の鮮と産直の直の直売で鮮直市場。ダセエ名前とか言うなよ、わかりやすいのが一番なんだから。都心のオサレな店と一緒にしないでよ。
外観は道の駅みたいで中はスーパーの品揃えを産直に振り切ったような感じだ。二階建てで、二階部分は安さが売りの衣料品店と本屋、休憩スペースにソフトクリーム・たこ焼き・ソフトドリンクの店が入っている。
ここの鮮魚売り場に俺はいる。左手は愛美と繋いで隣には雪華。朝輝は母さんと一緒。明日はたけのこご飯で確定しているから、ホタテの稚貝を買ってお吸い物にしようかな?
そんなことを考えていると……。
「広也。悪いけどカツオを丸ごと買ったら捌いてくれるか?」
話しかけてきたのは、父さんだ。
「別に構わないけど、何にするの?」
「刺身で食べようかと」
「あ〜。でも、彩夏と双子は刺身無理だろ?桜鯛(真鯛の別称)のよさそうなのがあるから、それを買ってカツオはその藁焼きのタタキの柵にしたらどうだ?どのみち食べられないのに変わりはないけど、値段的な意味で」
そう言って次々と指で示していく。
桜鯛は真鯛の別称だから刺身がうまいし、丁度旬だしさ。そう付け加えておく。
「今回はそうするか。今日の夕飯に食べたいけど平気か?」
「余裕だよ。明日はたけのこご飯にするから、今日は魚系を提案しようと思ってたし。カツオは来週の半ばね」
ちょっと残念そうな父さんにフォローを入れておく。実は商店街の魚屋のほうが安い、と。
結局、鮮魚売り場では桜鯛とカツオのタタキの柵、刺身用のアジとお吸い物用のホタテの稚貝を購入。
現在、愛美は父さん、彩夏は母さん、朝輝は俺が手を繋いでいる。雪華は相変わらず俺の隣だ。
そんな中、今度は母さんが話しかけてきた。
「広也。春キャべツ買う?タケノコあるし、餃子どうかな?」
「実は俺も考えたんだけどさ。明日はたけのこご飯だろ?それに餃子はちょっとな、って思ってさ。だったら、スーパーか八百屋で買ってロールキャべツからの流れで餃子もいいんじゃないかと思うんだよ。店でもタケノコ買えるし」
「そうね。それ良さそうね、それなら一玉買ってもすぐに使い切れるし」
「だろ?明日は雪華と午後からショッピングモール行くからさ一緒に作れない、ってのもあるんだよ」
ロールキャべツと餃子は量を作るからさ、一人だと大変なんだよ。
「わかったわ。それでいきましょ。食事の献立を考える回転の早さは小料理屋並ね」
よせやい。ケツがムズムズするだろ?
帰宅後、大鍋にタケノコと糠を一緒に入れアク抜きをしつつ、桜鯛とアジを三枚おろしにして、桜鯛は刺身、アジはたたき、カツオのタタキの柵を刺身にすれば夕飯の完成。
タケノコもアク抜き終わったし、明日の午前中に夕飯用のたけのこご飯の仕込みをすればOKだ。
明日は雪華とショッピングモールに行く。
俺はそこで雪華にあるものを買う予定だ。
雪華がバイトをするなら牽制しといたほうがいいだろうしな。
夜に雪華視点を投稿します。




