体育祭(二年編)
「あ〜、今年もこの日が来ちまったか〜」
そう嘆くのは厳さんだ。今日は体育祭だから仕方無いだろう。
「そう言わずに、愛妻弁当が昼休憩に待ってるだろ?」
「それは嬉しいんだけどよ、出場種目の応援がな〜、ヤメテけれとは言っといたけどどうなる事やら、不安だぜ」
昌史「内宮の家族はどうなんだ?」
「今年も見学に来るよ。去年と同じく昼休憩あたりにだけどな。そういう昌史は?」
「少しだけ顔を出すみたいだな。義妹の応援ダンスを見るんだと」
「なるほどな。でも、昌史にとっては複雑な心境になるんじゃないか?彼女が欲しい全男子に可愛さがバレるだろうし」
「そうなんだよ!言い寄る男は許さんぞ!」
こりゃ、今年の体育祭は波乱だわ。
去年とは違い、昼休憩前後のみの出場とはならないので家族が見れない出場競技もあるわけで。
「ひろ君、頼むわよ!」
「任せておけって」
「ついでにお尻のお触りもいいわよ」
「雪華さん?出走前に変な事を言わないでくださる?」
俺達が出場するのは、恋人おんぶ100m走だ。これは二年と三年のチーム競技で恋人をおんぶした状態での100m走になる。おんぶされるのは女子が多いけど、男子の場合ももちろんあるぞ。
実は俺達の後に昌史も義妹ちゃんをおんぶして出場するんだよ。おんぶする側のエントリー種目だから、他学年の恋人でも出場は可能。ただし、学内限定だから厳さんは出場出来ないのだ。
「ちょっと手こずったね」
「ああ。歩くのは問題無いけど走ると、意外とジャージの生地がスべったんだよ」
「そうだったんだ。てっきり太ももの感触を楽しんでいるのかと思ったよ」
「すまんかった」
走るのに夢中で謝れなかったからな。でも、手こずりはしたけど出走した5組中の1位になれて良かったよ。クラス席へ戻る途中で出走待ちをしている昌史に伝えておいたよ。走る前に謝っておけとも付け加えてね。
昼休憩が近づき、家族が到着したようだ。今回はクラス席にいたから、すぐに気がついたよ。
そして、昼休憩前の最後の種目、二年による100m騎馬走のお時間となりました。これもクラス対抗では無くてチーム対抗。
新山「本当に下でいいんですか?」
「おう。厳さんなら俺と昌史で支えられるから走るのに集中して欲しい」
新山「わかりました!」
「厳さんは……」
厳さん「おう!バランスを崩さないように注意するぜ」
「それも大事だけど、義姉さんへ手を振るのも忘れないようにな」
昌史「だな。最重要ミッションだぞ」
厳さん「そんな事したら上に乗って楽してるおマヌケさんになっちまうじゃねぇかよ!」
「雪華経由で義姉さんに連絡してあるからな。義姉さんが悲しむか喜ぶかは厳さん次第だぞ!」
昌史「諦めろ厳さん。退路は塞がれている」
厳さん「くそう!やってやらあ」
厳さんはちゃんと義姉さんに手を振ったらしく、嬉しそうな義姉さんの声が俺達にも聞こえるのだった。え?順位?5組中2位だったよ。
「キューちゃんはね、つれてこれなかったの」
「ママがだめって」
「そっかー」
現在は昼休憩中で、俺と雪華は皆と一緒に昼飯を食べている。愛美と朝輝はキューちゃんもここに連れてこようとしたみたいだな。キューちゃんがウチに来て約1週間になるけど、妹弟達の構いたい気持ちは揺るぎない状態だ。
昼休憩も終わり、去年同様に俺が部活対抗スウェーデンリレーの帰宅部として出場。何故か今年はスウェーデンリレーに変更になったんだよね。
ちなみにスウェーデンリレーとは普通のリレーとは違い、後の走者ほど走る距離が長くなっていくリレーのことだな。本来は100mずつ長くなるらしいけど、女子は25mで男子は50mずつ長くなっている。多分体育祭の競技時間が考慮されているのかと思われる。
俺は後方に配置されてしまったので正直しんどかったよ。妹弟が見てるから頑張ったけどな。
雪華も去年と同じくパン食い競争の二年の部に出場してぺロッと食べてゴールしてたよ、流石だよね。
体育祭最後の種目が終わり「飛び入りダンスをしたい人はどうぞ」とアナウンスされたら、我らが俺達近頃居場所消滅組が踊りはじめたんだけど、流れている曲は女性から大人気の男性アイドルグループの曲なんだけど踊っているのがネタとしか思えないような踊りだった。
「何だかMPが吸い取られるような踊りだな」
そんな厳さんの感想に同調するように女子を中心に「ヤメテー」とか「ヤメロー」とか言われてたよ。彼女達もMPを吸い取られたのかな?
しっかし、そんなヤジの中でも踊り続ける彼らの強心臓には恐れ入るよ、うん。
愛美と朝輝は帰っているので彼らのダンスを見なくて良かったよ。不思議な踊りだったから保育園のおゆうぎの時間に真似した可能性があるからな。
こうして今年の体育祭も女子の悲鳴と共に終了したのであった。




