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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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ひな鳥のお迎え

 テストから解放されて、先生達への料理提供も無事に終わった土曜日の朝食後にダイニングテーブルでほうじ茶を飲んでいると。

「ひろ君どうしたの?何だかソワソワしているけど。アカニシ貝の潮干狩りは明日だよ」

「この後、出かけるからさ。楽しみで」

「あーっ!さてはぺットショップだな!ズルいよひろ君!」

「浮気だとは思わないんだね……」

「一途に愛してくれてるのわかるもん。それに、ある程度の感情は読み取れるんだからね!幼馴染ナメるなよ」

「ま、俺も雪華のある程度の感情は読み取れるしな。確かに行くのはぺットショップだけど、雪華の好きなレオパはいないぞ?」

「そうなの?じゃあ何を買いに行くの?」

「前から欲しかったヒナ鳥が入荷したみたいでね。お迎えするんだよ」

「へぇ、何のヒナ?」

「秘密で。何鳥かを楽しみにしながらバイトしてきなよ。本当はサプライズで驚かす予定だったんだけどな」

「一緒に暮らしている以上、サプライズは難しいわよ?ピーンとくるもの」

「でもそれって楽しみ半減するよな。雪華自身のサプライズの場合は特にさ」

「うーっ。そうなんだよね。何かまではわからないけど、何かを隠しているのは感じちゃうからね」

 そんな会話をしながら、ほうじ茶を飲み終えた俺は出かける準備をする。


「ひろ君行ってらっしゃい。気を付けてね」

「おう。昼過ぎには帰ってくるから、バイトのお迎えには行けるからな。雪華も気を付けてバイトに行くんだぞ」

「うん」

 行ってきますの軽いキスをしたら、父さんと一緒に車でぺットショップへと向かう。


 今日行くぺットショップは電車とタクシーで行く場所にあるから、たまにしか行かないんだよね。父さんに車を出してもらえれば直接行けるけどさ。


 さて、車内で父親と二人きりだと気まずい空気が流れて何を話すか迷う、なんて描写を目にするけど俺と父さんの間には存在しない。例えば「最近調子はどうだ」のセリフでも気まずい空気だと「うん、まあまあ」で終わりみたいに会話のキャッチボールが続かないけど、俺の場合はちゃんと続くのだ。

 多分、俺が自室にばかり引きこもらずにリビングで過ごしているからだと思うんだよね。家族内の会話は普段から多いから無言でも気まずい空気にはならんのよ。

 もちろん、恋人の雪華と二人きりの時間も大切にしているからな!


「着いたーっ。父さんも運転お疲れ様」

 駐車場に停めて車外に出たら伸びをしながら運転してくれた父さんを労う。

「さてと、まずは買い取りをしてもらいますかね」

 繁殖したのを買い取ってもらうために店員さんに声をかけて査定してもらう。査定中に店内を見てまわっていると、ジュウシマツの千代田が販売されていた。千代田というのは胸の毛が上に向かって巻き上がっている品種で、俺の大好きな品種でもある。しかも今年産まれみたいなのでヒナ鳥と一緒に買いだな。


 買い取りが終われば今度は購入だ。

「すみません。九官鳥のヒナ鳥を予約していた内宮ですけどお願いします」

 今日、お迎えするのは九官鳥なのだ。ヒナ鳥は人気でしかも高価な部類なので、お金を貯めながら入荷を待っていたのだ!


「どうぞ、こちらになりますね」

 そう言って見せてくれたのは三羽だった。その中の一羽がフタを開けたとたんに飛び出して口を開けてエサをねだってくる。他の二羽は特に反応なし。

「自分でエサは食べれますが、この子だけは欲しがってくるんですよ。人懐っこい子なのかもしれませんね」

 いいね、いいね。ヒナから育てるから言葉だけじゃ無くて文鳥みたいに手乗りにしたかったからこういう子は大歓迎だぜ!

「では、この子をお願いします。それと、ジュウシマツの千代田のペアも一緒にお願いします」

「かしこまりました。ケージとかは大丈夫ですか?」

「あるので大丈夫です。九官鳥のエサだけ一緒にお願いします」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」

 持ち帰るための準備をしてもらっている最中に購入した以外の九官鳥のヒナを見ているけど、購入したあの子が一番いいな。複数から選べるなんてラッキーだったかもしれない。


 寄り道はしないで真っ直ぐに帰宅した俺は、まずはジュウシマツをケージ内へと入れる。ケージ内へ入れた最初の行動がつぼ巣の具合の確認とは流石だなと笑ってしまう。そりゃ、ジュウシマツにとっては寝床と自室なんだから当然だよな。


 さて、九官鳥のヒナだけど平日の日中は母さんの仕事部屋でそれ以外は和室で飼育する。これは常に人の気配を感じてもらうためだな。


「「おにいちゃん、おかえり〜。あっ、黒い鳥さんだ」」

「ただいま。今日から一緒に暮らすからね」

「なでなでしてもいーい?」

「まだ止めとこうね。あみちゃんも知らない人から撫でられるのは怖いでしょ?」

「わかった」


 プラケースの一番大きいサイズを改造したものにティッシュやキッチンペーパーで巣に似たのを作ってあげる。まだ飛ぶことが出来ないので、これで十分だからな。エサや水は自力で大丈夫みたいだけど、なるべく人から与えて手間をかけて世話をする予定だ。


 バイトから帰宅した雪華にお迎えした九官鳥を見せると。

「まさか九官鳥とはね。言葉はいつ頃から教えるの?」

「まだ先だね。ただ、最初の言葉を覚えるまでは日中家に居る母さんが教えるから。最初だけは同じ人のほうがいいみたいだから」

「なるほどね。名前は決まってるの?」

「これから家族会議で決める予定だ。ただし!絵柄は可愛いのに三話で衝撃展開のアニメに登場する白猫に似たヤツの名前は却下だからな!」

「先読みがすぎる」

「朝の雪華の言葉をそのまま返そう。幼馴染をなめるなよ」

「くっ」


 九官鳥の名前は結局、呼びやすいのがいいよねって事で“キューちゃん”になった。

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