寄り道
今日から通常授業です。
昨日俺らがやっていた測定を残り半分のクラスが今やっている。
つまり、彼らは昨日から通常授業だったわけだ。2年以上の先輩達も測定するから今週はどこかのクラスが毎日測定していることになる。
来年以降はクラスの体育委員が昨日先輩達が手伝ってくれた内容を受け持つらしい。
授業はまず最初という事もあり、数分は担当先生の軽い自己紹介があってから授業がはじまる感じだ。まあやっぱり人それぞれだよね。名前だけで終わる先生もいたよ。
皆まだ本腰で授業受ける気分になっていないらしく、どこか緩い空気だった。この辺りが進学校との違いなのかね?
初回という事もあり、自宅課題はない。授業が終わればみんな遊びや部活の体験入部に行くみたいだ。
昌史は柔道部の体験入部に、厳さんも文化系の部活を見に行くらしく、雪華と普通に帰宅することになった。
雪華に友達は出来そうか聞いたら、まだ見極めてる途中とのこと。
何でも女子は色々派閥があるみたいだから大変だね。
俺も中学時代の二人だけじゃなく探さないとね。もちろん、雪華に危害を加えないやつが大前提だけどな。
「雪華。悪いけど、今日は商店街寄っていい?」
バス停に着く前に確認。
「いいよ。何買うの?」
「悪いけどそれは着いてからだな。別にお楽しみとかじゃなく、食材関係だから」
廃れた商店街とかのテレビ特集がたまにあるけど、ここのは活気がある。スーパーには無い魅力があるし、飲食店も結構充実している。道幅も広いから窮屈さは感じない。そんなことを伝える。いつもとは違う路線だから定期は使えないので、降車時に運転手に二人分と伝えタッチする。
「へえ。中々いい雰囲気だね。あたしもいいバイトないか探してみようかな?」
「え?雪華バイトすんの?」
「うん。お父さんからも許可もらってるし、自分のお金は自分で稼ぎたいしね」
「そうなんだ。来月の連休明けから本格的にやれば?この辺りの環境に慣れる必要もあるしさ」
「se on okei。焦らずに自分に合うのを探すから心配しないで。ひろ君にも相談するし」
「ところで、今週末はたけのこ掘りに家族で出かける予定なんだよ。来月も父さんの休みに潮目が良ければ潮干狩りも計画されているからさ。雪華も一緒に行こうぜ?」
色々経験させてやりたいという、両親の思いだな。俺は別の意味で楽しみだけどさ。
「そうなんだね。それは、あたしも参加したいな」
たけのこご飯が俺らを待ってるぜ!
目的の魚屋に到着。へー、メッセージで仕入れた魚の発信やりはじめたんだ?俺もスマホ持ちになったし、登録しておこうかな?登録作業をしていると。
「おう。内宮のあんちゃんじゃないか!登録してくれるのか?それと一緒の別嬪さんは?」
「大将こんにちは。うん、俺も持つようになったからさ。この人は俺の恋人だよ、一緒に来る事も多いからよろしくね」
「よろしくお願いします」
「全く、あんちゃんも隅に置けないな。その制服ってことは高校生になったのか!お祝いにサービスしてやるよ」
「本当に?今日は保冷剤を持ってきてないからさ、今度の時にあじの開きを冷凍のまま売ってよ」
「あいよ」
「帰りにホンビノス買うからまた来るね」
「おう!準備しとくぜ」
そんな感じで魚屋を後にする。商店街の入口付近だからね、雪華のために一往復しがてら、八百屋で痛みが出始めて格安になったナスを購入し、最後にホンビノスを購入して帰宅する。
「ホンビノスなんて売ってるんだ」
「あさりよりデカいし、ハマグリほど高価じゃない、旨味も濃厚だから美味しいのにね」
帰宅中、そんな会話をする。外来の貝だから馴染みがないのかね?食わず嫌いは良くないぞ?
尚、帰りはバスは利用せず徒歩だ。直接なら案外近いからね、それに話しながらだとすぐだし。
翌日、ホンビノスは味噌汁となり美味しくいただきました。




