アオリイカ釣り
「気を付けて行ってきてね」
「ああ。安全第一でやるから」
今日はアオリイカ狙いで釣りに行く。朝食を食べたら出発するので、雪華がバイト先に行くよりも早く家を出る。今は自室で雪華と行ってきますのキスをしたところだ。
今回は電車を乗り継いで行く場所にある釣り場へとやってきた。
「ここの釣り場に来るのは一人で釣りするようになってから初めて来た時以来だな」
俺が一人で釣りをするようになったのは中2から。その前ももちろん釣りはしていたけど、父さんと一緒にやっていた。
理由は安全面だな。ライフジャケットはもちろん着用して釣りはするけど、万が一落水した時の判断や泳ぐ体力を考えると不安があったから一人ではやらなかったんだよね。
そしてここは初めて釣り場を自分で検索して来た場所だったんだけど、とある理由からやりづらくて諦めて帰った防波堤でもある。
久しぶりに来るのもあって釣り禁止エリアへの指定や、今回狙いのアオリイカが密漁対象に指定されているかの情報収集で釣りもアオリイカも問題無いのは確認済。だけど今後も雪華を連れての釣りはやらないし、今回の様に一人でのアオリイカ狙い限定のみになるだろうけどね。
さて、今回ここを選んだ理由はイカが産卵する海藻類が多めな事。なんだけど、これがここの釣りを難しくしている要因でもあるのだ。
海藻類は密漁対象に指定されている種類が多いから根掛かりで偶然、本当にたまたま引き上げても警告される時があるんだよ。
なら、同じく海藻類が近場にあるブダイ釣りをした防波堤に行けばいいじゃんと思うだろうけど、釣り人の考えは皆同じであちらは人気エリアだからルアーへの警戒が大きくて難しくなっているんだよ。
今日は大潮だから水位の上昇が大きいので底付近に繁茂している海藻を避けて中層付近を攻めていけば大丈夫だろう。本当は前回のように底付近を狙ったほうがいい場合もあるんだけどね。
イカ釣りに使用するエギと呼ぶルアーを投げること十数回、待望の初ヒットだ!
「くう〜、重い」
一人でやっているんだから声に出す必要は無いのに思わず出てしまった。バラす事無く岸壁まで来ればこちらのもの、準備していた玉網ですくい上げる。そしたら墨を吐いて汚される前に締めればようやくホッと出来る。
(やっぱ雪華の手伝いがあると楽だよな〜)
そんな事を思いつつ一休み。
今回もおにぎりの弁当を食べつつ釣りを続けて納竿の時間となりました。アオリイカはありがたいことに合計5杯も釣ることに成功して個別に保存袋に入れた上でクーラーボックスに入れてある。前回と同じかよと思うだろうけど、この時期の親イカを釣るのは大変なのよ?しかも餌が豊富なのか前回よりも大きいから購入すればお値段も、冗談抜きのお高いものになるんだから。
行きとは違い、乗り換え駅での待ち時間も少なく最寄り駅へと到着すれば向かうのは高校前だ。
「先生待望のアオリイカを無事釣ってきましたよ!ただ、重いですから自宅前まで運びましょうか?」
「そんなに大物なの!?見てもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
そう言ってクーラーボックスを開けてイカの入った袋を取り出し、先生に渡す。
「これ、何キロ位ですかね?」
「その2杯で3キロ以上5キロ未満かと。」
「マジで?」
「マジです」
「申し訳無いですが運んでもらえますか?購入した場合の価格やら何やらで動揺しているので」
「わかりました」
という訳で2回目の自宅前訪問となりました。多澤先生と安中先生は蔵持先生宅に到着しているんだとか。
「じゃあ、これ渡しますね。刺身にしますか?」
「1杯はその予定にします」
「失礼ですがアニサキス対策は?」
「心配無用です。アニサキスライトがありますから」
「流石は先生だ」
「ところで、子イカは釣らないのですか?去年は貰っていませんが」
「親イカの濃厚な旨みを知ると子イカは、ね?それに防波堤で釣れる時期のは小さいサイズなのでやらないんですよ」
「なるほど。確かに納得です」
「では、俺はこれで。釣ってすぐに締めたのでイカの肝も大丈夫だと思いますんで堪能して下さい。イカ墨は面倒で無ければ利用して下さい」
「わかりました。では明日学校で」
「はい! 失礼します」
アオリイカの墨は高級食材って言われているけど面倒臭いのもあるからね。
帰宅した俺はイカの下処理を開始する。
まずは全部捌いて食べられる部位にわける。2杯は胴体部分を冷蔵庫で寝かせて、もっと旨みを引き出すことにした。あ、一夜干しとは違うよ。
妹弟達にはニンニクバター炒めで、両親と俺と雪華はそれに肝を加えた肝焼きにした、ごはんが進むこと間違いなしだな!
墨袋は一応、丁寧に処理して冷凍庫で保管する事にしたよ。
今度は雪華と内宮班の釣り希望者と一緒に釣りに行く予定だ。初夏のアオリイカの産卵期まではこの旨みのあるイカを楽しみたいよな。




