調理実習告知
家庭菜園の収穫物が増えてきた。秋に種まきをした豆類はもちろん、イチゴとシイタケも収穫の最盛期だ。
「見て見てひろ君。いい具合の太さのキュウリがあるよ!朝ご飯のお味噌汁にしようよ」
現在は朝の収穫作業中。雪華の好物の味噌汁用キュウリも収穫出来るようになってきた。
「それは明日だな。今日の味噌汁はジャガイモと絹さやエンドウと決まっております」
「そっかー。ま、夏みたいな成長速度じゃないもんね」
「そういうこと。それじゃ戻るぞ」
「Kyllä」
「朝から焼きしいたけとは豪華ですなあ」
「原木栽培だからな。肉厚でしかも味も濃厚だぞ!ただ、何本かは収穫終わりだな。ま、後続を購入してあるから問題無いけど」
「原木ってさ、普通の家庭の場合は処理に困りそうだよね」
「だな。ウチの場合はルリボシカミキリやクワガタ類の産卵床にもするからな」
「使い道たくさんあるもんね」
「朽ち木はいくらあっても、いいからな」
キッチンでそんな会話をしながら、朝食の準備中だ。本日のメニューはえぼ鯛の開きにジャガイモと絹さやエンドウの味噌汁、焼きしいたけでデザートにはウチで収穫したイチゴとなっております。
イチゴは縦型プランターで数種類栽培している。プランターの構造上、土はねが無い綺麗なイチゴを収穫出来るのだ。ちなみに収穫は妹弟と一緒に簡易版イチゴ狩り体験をさせている。まあ彩夏の場合は毎年学校遠足でイチゴ農家でのイチゴ狩り体験をしているから、おままごとの部類になるだろうけどな。
そんな朝食も終われば登校だ。身体・体力測定が終われば4月の学校行事は無いから楽なもんだよな。一年の時には調理実習や交流目的のバーべキューなんかもあったけどさ。
登校時にそんな事を考えていたからか、多澤先生から調理実習の実施告知があった。今回は海外の家庭料理を調べて作るのが目的らしくて珍しい料理を作るも良し、日本風に魔改造される前の料理を作るも良しとのこと。普段何気なく食べているものは日本風に魔改造されているから、逆に新鮮に感じるかもね。ただ、入手しずらい調味料や食材もあるので、日本風のアレンジレシピは可とのこと。
「内宮君と石嶺さんは、フィンランドの家庭料理は作れるのですか?」
「作れますよ。雪華が作るのは日本風のアレンジレシピですけどね」
「では、調理実習当日はフィンランドの家庭料理を作って下さい」
「指定していいんですか?」
「ええ。興味がありますからね。ただ、内宮君の班は人数が多いので何品か作ってもらいます」
「わかりました」
雪華を見ると自信ありげに頷いたので大丈夫だろう。ただ、調理実習は5月前半の連休後だけど、話し合いや準備の時間はあるようで無いからな。休みの間は皆も予定があるだろうし。
まあ、普段作る内容とは異なるから試作をするための猶予なのかもしれないな。俺達ドスケべ組は大丈夫なのだろうか?普通の料理も無理そうなのにさ。
鳳来「それで内宮。調理実習どうするのよ」
「とりあえず雪華と何を作るか話し合っておくから時間頂戴」
鳳来「わかったわ」
雪華「何品か作って持ってくるから、昼休憩の時に試食してくれる?それで決めようと思ってる」
鳳来「いいわね」
烏野「楽しみですね」
「それじゃ、試食がある前日にメッセージで連絡するから。厳さんと昌史も学食じゃなくなると思うから白ご飯の準備だけは頼むわ」
「「おう」」
笹嶋「一度に何品も作ってくれるの?」
雪華「あ、ごめん。作るのは一品だけで何日かにわけて持ってくるから」
明槻「そりゃそうだよね」
「とりあえず、今週は無しで来週からにするから」
鳳来「了解よ」
「悪いけど俺の体質で辛いのは無しだから、それと甘さ強めのも試食してもらう可能性があるからよろしくね」
「「「「「はーい」」」」」
放課後に教室の隅で調理実習に向けた軽い作戦会議をしてから帰宅する。
〜就寝前のいつもの時間〜
「どれを作るかだよな」
「うん。パンに合う料理も多いからさ、お昼で食べるならそれもアリだし正直迷うよ」
「なるほどな。ま、じっくり考えるといいよ。ただ、作るのは全員でだからそこも考慮してくれよ?」
「そうなんだよね。手順はひろ君にも教えるから手伝いお願いね」
「……。雪華ひょっとしてさ、俺が覚えると自分で作る機会が減るとか考えてない?」
「(ギクッ)そんな事は無い、よ?」
「俺はさ、雪華が作る料理大好きだよ。何でも自分で作ろうとはしないよ?だから、これからも俺のために美味しい料理を作ってくれよ、な?」
「それって、プロポー……」
言葉が出ないように軽くキスして。
「それ以上は今はダメ。用意するもの用意して、雰囲気のある場所で俺が言うの!」
「ふふっ。Odotan」




