新年度始業式
ついに春休みも終わってしまい、今日から学校だ。飼育生物関連や家庭菜園を含めた植物の栽培関連、釣りを含めた雪華とのデートなどなど、やりたい事が沢山あったんだけどなあ。え?そもそも短い春休みなのに詰め込み過ぎだって?さーせん。
いつも通りに雪華と他愛も無い話をしながら登校して二年の靴箱へと向かい、二年の教室へと向かう。今日のところは一年最後と同じ席順での着席となっている。カバンを机の上に置いたら、登校してきた厳さんの元へ。
「おっす。厳さん久しぶり」
「おう!ところで聞きたい事があるんだが」
「どしたよ?」
「昌史の義妹ちゃんの進学先って知っているか?」
「実は知らない」
「俺もだよ。意外とデリケートな質問になるだろ?ここを受験するのは知ってるけどよ、志望するランクによるじゃん?どうすればいいんかね?」
「俺も同じ悩みなんだよ。俺達は第一志望だったけど仮にここが受かっていた場合、すべり止めなら祝っていいのか、わからんし」
「だよな。くそうコミュ症スキルが発動してるぜ」
「義妹なら、第一志望のここに受かってるよ」
「「昌史!」」
「まったく。何の話しかと思えば」
「受験生にとってはデリケートな話題だろ?親友の義妹ちゃんだからこそ気を使うんだよ!な、厳さん」
「そうだぞ!受かった高校が義妹ちゃんにとって下のランクだった場合「おめでとう」の言葉が嫌味に聞こえる可能性だってあるんだしよ」
「確かにそうだな。気を使わせて悪かったよ」
「ま、第一志望なら良かったよ。おめでとう」
「俺からも祝わせてくれよ。おめでとう」
「ありがとな。俺が言うのも変な感覚だけど」
そっかそっか、明日から昌史の義妹ちゃんも同じこの学校かあ〜。顔を合わす機会が増えるかもな。義妹ちゃんが良ければ、俺と厳さん、それに花穂さんも呼んでお祝いするのもアリかもな。その場合は雪華を呼んでもいいのかな?うっ、新たな悩みが俺を襲うぜ!
そんなこんなで内宮班の人達ともおしゃべりをしていると時間は過ぎて始業式のために講堂へ移動しようかって時に俺達補講組が教室に入ってきたんだけど、全員が同じ髪型で明るい茶髪になっていた。やべえ、あいつらって兄弟か?と思う位に同じになって見分けがつかないぞ?
「ひろ君、講堂に移動するよ」
「あいよ」
ま、どうでもいいか。
始業式の内容は進級したのもあり、将来のビジョンをどうたらこうたらと大学進学を考えている人達に向けての話しが主だったな。学生時代は受験に追われすぎだよと思っているのは俺だけじゃないはずだ!
始業式後のLHRは、まずは明日の入学式に在校生として出席するクラス位置や席順について。こういうのってさ進級したから裏側が知ることが出来るよね。講堂では既にパイプイスによる席を含めた入学式の準備が始まっているとのこと。尚、講堂には鍵がかけられる事を俺達やんちゃ組のほうを見ながら言うもんだから笑いそうになったよ。
次は二年の年間行事予定について。二年では泊まりでの修学旅行があるんだけど、これは雪華次第かな。雪華が行きたくないと言えば俺も行かない、小学校の時みたいにね。修学旅行は国内となっております!これは高校受験の時に学校案内で海外旅行がある学校は受験したくないから調べたしな。海外に俺と雪華が行く事は無いよ、二人共飛行機が怖いから。
直近の行事だと、明日の入学式を除くと去年もやった体力・身体測定だな。内宮班形成になったバーべキューは1年の行事なので俺達は無い。内宮班としてやるのはありかもなあ。
LHRでの連絡事項も終われば今日は終了!帰宅の流れになったんだけど、蔵持先生に空き教室へと連行されました。そして、開口一番。
「ひどいじゃないですか!」
「先生すみません。端折りすぎて何の事かわかりません」
「鳳来さんと話していたアオリイカの事ですよ!なんで先生達の分は無かったんですか?高級イカ墨パスタしたかった!」
「確かにアオリイカは釣りましたけど、釣りに同行したメンバーに渡すのも大変だったんですから。それに先生達には良型のメバルも渡したし、釣り以外でもヒオウギ貝を自宅分と一緒に取り寄せしてあげたじゃないですか」
「でも、でも」
蔵持先生てば幼児退行したかのように駄々をこねてるんだけど?
「わかりましたって。アオリイカ釣りには何度か行く予定ですから今度はお渡ししますって」
「本当ですね?頼みますよ?」
「ただし、条件があります!」
「その条件とは?」
「釣りに行く予定の土日は自宅課題を無しにして下さい」
「それは出来ません!」
「せんせぇー、そこはノって胸でも押さえながら悩む素振りをして下さいよ」
「おっと、これは失礼」
「俺達には素の一面を見せてくれるんですね」
「まあ、あなた方には少し酔っぱらった姿を見せてますしね。今年度からは内宮君に対してはプライべートな自然体で接することにしました」
「化けの皮が剥がれるってヤツですか?」
「変な言い方しなさんな!」
二人で笑った後に。
「アオリイカ今月に渡せるように頑張りますよ、産卵期までが勝負なので。あとウツボは終わりなのでお願いしますね」
「わかりました」
先生と別れて教室へと戻ると。
鳳来「今度は?」
「アオリイカ」
釣りに行ったメンバー「あ〜」




