皆で海釣り
春休みの期間は約2週間、最初の土日を経験しているって事は始業式がすぐそこって事。何が言いたいかと言うともっと休みが欲しーい!
この時期はな?鳥のフィンチ類はもちろん、淡水魚の産卵シーズンでもあんのよ。それに加えて家庭菜園の作業やら栽培している植物の植え替え作業とか色々あるしさ!まあ、これはこれで楽しいんだけどね。
雪華は内宮班女子組とお出かけする場合もある、俺からすれば雪華が友達と出かけるってのはとてもいい事だしな。
さて、洋菓子店が休みの水曜日に釣りに来ています。
「えー、今回は主にバイト組による釣りとなっておりますが烏野さんと鳳来さん、それに笹嶋さんはいつの間にライフジャケット用意したの?」
「つい、この前よ。うちの場合は親が買ってくれたわ」
うんうんと頷く烏野さんと笹嶋さん。二人も鳳来さんと一緒って事だろう。
残念ながら男子組と下津木さんと桃瀬さんは不参加となっております。桃瀬さんは家業の桃農園の手伝いだそうで、釣果のお土産を笹嶋さんに託しているとの事。まあ、後の人達は大体想像つくけどね。
「では、電車内で伝えた注意事項を守り、楽しくやりましょう」
「「「おー!」」」
俺以外はサビキ釣りをしてもらう。ハゼ釣りとは違い、ライフジャケットを着用しているとはいえ海への落下が怖いからな。明槻さんは何度か連れてきているし、油断しなければ大丈夫だろう。雪華もサビキ釣りで底付近を狙ってもらう。
初心者三人の為にコマセを撒いて集魚させつつ、竿を上下に動かして誘ってもらう。「ブルブルする」と報告してくるも少しだけ我慢してもらってから釣り上げてもらう。そうすれば全部のハリにとはならずとも複数が釣れるのでこれには三人も思わず。
「「「すごーい」」」と歓声を上げる。
現時点で俺以外が釣れていて、魚種はイワシ・アジ・サバが主になる。俺はというと、ある大物狙いでルアー釣りをしているんだけど……。
「雪華!玉網の準備を頼む!」
「まかせて!」
これを釣り上げれば皆は驚くだろうな、と内心楽しみにしながらバラさないように駆け引きをしながら引き寄せる……と。
「よっしゃあ!釣れたぜ!」
雪華が玉網に入れたのを確認したら、竿置きに竿を置いてから雪華から玉網を受け取り引き上げる。
これには全員ビックリだ!
「内宮。イカってのはわかるけど何イカなの?」
「これはアオリイカ。産卵期前で一番大きな時期だし、旬で美味いんだよ」
「すごいね。こんなのも釣れるんだね」
烏野さんの言葉にコクコクする明槻さんと笹嶋さん。
「じゃあ、今から締めるから見たくない人は釣りに戻っていいよ」
と言うも全員興味がある模様。まあ、釣りに来ている時点で今更か、と思いつつ締める作業をする。鳳来さんなんて撮影し始めているし、ならば全部撮影してもらうか。って事で市販されているイカ締め用の器具を使うと体色が白っぽくなった。これで無事に締められたので保存袋に入れてクーラーボックスで冷やしておけば鮮度は保たれる。
四人は少しの放心状態みたいだから、少し早めの昼飯にしてリフレッシュをする。今回も弁当持参で防波堤での食事となっております。
笹嶋「内宮君は、どうやって食べるの?」
「イカってさ、アニサキスの寄生虫が多いから刺身は面倒臭いんだよね。だからゲソは唐揚げにして、胴体はニンニクバター炒めかな?」
笹嶋「美味しそう」
「この後も狙うから期待しないで待ってて」
笹嶋「うん」
雪華に頼もうかと思ったけど、雪華ってばタイ釣りを始めちゃったから、俺一人で頑張りますよ。そんな中で明槻さんに「サワラ狙う?」と尋ねたら「ダメ!あれは危険よ」と言われた。鋭い歯でケガでもしたのかと心配したけど違うらしい。多分だけど家族からの圧があったのかもしれない。
時間は過ぎて、現在は電車にて帰宅中です。イカは全員分釣ったぞ!とはいえ、俺のが一番デカイけどな。雪華も一匹マダイを釣ったら満足してイカ釣りしてくれたから助かったぜ!笹嶋さんがいるから、クロダイじゃなくて良かったと少しだけホッとしたのは内緒。
笹嶋さんと鳳来さんは家族の方が最寄り駅まで迎えに来てくれたので駅でお別れ。暖かくなってきているからクーラーボックス無いし、少し重いから良かったよ。どうやら、最寄り駅に到着予定時間を調べて連絡していたみたいだね。
明槻さんと烏野さんの場合は自宅マンションそばのバス停に迎えに来てくれるみたいだね。重さはあるけど明槻さんはクーラーボックスを所持しているし問題は無いだろう。
俺と雪華はいつも通りに高校前で蔵持先生と合流して釣果を渡してから帰宅する。残念だけど先生方へのイカは無し。その代わり、良型のメバルを渡しておいたよ。先生からは春休みの課題の進捗状況を聞かれたので、俺も雪華もすべて終わっている事を報告しておいたよ。
就寝前に今日釣りしたメンバー全員からまた行こうとの連絡が来たよ。まあ、明槻さんだけ懇願に近い内容だったけどね。




