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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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イワシ釣り

 俺達が住む関東で釣れるイワシは〈マイワシ〉〈カタクチイワシ〉〈ウルメイワシ〉になる。他にも〈トウゴロウイワシ〉も釣れる。だけどこれはイワシと名前にはあるけれど()()の仲間なのだ。


 陸では三月後半となれば桜の開花の話題とかで暖かさを実感し始める季節になるけど、海中ではまだ寒く温かい水温が好きな魚の活性は低い。ま、エサ取りが少ないからターゲットが釣れやすいとポジティブに考えよう。


 さて、明槻さんと最寄り駅で合流した俺達はいつも通りに電車とバスで防波堤へとやって来た。平日という事もあり、釣り場には俺達だけ。

「じゃあ、明槻さんはサヨリ釣りだね。エサは最初からはんぺんでやるからよろしく。俺らが集魚目的でコマセを撒くからサヨリも集まると思うよ」

「わかった。よろしくね」

 前回やっているので仕掛けを取り付けたら、あとは明槻さん自身でやってもらう。はんぺんの付け方も教えてあるから問題無い。


 コマセを撒いてしばらくすると目視でもわかる背中が青い魚が集まってきたので、サビキ仕掛けの竿を軽く上下に動かして誘う。

 すると、ブルッとした感触が。いつもならリールを巻いて釣り上げる場面だけど、サビキ釣りの場合は針掛かりした魚を少し放置して暴れさせて他の魚を刺激してやる。すると、ブルブルからグラグラといった感じに感触が変わるので釣り上げると。

「よし、まずはいい感じだな」

「すごい!ハリ全部に魚がついてるよ?」

 これには初めて見る明槻さんもビックリだ。


 これだからサビキ釣りは面白いのだ。ターゲットのイワシやアジは口が弱いから勢いよく上げるとハリからはずれてバラすからゆっくり上げるのもポイントだな。


 明槻さんには申し訳無いけど、雪華と俺の釣果は上々だ。この時期にしては(飼育用では無くて食用として)珍しい魚や良型のアジなんかも混じっている。

「あたしもサビキにしようかな?」

「狙いはサヨリだし、釣れてるから続けるべきだよ。明槻さんの分も俺達が釣ってるしさ」

「ありがとう。でも、実はね釣りに来てるのを眞代ちゃんに知られちゃったんだ。だから釣れたの渡したくて」

「あ〜。クーラーボックス買ってもらったから、いかにもって格好だもんね」

 同じマンションだし、そりゃ会うよね。それに今までは俺のクーラーボックスを使っていたけど自分のを買ってもらったみたいだしな。

 そんな事を思っていると、イワシをエサにして投げていた竿がグンッとしなる。


「よっしゃ!釣れたどー」

 釣れたのは()()()。要するにサワラの小型のやつだ。サワラも出世魚でサイズによって名前が変わる。代表的なのだとブリと同じってことだな。


「すごい!これは何て魚なの?」

「これはサワラの小型なやつで、名前で言うとサゴシ。大きさによって名前が変わるんだけどサワラで平気だよ」

「へえ!サワラなら知ってるよ。西京焼きとかあるよね」

「それそれ。あ、歯が鋭いから気を付けてね!」

 しゃがんだので、万が一触れると危ないから注意しておく。


 明槻さんもサビキ釣りを体験したいって事で俺の竿でやっている。大きめな魚が釣れた時に「サワラだー」と喜んでいたけど、それはサバです。

 今日の昼食もおにぎり持参で食べながら釣りを続けて、納竿のお時間となりました。


 サビキ釣りの面白さに少し興奮状態の明槻さんと電車内で小声で盛り上がりつつ最寄り駅へと到着する。まずは高校前へと行き、昨日ぶりの蔵持先生に釣果を渡す。

「今日はサビキ釣りだったので、三種類ですよ。イワシとアジとサバになります」

「いつもありがとうございます。依頼したり受け取ったりしながら言うのも何ですが、春休みの自宅課題も忘れてはダメですよ?」

「「「はい」」」


 次に明槻さんのマンションへと行き、まずは烏野さんの住む部屋へと向かう。ここの対応は明槻さんに任せて、出てきた烏野さんの母親にイワシを渡してもらう。烏野さんはバイト中だから、室内にお邪魔した事があるとは言え顔見知りの明槻さんのほうがいいもんね。


「本当にサワラを貰ってもいいの?」

「もちろん!俺達の分は確保してあるし、美味しく食べてよ。ただ、歯には十分注意するように伝えてね」

「うん!鮮度落ちが早いんでしょ?なる早で食べるよ」

「ははは。それじゃまたね」

「千奈津ちゃんまたね〜」


 俺達の自宅へと帰宅中に。

「アジとサバはあげないんだ?」

「サヨリにイワシにサゴシ。ウチなら平気だけど、鮮度落ちが早い種類の魚ばかり渡しても逆に迷惑になるよ。その辺を明槻さんに説明した上で渡してないから、意地悪とは違うしな」

「それもそっかー。食べる量が違うもんね」

「そうゆうこと」

「でも明槻さんにサゴシを渡したのは可哀想かもよ?家族の言動を考えると、今度はサワラを釣ってこいとか言われるかもよ?」

「フラグを建築するのはヤメテあげて」


 自宅に帰り、クーラーボックスの中身を見た家族の反応は「「「「大漁だー」」」」と言われたよ。俺達はサヨリ釣りはしていないからサヨリは釣果に無いけどな。

 今日は折角なので、アジとサゴシの刺身。特に鮮度落ちの早いサゴシの刺身を食べられるのは貴重なんだから味わって食べて、というのは残念ながら我が家には適用されません。腹ぺコ組はパクパクと食べておりますよ。

 明日はサバとイワシの煮付けの予定となっております。少しだけ釣れた種類は塩焼きで食べる予定だ。


 烏野さんからお礼のメッセージが来て、どうやら煮付けで食べたらしい。喜んでもらえたなら何よりだよ。

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