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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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調理実習(スイーツ編)

 明日が終業式の前日、我がクラスの最後の授業は調理実習となっております。週の授業スケジュールは年間通して特別授業を除き変更は無いので、たまたまなんだよね。


 メニューの話し合い翌日に駅前商業施設に買い物に行った時に気付いたんだよ。卵とバターも冷蔵品だったって。だって両方とも粉から作るんだよ?すっかり忘れていても仕方無いじゃん!当日まで忘れて非難されるよりかはマシだろ?幸い誰も気付いて無いみたいだし。いや、雪華は気付いていた可能性あるな!その場合、俺に代わって用意していただろう、うん。


「じゃあ、烏野さんには冷凍食品のそら豆を茹でてもらいます。今回は“あんこ”にするので塩は入れずにそのまま。袋に記載の約5分程茹でてから試食して火の通りを確認して下さい」

「わかりました」

「男子組には白玉粉と上新粉を()ねて混ぜる作業をしてもらいます。このメモ通りにレンジで温めるのを繰り返しながら、やけどに注意して捏ねて下さい。わからなければ、俺か補佐の雪華に聞いて下さい」

「「おう!」」「はい!」

「雪華は烏野さん含めて頼むな」

「まかせて」


「マドレーヌ班は、市販のホットケーキを作る粉を()()()にかけておきます。この作業は桃瀬さん、笹嶋さん、下津木さんでお願いします」

「「「はい」」」

「舞原さんと明槻さんは卵とはちみつと砂糖を混ぜてから、湯せんをしながらハンドミキサーで泡立てる作業までお願いします」

「「はい」」

 しばらくして。

「内宮、湯せん用のお湯の準備できたよ」

「了解だ」


 両方の進行具合を見ながらの作業は大変だけど楽しさもあるんだよね。

「鳳来さん。オーブンを温めておきたいから、多澤先生に使用許可をお願いしてきてもらっていいかな?」

「了解よ」

「許可が得られたら180℃で予熱しておいてくれると助かる。多澤先生に言えば設定してくれると思うから」

「わかったわ」


「そら豆茹であがりました」

「そしたら、フードプロセッサーで粉々にしてくれる?そして、粉々にしたら計量してある砂糖と少しの塩を入れて混ぜておいて。甘さは大丈夫だと思うけど、念の為に味見していいから」

「はい」

「その後に鍋であんこにする作業があるから、俺か雪華に声をかけて」

「わかりました」

「ひろ君、皮の生地出来たよ」

「よし、雪華は粗熱を取る作業を、新山君は洗い物をお願い。厳さんと昌史は、オーブンの作業を頼む」

「「おう」」


 マドレーヌは混ぜる全ての行程を終えて型紙に流し入れている作業中だ。ここでのポイントは膨らむから半分位までにする事。それを伝えながら見本を見せて、あとはお願いする。

「それじゃあ、20分焼いたらマドレーヌは完成だな。厳さんと昌史でオーブンに入れて、180℃で焼くように多澤先生に伝えて操作を頼む。予熱をしているから不用意にオーブンに触るとやけどするから注意してくれ」

「わかったぜ」

「舞原さんも実際に焼く作業を見ておくといいよ」

「ありがとう」


 そら豆も鍋で捏ねて粘り気を出す作業に移って完成間近。あとは皮に包むだけの作業だし、こちらもほぼ終了。今は洗い物を含めた片付け組と作業組に別れている。

 そんな中、俺は市販の切り餅を縦長に切り、油で揚げる作業をしている。甘い物を食べたらしょっぱい物が欲しくなるよね、ってやつだよ。


 洗い物を終えた女子に、キッチンぺーパーで油切りをしていた揚げ餅を保存袋で混ぜ混ぜしてもらう。今回は塩と粉末コンソメの二味(ふたあじ)用意しました。


「無事に両方完成したな。そんじゃ先生呼んでくるわ」

 という事で先生を呼びに行く。洗い物含めて後片付けはすべて終わっているから楽なもんよ。一応帰りのHRはあるけど場合によっては食べながらになるだろうしな。


「オーブンの使用を求めてきたので焼き菓子だけかと思いましたが、違うのもありますね」

「はい。マドレーヌとそら豆餡の柏餅風になります」

「では、いただきます」

 まずはマドレーヌを試食して、柏餅風になった時に。

「先生。お好みできな粉と黒蜜もどうぞ」

「……。では、きな粉をつけさせてもらいます」

 果たして食べた感想は?

「相変わらずこの班は美味しく作りますね」

「そりゃ先生、班長の内宮の指導がいいですもん」

「なぜ鳳来さんが得意気なんですか?」

 そんな先生のツッコミに皆で笑う。

「先生。口の中が甘いと思うので、口直しに塩気(しおけ)をどうぞ」

 そう言って二種類の揚げ餅を差し出すと、何故かジト目になる先生。どういう事だべさ?

「はあ。内宮君の手のひらで踊らされている気分です」

「???」

 いつも通り、撮影と試食の後に変なことを言って立ち去る先生。


「甘い物としょっぱい物を出されたら、ああなるわよね」

 そんな鳳来さんの言葉に俺以外の内宮班全員が頷く。

「ま、うちらものんびりとお茶する気分で食べましょっか」

「「「「「さんせーい」」」」」

 またしても鳳来さんの言葉で皆で食べ始める。ふ〜、今回も美味しく出来ました。


「彼氏は陽翔君だけど、皆との料理関係は内宮君についていく」

 そんな笹嶋さんのボソっとつぶやいた言葉に雪華以外の女子組全員が頷いて、雪華は誇らしげな顔をしていたのを俺が知る事は無いのであった。

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