調理実習メニューの話し合い
調理実習で作製するスイーツを決めるために内宮班で話し合うことになり、現在は教室の片隅で会議中だ。
「調理実習とは関係無いけど、内宮君てそら豆好き?」
スマホを見ながらあーだこーだと意見が出る中で烏野さんが唐突に質問してきた。
「好きだよ。先日もスーパーで九州産の初物を買って食べたし」
「焼くと塩茹で以外での食べ方ってある?」
「そら豆ごはんかな?塩茹でしたそら豆と塩味の炊き込みご飯の調味料で作るんだよ」
「へえ〜」
「そうだ!なら、調理実習でそら豆のあんこを作って柏餅風のスイーツでも作る?」
「面白そうだね」
そんな会話をしていると、今度は舞原さんが。
「内宮君てクッキーは作れるんだよね?マドレーヌって作ること出来る?」
「出来るよ。ただ、俺が作れるのはマドレーヌ型と呼ばれる銀紙で作るやり方だけどね。ホタテ貝みたいなほうは無理」
「マドレーヌって種類があるの?」
「それは、洋菓子店で働くうちが説明しよう。内宮が言ってるのは、“昔ながら”と呼ばれているやつだね。これが画像」
「平たいカップケーキみたいなんだね」
「で、みおっちが想像しているのはこっちだね。うちのバイト先でも好評販売中だからよろしくね!」
「あら、鳳来さんたら商売上手ですこと。でも、お高いんでしょう?」
「そんな事はありませんわ。お求めやすい価格でご提供中です」
鳳来さんと明槻さんがどこかで見たことがあるコントを始めたよ。
その後も、あーだのこーだのとの議論が交わされて。
「では、今回は二種類のスイーツを作ります。烏野さん中心でそら豆をあんこにした柏餅風のやつと、舞原さん中心でカップ型マドレーヌで決定です」
パチパチパチ
「今日はバイト組のバイト時間が近づいているので材料は明日、駅前の商業施設に買いに行くのでお願いします」
「「「「「はーい」」」」」
「烏野さんが使用するそら豆は生のさや入りからだと時間がかかるから、冷凍の剥きそら豆を使用するから」
「茹で時間が違うのですか?」
「いや。人数分の確保をするのに、さやから取り出す作業が地味に時間かかるでしょ?だから、ね」
「確かに」
というわけで調理実習のメニューも決まったので解散する。今回は冷凍そら豆以外はナマモノは無いから実習前日に買う必要も無いから楽だな。
俺と雪華も帰るために教室を出ようとしたら。
「ごめん内宮君。少しだけ話しできる?相談があるの」
「いいよ。喫茶店に移動しようか」
「わかった」
明槻さんが何やら相談があるとの事で雪華と三人で喫茶店に移動する。
「それで、話しというのは?」
飲み物を注文してから尋ねる。
「サヨリってまだ釣れる?」
「あ〜。家族が気に入った感じ?」
「うん。言葉にするのは難しいけど、独特な風味があるでしょ?あれがいいんだって」
「なるほどな。直近になるけど、終業式翌日の予定はある?」
「バイトは休みだけど」
「俺と雪華は釣りに行くから、予定が無ければ一緒に行くかい?」
「いいの?是非お願いします」
「わかった。時間とかはまた改めて連絡するから」
「うん」
「それと、サヨリは釣れたとしても前回より数は少ないし、釣れない可能性もあるから」
「わかった。二人は何を釣りに行くの?」
「サビキと呼ばれるハリが沢山ついた仕掛けでイワシだな」
「イワシか〜」
「スーパーで販売されているよりは小さいけどな、多分カタクチイワシが中心になるだろうからさ」
「へえ〜」
「明槻さんにもサヨリが無理と判断したら変更してもらうから」
「うん!その辺はおまかせします」
明槻さんの相談事はサヨリ釣りの相談だった。釣りが趣味の雪華の兄さんとの交際にとっては明るい材料だよな。




