ひな祭り
今日は3月3日のひな祭り。5月の節句と違い祝日では無いのが残念?なところ。
現在、和室にはひな人形が飾られている。これは彩夏が産まれた時に購入したものになるな。
このひな人形ってさ、少し怖くない?母さんが趣味のドールの顔はフィギュアと同じ顔立ちだから萌えるからいいんだけど、こっちは苦手だよ。色々な物を認識出来るようになった愛美と朝輝も見て泣いたからね。彩夏?彩夏はどうだったかな?覚えてないや。当時はマンション暮らしだったから、飾る日数が少なかったのもあるからさ。
さて、そんなひな祭りの朝食はいつも通りの和食メニューとなっております。定番料理は晩飯で提供予定となっているのでご安心を。
「今日の夜ご飯に出すハマグリのお吸い物は、飼育部屋のハマグリ使うの?」
「雪華さん?おふざけな事を言うんじゃねーでやがりますぞ!」
「Anteeksi。色々なものが乱れるほど、取り乱さないでよw」
「そうさせたのは、そっちじゃろがい!」
そんな、じゃれあいをしながら登校する。
「桃の開花時期が近いから桃瀬さんの家は忙しくなるんじゃないの?」
「良く知ってるね。今は摘蕾(※蕾を間引いておくこと)作業で大変だよ。9月の最後の収穫品種までは忙しいね」
「(小声で)義斗に経験させたらどう?将来を考えているならだけど。あいつも喜んで手伝うよ?」
「……考えとくわ」
義斗と言えば先日、今年から始めた白いイチゴとウズラの卵を送ってきたよ。お礼の連絡の時に赤の普通のイチゴも頼んどいたけどね。どうやら桃瀬さん家にも赤の普通のイチゴを送ったみたいだ。尚、ウズラの卵は義斗の家族のみ用で一般販売はしてないよ。
今日は俺が愛美と朝輝を学校帰りに迎えに行く。今頃母さんはちらし寿司の具材の調理で忙しいだろうからな。
さて、帰宅したら母さんと一緒にちらし寿司の準備をする。一番大変なのは、すし飯を作る行程だな。炊いたご飯の熱々なのをすし酢と混ぜるんだけど、少量なら平気だろうけどウチは大人数だし食べる量が多い腹ぺコ組がいるからさ、団扇で扇ぎながら作っていくんだよ。この作業さえ終われば、あとは楽なんだけどね。すし飯が完成したので、ちらし寿司作りは一旦終了。
すし飯を作っている間、雪華には妹弟三人を見てもらっていた。彩夏はリビングのテーブルで宿題をしているから、愛美と朝輝の二人だな。
今日の保育園で折り紙のひな人形を作ったみたいなので和室に一緒に飾っておく。それを見た彩夏も作りたそうにしていたので、美術館で購入した本に作り方があったから妹弟全員と一緒に作る事にした。折角だから俺と彩夏は千代紙で作るけど、愛美と朝輝は普通の折り紙にする。保育園で作ったのより、少しだけ豪華で複雑な折り方だったけど四人とも完成する。俺が手伝った部分も多めだけど三人とも手先が器用なのかもしれないな。雪華にはテレビを見ながらソファで寛いでもらっているよ三人相手は一年近く一緒に居ても大変だからな。
父さんが帰宅したら晩飯です。ちらし寿司が具材多めなのもあるので、おかずは俺と雪華も含めた大人組の焼き鳥のみとなっております。
食後の片付けが終わった後に、俺らが食べたハマグリの貝殻を綺麗に洗っていると。
「その貝殻どうするの?」
「カイカムリ(※カ二の仲間)の水槽に入れるだけだよ」
「あー。少し小さめなのを背負ってるもんね」
「そゆこと。ハマグリは高価だからさ、この時を待っていたんだよ」
「確かにカ二ちゃんの為にハマグリ買うのは高いもんね」
「それに、このサイズをスーパーで買えるのは今だけだからな」
「だね」
綺麗に洗った貝殻を水槽に入れると早速背負ったよ。待たせてごめんな。
「雪華の家にあったひな人形は、今の家で飾っているのかな?」
「どうなんだろ?あたしのはガラスケース内に飾るタイプだから簡単に出し入れできるから楽だし飾っているかもね」
「引っ越し先ではどうだったの?」
「飾っていたよ。お父さんがあたしが早く嫁に行かないように長めに飾っておくってお母さんに言ってたな」
「それで、雪江さんは何と?」
「無駄な抵抗だってさ」
「あはは」
「高校を卒業したら、いつでもひろ君の妻になる覚悟は出来ているからね」
「それはまだ少しだけ先の話、な」
「ん」
就寝前のいつもの時間はいつもより甘い時間となってしまった。え?いつもより甘さ控えめだって?普段はキスしまくりの砂糖ドバドバだと?なんてこったい!




