再会その2
「厳さん、昌史も久しぶり!」
彼らは中学時代の友人だ。
名前を厳田泰蔵(愛称∶げんさん)、柳原昌史(愛称∶昌史)。
厳田はゴツイ名前だが、普通の高校生といった体格だし、オンラインゲームが好きなやつでもある。
柳原は一見華奢な印象の名前だが、体格はしっかりしている。中学時代は柔道部所属だったからな。
そんな俺達には共通点がある。
「ところで厳さん。例の件は?」
彼は父親の再婚相手の娘さん、つまりお義姉さんの事が好きなのだ。で、高校入学したら告白すると俺らに宣言していた。ちなみに5歳差で大学生だ。
「お陰様でうまくいったよ!お前同様ラブラブだ」
「そいつは目出度い」
「うむ。おめでとう」
俺と昌史はお祝いの言葉を贈る。てか、俺と雪華ってもうラブラブにみえるの?
「そうだ!俺もスマホを持ったんだよ。連絡先交換しようぜ!」
今朝、雪華に「ひろ君、スマホ持った?」て確認された。まるでお母さんみたいだよ。忘れてたから口には出せないけど…。
そして、二人と連絡先を交換する。やり方は雪華に教えてもらっているぞ。
早速三人のグループも作製した。グループ名は俺らの共通点〘シスコン同盟〙。
「おい!なんだこのグループ名は!」
珍しく声を荒げ抗議する厳さん。
「いや。俺は気に入った、俺達に的確じゃないか」
少し寡黙気味な昌史。だがそんな彼も義妹大好きっ子だ。こちらも現在告白準備中。
「お前!裏切るのかよ」
「まあまあ。厳さんお義姉さんとお付き合い始めたんだろ?フラれたなら流石にこの名前にはしないよ」
そう言って宥める。
「そ、そうか?でも、どうなんだよ!」
「別に見られて困るものでもないだろ?浮気相手の偽装じゃないんだし」
「いいじゃないか。ただの連絡のやり取りだし、俺達が仲良くなった共通点じゃないか」
「まあ、うん」
俺達に説得され受け入れる厳さん。
「ところで俺さ、スマホ持ちはじめたばかりで馴染んでないからさ、連絡遅くなるかもだけど、そこは勘弁な」
習慣化されてないからな。我が家には固定電話が無いので俺への連絡は共用タブレットか母さんのスマホになる。
“親に連絡とかふざけんな”と言われることもある中で彼らとは良好な関係を続けている。
キーンコーンカーンコーン
「二人とも昼飯は?」
「俺達は学食だけど、内宮は?」
「俺らは弁当持参組」
「わかった。また後でな」
「おう」
そう言ってお互い軽く手を上げて別れる。
ここの学食は食券注文の学生しか利用できない。全学生が入れるような許容はないから仕方ない。後で味の感想とメニューを聞いてみよう。私、興味あります。
なので、雪華に声をかける。
「雪華。めしにしようぜ」
俺が雪華に声をかけると一斉に俺をみた。なんだよ。
「悪いけど、めしにするから。食べる邪魔はしないでね」
牽制する雪華。食べるのが好きな彼女は、食事の邪魔をされるのを嫌う。
俺側に机をくっつけて…と。
「ほい、弁当」
「Kiitos」
弁当のおかずはサワラの西京焼きに蒸して味付けしたジャガイモ、プチトマトだ。おかずの仕切りには、自宅で水耕栽培しているレタスを使用。
ごはんは白米・おかか・のり・白米の順で層状になっている。
尚、この弁当箱だけど現在ごはんが入っている容器は保温容器となっていて、若干まだ温かい。
「「いただきます」」
いつも自宅でやっているのと同じように手を合わせてから食べはじめる。
・・・
雪華は机は元に戻したがイスはそのまま俺の隣で向きを変えて座り直した。体勢としては俺の脇に背中をあずけるかたちだ。なので、脇に物を抱えるように雪華の脇に腕を入れ、おなかに手を添えて支えてやった。
そんな俺達を厳さんと昌史が見て「早く俺もあんな関係になりたい」と呟くのを知ることは無い。
午後は新入生歓迎会だ。
入学式のように折りたたみイスに座るかたちでは無く、各々好きな場所に座って舞台を見ている。もちろんイスも用意してあるので床に直接座るのが嫌な人は使える。
雪華は当然俺の隣で床に座り舞台を見ている。一応持参したタオルを敷いてあげた。冷えるといけないからね。
他クラスの連中が雪華を見てザワついてたけど気にしない。雪華も彼氏がいますアピールだろうし。
さて、内容は部活動紹介という勧誘から始まり、名物(?)先生のモノマネなどがあり、最後は演劇部によるオリジナル劇にて終了(ちなみに演劇部はここで紹介と勧誘)。
モノマネは2年以上の先輩達には大ウケだったので、授業を楽しみにしよう。
昌史は高校でも柔道部に入り、厳さんは文化系で検討するみたいだ。俺はもちろん帰宅部一択!
〜帰宅後〜
〘シスコン同盟〙
(内宮)どうして昨日声かけてくれなかったの?
(厳田)彼女とのラブラブ空間邪魔できるかよ!
(柳原)んだ。厳さんの言うとおり