ある日の休日
「ひろ君、冷蔵庫のトマトケチャップ無くなったから、この新しいの開封してもいい?」
今日の昼飯は雪華が作ってくれている。メニューはナポリタンとなっております。
「ごめん。それはまだダメ!こっちのいつものでお願い」
「良く見たら袋の印刷が違うね。ごめんね」
「気にしないでいいって。使い終わったら黒の冷蔵庫のいつもの場所にお願い」
「はーい」
今日は珍しく雨が降っているから全員が午後も出かける予定が無い。彩夏も兄である俺と同様に雨の日の外出は嫌いだしな。というわけで、リビングで皆して寛いでいる。
しばらくすると、いいニオイがキッチンからしてきて。
「お待たせ。お昼ごはん出来たよ〜」
雪華のナポリタンが完成したので、皆で「いただきます」をした後に食べ始める。
「ごちそうさまでした」
「美味しかった?」
「もちろん。トマトケチャップは濃いめの味付けだったし、具だくさんだし最高だよ」
「ありがとっ」
実際、俺以外の両親や妹弟も美味そうに食べているしな。雪華の料理もすっかり我が家の味となっている。
食事を終えて、洗い物も済ませてダイニングテーブルで紅茶を飲んでいると。
「ひろ君がダメって言ったトマトケチャップは何かあるの?」
雪華が質問してきたので。
「あのトマトケチャップは旅行先の旅館の売店で買ったんだよ」
「そうだったの?」
「うん。最終日の朝食は俺達は和定食だったけど、愛美と朝輝はオムライスだったろ?それで少し残したのを食べたらケチャップライスで美味くてさ」
「へえ〜」
「それで仲居さんにメーカー聞いたらオリジナルで売店で販売しているって言うから買ったんだよ」
「なるほどね。それがあのトマトケチャップなわけか」
「そういうこと。まあ、使い始めたら一気に使うけどね」
「最初は、ここぞって時に使いたいもんね」
「そうなんだよ。いつ使おうか迷ってる」
「あはは。賞味期限が来る前には使いなよ?」
「わかっておりますとも」
そんな会話を雪華とする。今、雪華が飲んでいる緑茶も旅館の客室に備えてあったのを雪華が売店で購入してきたものだったりする。雪華はこの緑茶が気に入り、何袋かまとめ買いをしているんだよね。こんな感じで旅行先の雰囲気が少しだけ残っているのだ。
食休みも終わり少しだけ飼育部屋の作業をする。この後は彩夏と雪華と一緒にゲームをする予定だしな。
「ひろ君、あたしのイエコと赤虫の成虫貰っといたから」
「おう。両方しっかりフタしたか?特に赤虫の成虫のほう」
「もちろん。部屋内にも逃がしてないから安心して」
「あいよ。俺も終わるし、彩夏と遊ぶか」
「うん。この部屋のおかげで、あたしの爬虫類もみんな元気で嬉しいよ」
「いくら野外採集とはいえ、飼育での冬眠はリスクもあるからな。健康に越冬できればそれがいいからな。レオパはどうだ?」
「問題ないよ。エサ喰いもいいしね」
「なら良し。俺の鳥類もそうだけど、診察してくれるところが無いからな健康状態には気を使うよ」
「本当それ」
二人で部屋を出ようとした時に。
「あれ?このウリ科の植物はなに?」
「ふふふ。気が付いてしまいましたか。それはキュウリですよ」
「何でここで育てているの?」
「外で育てていたキュウリはビニールで保護していたけど、無加温の限界を迎えてダメになったろ?だから試験栽培中」
「でも、三月になればまた再開するんだよね?」
「そうだな。このキュウリは朝顔みたいなツルの育て方でも実がつくかの実験用だよ」
「なるほどね。あたしの為に工夫してくれてありがとね」
「雪華自身も1週間に一度食べられるかどうかのキュウリの味噌汁だったから、そんなに執着は無くなっただろうけどね」
「何をおっしゃいますか!あの味を求める欲求は常にあるんだからね」
「さいですか。とりあえず、二ヶ月と少しは我慢なさい」
「はーい」
そんなやり取りをして、手洗いをしてからリビングに行く。
俺は晩飯の支度まで、雪華は晩飯の時間まで彩夏と遊んであげる。晩飯後、俺は愛美と朝輝と少しだけ遊んであげてから風呂に入ってストレッチをする。
雪華と就寝前のいつもの時間を過ごしたら寝る。雨の天気だったから、ここ数ヶ月では珍しくのんびり過ぎる休日だったな。




