始業式
今日から俺と雪華と彩夏の学生組も学校となり、年末年始の雰囲気は無くなる。玄関脇に置かれている彩夏のランドセルの中に宿題が入っている事を確認して、登校までの少しの間食休みをする。
今日の朝食は昨日の晩飯の残りのカレー。カレーって何で一晩置くと旨味が増すのかね?と毎回思いながら時間となり。
「「行ってきまーす」」
まずは俺と雪華が登校する。
「この時間帯に外に出るのは久しぶりだけどやっぱ寒いなあ」
「だね〜」
雪華はマフラーをしたり、黒のタイツを履いたりと寒さ対策も万全で、フワモコしていて可愛い。現在雪華の積極攻勢に悩まされている俺の目には黒のタイツはセクシーに見えてしまうのだが、これは危険な兆候なのだろうか?やべえ、俺のすけべ度が上昇しましたとの脳内アナウンスが流れた気がする!
「今月は釣りに行くの?」
「機会があれば行きたいよな。狙いはブダイかサワラになるか。湖上の船内釣りのワカサギもいいよな、卵を持った子持ちも美味いしな。これは予約が出来ればになるけどさ」
家に居る時にいくらでも話題に出来るだろ?といった内容の会話を登下校時にするっていうのがいいんだよな。そんな事を思いつつ、バスに乗り学校に到着して教室へと入る。教室には舞原さんが居たので。
「舞原さんおはよう。今年もよろしく。これ、俺と雪華から旅行のお土産だから食べて」
「舞原さんおはよう。今年もよろしくね」
俺と雪華が挨拶する。流石にもうあけおめセリフは言わないよ。
「内宮君に石嶺さんおはよう。今年もよろしくね。お土産ありがとう」
雪華はそのまま軽く談笑しているので、自分の席で少し考えごとをしていると次々と内宮班のメンバーが到着して賑やかになっていく。新山君と下津木さんには帰り際にお土産を渡すのを伝えていると先生に講堂へ向かうよう指示されたので移動する。
講堂へと移動して、学年最後の期間を充実して過ごすように言われたりしながら終了する。どうやら校長の髪の毛の平穏は保たれたらしく、話題にならなかったのを残念に感じてしまったのは何故だろう。
講堂での始業式の後はLHRで三学期の行事予定の話となっている。
今月の学校行事としてマラソン大会が下旬にある事、それと中学生の学校見学がある可能性があるから迷っているようなら声かけをしてあげて欲しいとの事だ。
すると窓際残念組の一人が。
「うひょー。学校公認でナンパできるなんて最高だぜ!なあ」
とおバカ発言をしたので。
「君には後で生徒指導室でじっくり話し合いをしましょう。首を縦に振った友人達も一緒にね」
担任の九條先生のいつもとは違う迫力のある声で宣告を受けていた。尚、クラスに失笑が響いたのは当然だと思う。
そして2月中旬には中学生による入学試験がある。入試は平日に行われるので、部活動含めて在校生の立ち入りは禁止。ただ、推薦入試の場合は主に面接だから登校するみたいだ。2月後半には俺達の学年末試験があるし、先生お疲れ様です。
今日は始業式のみなので、午前で終了して明日から通常授業となる。おバカ達が九條先生に連れて行かれると、今度は俺が蔵持先生に空き教室に連行される。
「釣り関連ですか?」
「その通りです。ウツボがまた食べたいのでお願いします」
「意外ですね。カワハギかと思いました」
「カワハギの肝も魅力的ですが、ウツボのコラーゲンのほうが魅力的でした」
「なるほど。ですが、コラーゲンならアンコウのほうが豊富に感じますが?」
「私達もそう思って鍋物にしたのですが、ウツボのほうが体に合うようです」
「わかりました。2月は入試を含めた試験で先生方も忙しいと思うので頑張れるように、日にちは未定ですが狙ってきます。捌くのは大丈夫ですか?皮が少し硬めですが」
「大丈夫です。丸ごとで平気ですよ、血についても知ってますから注意するので」
「わかりました。トラウツボになる可能性もあるのでお願いします」
「では、よろしくお願いします。話しは以上です」
「はい。今日は他の先生は一緒じゃないんですね」
「二人は忙しいので」
「なるほど」
「ただいまー」
当然のように内宮班は残っていた。新山君と下津木さんには残ってもらっていたけどね。
鳳来「今度は何を頼まれたのよ」
「ウツボ。コラーゲンがお気に召したみたい」
烏野「あ〜。何となく想像できます。私もお母さんにパーティの翌日に肌ツヤがいいけど何食べてきたのって両肩を掴まれましたから」
女子組から「わたしも聞かれたー」とかの少しのザワつきの後に解散となった。新山君と下津木さんに旅行のお土産を渡して帰宅する。
就寝前のいつもの時間に釣りに連れていってと艶かしい声で雪華がお願いしてきたので防波堤釣りに連れて行くのは約束した。それにしても、雪華ってあんな声出せるんだね。すげえドキドキしたよ。




