いざ、家族旅行へ
2日の朝。朝食のメニューはお雑煮で昨日と同じ具材と味付けになっている。通販で購入したお重のおせちは昨日の内に完食している。明日から家族旅行だから量の少ないのを購入していたとかでは無く、これがウチの普通。だから、手間をかけてお重のおせちは作らないのだ。
お雑煮とスーパーで購入した、お重のおせちの中に入っている黒豆や蒲鉾といった単品のものを食べつつ朝食は終了。尚、重箱に改めて詰めるなんて事はせずにタッパーで提供しております。
昨日とは別の駅伝放送をBGM代わりにしながら食休みしている。
「雪華。今日は何かする?」
「うーん。妹ちゃん達の相手をしながら、のんびりしようよ。買い物も今のところは無いんでしょ?明日からの為に体調崩したくないからさ」
「了解だ」
そんな会話を聞きつけた愛美と朝輝が早速遊びに誘ってきたので、雪華と二人で相手をすることに。
そんな時間を過ごして昼飯はホットプレートを使ってのお好み焼き風だ。晩飯はから揚げに決まっているので、明日のお雑煮以外の日もちしない食材を使い切るのに丁度いいからな。ワイワイしながら食べられるし、一石二鳥だよ。
そして、晩飯は予定通りから揚げ。その後は普段の日と変わらない時間に愛美と朝輝を寝かしつけて、彩夏もいつもよりかは少しだけ遅い時間に自室で寝たので、雪華を含めた俺と両親は明日の旅行の打ち合わせをする。
俺ですら知らない事実だったんだけど、明日の旅行には雪華の両親も一緒みたいだ。とはいっても明日の昼前にウチに合流して、両親の部屋に雪華は寝ることになるだけで行動は俺と一緒でいいそうだ。雪華の兄さんは残念ながらサークルの合宿らしく不在、まあ紹介する明槻さんもいないし影響は無いな。
宿泊する旅館には旅館の送迎バスで向かうので、この近所に来てくれるそうだ。ちなみに送迎バスと言ってもワゴン車らしいので安心する。尚、旅館はお子様歓迎の旅館らしいので、妹弟達が興奮して騒いでも問題無いとのこと。そんな打ち合わせも終わり、寝ることにする。
ちょっとその前に。
「雪華は両親が来るの知ってたのか?」
「うん。ひろ君には教えるなって口止めされてたの、ごめんね」
「反対なんてしないのに何で秘密にするのかな」
「意地悪で教えなかった訳じゃないの。あたしの両親が一緒に行くとなれば色々準備するでしょ?そうなると、妹弟ちゃん達に旅行のことがバレるかもしれないじゃん。だからなんだって」
「うっ。そう言われると否定出来ないな」
「でしょ?だからさ、あたしのお詫びキスで許して、ね」
そう言って俺の首に腕をまわして、割と長めのキスをされたんじゃあ許すしかないよね。
◇◇◇
ついに旅行当日の3日です。
朝食は最後のお雑煮。旅行から帰れば普段の朝食風景になるので、これで見納め。
お雑煮を食べる前に彩夏と愛美と朝輝には検温を実施して無事にお熱が無いことを確認する。この朝の検温さえ乗り切れば、旅行先で風邪を引かない限り発熱することは無いので安心だ。
お雑煮を食べ終えたら母さんと彩夏は旅行先に持って行く荷作りに彩夏の部屋へと向かった。愛美と朝輝が産まれてからは泊まりでの旅行は初めてなので嬉しそうだ。
そして、愛美と朝輝にもお出かけする事を伝えると嬉しそうに少し暴れた。行く直前になると急に行くのを嫌がる子もいるけれど、お出かけ好きな二人には関係無いだろう。
俺は飼育部屋で少しだけ作業をする。心配なのは鳥類だけなので、給餌器と給水器に不具合が無いかを確認する。普段からエサやりの頻度が少ない生体や魚類は一日位の断食は問題無いけど、消化の早い鳥類だけは体調悪化に直結するからな。5日に帰宅すれば自分の手で出来るので4日の心配をすればいいだけなんだけどさ。
そんな作業も終わると、雪華の両親が来た。愛美と朝輝は警戒するかな?と思ったけれど、一度会っている事もあり、人見知り程度の反応だった。
父さんのスマホに合流場所にもうすぐ到着するとの連絡が来たので、戸締まりの最終確認をしてから自分のスマホで見守りカメラの作動状況もチェックして玄関を出る。父さんが玄関のカギを閉めて、また俺がチェックしたら、合流場所へと向かう。
合流場所に到着して少しすると、一台のワゴン車が到着した。車体の側面には宿泊する旅館名が印字されているので間違いないだろう。ドライバーの方と旅館の法被を着た男性従業員に父さんが確認作業をしたら、荷物を積み込み乗車する。
途中、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで数回の小休憩をしながら行くことを伝えられて発車する。
では、久しぶりの家族旅行に行ってきま〜す。




