31日
今日は大晦日。と、いっても朝食風景はいつもと変わらず、ごはんに味噌汁と納豆は不変だ。おかずは昨日の残りのおでん。ただ、玉子は昨日全部食べてしまったので新しく作ったけど表面に薄っすらと色が付いた程度で中までは染みていない。
朝食を食べ終えれば、まったりタイム。大掃除もしないし買い物にも行かない。俺達学生組も勉強はしない、大晦日と三が日まで勉強はしたくないじゃん。
さて、俺の年頃なら自室で過ごすんだろうけど、俺と雪華はリビングで寛いでいる。
「しっかし、元日前後は特番ばかりで俺達が見る番組は少ないよな」
「だね」
みかんを食べつつ、昔に放送されていた時代劇を見ている。番組のエンディング曲が流れはじめると、待ってましたとばかりに妹弟達が声をかけてきた。
「おにいちゃん。ブロックのトンネルおやまつくってー」
「つくってー」
「おねえちゃん。一緒にゲームしよう?」
雪華と顔を見合わせて、ひとつ頷き。俺は愛美と朝輝のブロック遊びに、雪華は彩夏と一緒にゲームをする事となった。
両親は今のうちに旅行の荷造りをするみたいで二階へと向かった。
交代しながら妹弟の相手をした俺と雪華だったけれど、一旦おしまい。昼飯の時間となりました。
今日は妹弟のリクエストのホットケーキをリビングのテーブルでホットプレートで焼きながら食べることに。ただ、両親や俺と雪華はしょっぱい物も欲しいので購入してある冷凍おやきも一緒に温めて食べる予定だ。
やけどが怖いので、俺が朝輝を雪華が愛美を膝の上に座らせ後ろから抱いた状態で焼いている風景を見せている。彩夏が時々ひっくり返すのをやりながら全員分完成する。皿に取り分けて、シロップをかけて、上にバターを乗せたら。
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
食べはじめる。
「やっぱ、おやきの塩気は必要だな。俺にはメシとしては甘すぎるよ」
「同感だな。ただ、別なのを食べて娘達を悲しませたくはないからな」
「後で軽く何か作るか?」
「いや、おやきがあるから大丈夫だ。麺類は夜に年越しそばを食べるからな」
「あいよ」
父さんも俺と同じ感覚みたいだな。確かに炊飯器の中にはごはんが無いから作るとしたら、ラーメンとかになるしな。
食事の後は歯みがきをして、愛美と朝輝はお昼寝の時間。二人の年齢だと昼寝をしなくなる子もいるみたいだけれど、二人の場合は昼寝をしたほうが夜にぐっすり寝るので続けている。母さんも「そろそろしなくなるわね」と言っているし問題はない。
父さんと母さんが旅行の荷造りをこっそりやりつつ、俺と雪華と彩夏の三人はクイズ番組を見て過ごす。
愛美と朝輝がお昼寝から起きてしばらくしたら、俺と母さんは晩飯の下ごしらえを開始する。雪華も手伝いを申し出てくれたけど、父さん一人で三人の相手は出来無いから妹弟の相手をするように伝えた。
いつもの晩飯の時間となり、俺と母さんが手分けして、天ぷらとかを揚げて大皿に盛り付けてリビングのテーブルに運ぶ。
年越しそばを食べる時間に決まりは無いみたいだけれど、ウチでは晩飯に食べる。雪華の家も同じみたいなので、食べる時間による意見対立は無い。では、食べるとしますかね。
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
「エビ天は一本だからな」
「わかってるよ。つゆに入っているのは何の肉?」
「これは鴨肉だよ。そういや雪華はウチに来てからは初めてだったな、独特の旨味が出るんだよ」
「へー。普段使いはしないの?」
「するんだけど、たまたま使わなかっただけだな。雪華が工夫してくれたのを出してくれたのが美味しかったのもあるし、温かいつゆがウチは好きなのもあるしさ」
「そっかー」
そばのトッピングは自分の好きなのを選んで食べるのがウチの年越しそばの食べ方だ。普段はそんな事はしていないけれど、少しだけ特別感を出すのが目的だな。
晩飯を食べ終え、後片付けをしたら再びまったりタイム。ただ、時間が過ぎていくと寝る人達がいるけどな。彩夏も頑張って起きていたけれど、23時前に寝てしまったのでお姫様抱っこで自室に運んでべッドに寝かせてあげる。この後、両親は映画を見るそうなので、俺と雪華は雪華の部屋にあるテレビで動画を見ることにする。
「もうすぐ、年越しだね」
「だな。今年は雪華が同居してくれたから楽しい一年だった。来年もよろしくな」
「あたしも楽しかったよ。来年もよろしくね」
そして、0時となりライブ動画の配信者がハッピーニューイヤーと言っている中、俺と雪華は少し前からの長めな年越しキスをして新年を迎えるのだった。
「今年もよろしく、ひろ君」
「今年もよろしくな雪華」
再びキスをして離れた後、少しだけ余韻に浸ってから俺は自室に向かい寝る事にする。え?夜通しで起きてるなんて俺には無理ですよ。




