クリスマスイブ
今日はクリスマスイブ。
ただ、俺らの通う高校は終業式になる。登校して教室に入り、クラスメイトが増えるにつれ、いつもとは少し違う雰囲気となる。
まあ、明日から冬休みだし恋人がいる人にとっては特別感がある日だから、わからんでもない。
終業式では校長が“髪の毛の平穏を脅かすんじゃねえぞ”的な発言をしている。そんなんだからネタにされるんだよ、と内心ツッコミを入れて式は終了する。
教室で冬休み中の諸注意をされた後は解散。今日は午前中で終了なので弁当は無し。内宮班のバイト組とは「また後でね〜」と言って別れ、それ以外は「28日に会おうね〜」と言って別れる。
雪華と一緒に帰宅すると、彩夏も学校から帰っていた。夏休みとは違い自宅に持ち帰る荷物は無いと思うけど、念の為確認する。
「あやちゃん。夏休みみたいに持ち帰るの教室にあるかな?」
「ないよ」
「わかった。じゃあ、お昼ご飯にしようね」
「うん!ご飯食べ終わったら遊びに行くね」
「それは、お母さんに言おうな」
「はーい」
昼飯のラーメンを食べ終えると彩夏は友達の家に遊びに行った。雪華もバイトに行くので一緒に行くことにする。
今日の洋菓子店は事前の告知通りにクリスマスケーキの販売は無しで通常のケーキ類の販売もしないそうだ。
ただし、シュークリーム・マドレーヌ・エクレア・キーッセリの定番商品は販売する。
雪華提案のキーッセリが定番化するとはオープン時には考えられなかったよな、としみじみ思う。
店内は大分前からクリスマス仕様でツリーも飾られていたけれど、今日の販売員の服装はいつも通りの制服。仮に店頭販売する場合は漫画の描写であるようなサンタ衣装での販売をしたのかな、と考えてしまった。
やはりと言うか夕方近くになるとクリスマスケーキの引き換えが増えてきた。現在事務所にいるのは、俺と鳳来さん。鳳来さんと28日のパーティについて軽く話しをしていると姉御先生が赤ちゃんと一緒に顔を出した。
「内宮、鳳来、お疲れさん」
「「あ、お疲れ様です」」
「今日は内宮も臨時か?」
「いえ、違います。当日販売分は無しと言っているのに難癖をつける人がいたら困るので自主的にいます」
「そうか。何だか悪いな」
「いえいえ。店長から差し入れも頂きましたから十分ですよ」
「先生。赤ちゃん間近で見ていいですか?」
「鳳来は初めてだったな。いいぞ」
「うわ〜。可愛いい〜」
「鳳来さん見ても泣かないんですね」
「ちょっと内宮!どういう意味よ」
「怒らないでよ。知らない人を見て泣く子がいるからだよ」
「な〜んだ。それもそっかー」
「楽しい雰囲気だからか喜んでいるな」
確かに手足をパタパタさせて笑っている。
姉御先生も事務所のソファに座り、少しの間三人で雑談をする。
その後、揉め事も無く無事に本日分のクリスマスケーキは渡し終えたし、通常販売分の商品も売り切れたので平日にしては早いけど営業を終了することになった。
バイト全員がクリスマスケーキを予約していた事に笑った後、解散になる。冬至を過ぎて日が少しづつ長くなっているとは言え、ほんの少しだけ。なので、ケーキも持っているし一人だと危険かなと考えていたんだけれど考えは皆一緒みたいで家族の人が迎えに来たので安心する。
ちなみに厳さんは迎えに来なかった。どうやらゲームのイべント中で手が離せないらしい。こりゃイチャイチャと言う名の説教かもしれないぞ〜。
さて、俺と雪華もクリスマスケーキを持って帰宅する。雪華のバイトが早く終わったので家族みんなで晩飯にする。今日の晩飯はすき焼きで〆のうどんもちゃんとあるぞ!28日には内宮班のパーティで俺と雪華は食べる予定だけどウチでは多分今年最後のすき焼きなので、すこ〜しだけいい肉を使用している。
すき焼きを食べ終えて満足しているところ申し訳ないけれど、お次はクリスマスケーキだ。父さんと母さんには一応撮影するように伝えてある。スーパーやコンビニのクリスマスケーキとは違い凝ったデコレーションがしてあるからな!
「それじゃあ、今年のクリスマスケーキをいざオープン!」
そう言って箱を開くとケーキの上には食べられる材料で作られた人形とかがあるので、妹弟達は目がキラッキラになっている。
ケーキ部分は食べることになったんだけれど、人形や小物は食べるのをイヤがったので今日のところは食べずに冷蔵庫に入れておくことになった。流石に食べずにそのままは良くないので、明日には食べてしまう予定だ。
その日の就寝前に雪華さんてば、いつの間に準備していたのかミニスカサンタ衣装で俺の部屋へと来やがった。
プレゼントはキスと膝枕だそうなので、堪能させてもらいましたよ。しかも明日も来るんですって!
俺の誕生日以降、雪華の積極性がマシマシなので俺はもうダメかもしれない。




