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銀髪幼馴染との同居生活がすんごく楽しい  作者: 遍羅


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調理実習(鮭かま大根編)

 はーい皆さん、今日は調理実習ですよ。しかも特別編成を利用しての2時間授業となっております!女子側の体育教師である安中先生が担当の保健の授業を調理室で行うという力技の編成内容。蔵持先生からは安中先生の分の鮭かまも用意しろとお達しがございました。


 まあ、ぶり大根自体が時間のかかる料理だから決められていたのかもね。時短テクは基礎を知らないと上手くいかない場合もあるし。


 俺は炊飯器持参で登校した。そんなもんをわざわざ学校に持ってくるなと思われても仕方ない行動だけど、そんなの関係ねえ!美味いもんが食いたいんじゃ!ちなみにこの炊飯器は現役は引退しているけど手入れしてあるので、いつでも使用できる状態なのだ。


 俺の座るイスの下にある謎の物体を身を屈めて見る先生達に笑ってしまう授業が終わり、調理室へ移動する。すると、当然ではあるけど多澤先生から質問される。

「内宮君、それは?」

「見ての通り炊飯器です」

「それは知っています。何故わざわざ持ってきたのですか?」

「大根の下茹でに米のとぎ汁を利用したいし、あとは折角の鮭かま大根なのでホカホカごはんで食べたいですから」

「まったく。情熱と行動力には感心しますね」

「ありがとうございます!」

「褒めてるわけではありません」


 ショートコントが終わったら授業開始。先生がぶり大根の説明をしている中。

「では、我々12人は特別に許可を得た鮭かま大根を作ります。まずは鮭かまに軽く塩を振って下処理をしておきます」

 ポリエチレン製の使い捨て手袋をしてもらい、鮭かまの両面に軽く塩を振り、ステンレス製の角型バットに並べてもらう。この作業は新山君と下津木さんにお願いした。


「米を研いで、ごはんの準備をします。おかわりを見越して8合炊きます。米の研ぎ汁は大根の下茹でに使用するので、捨てないように」

 厳さんと新山君に持参してもらったミネラルウォーターで最初は研ぐ。次回以降は水道水で、炊く水は再びミネラルウォーターにする。昌史にはお米を持参してもらった。


 桃瀬さんに米を研いでもらい、研ぎ水を大鍋に入れてもらっている間に他の女子で大根を輪切りにして皮をむく作業をしてもらう。


「内宮君、鮭の塩振り終わりました」

「そしたら、しばらく放置するからそのままで」

「はい」

「お米も研ぎ終わったよ」

「よし、じゃあ目盛りまで水を入れてから予約時間をセットしてスタート」

「すぐに炊き始めないんだ?」

「セットした時間は昼休憩になる前。炊ける前の水蒸気はいいニオイだろ?飯テロを仕掛けてやるぜ!」

「まったく、お主も悪よのぉ」

「いえいえ、お代官様ほどではありませんよ」

「「ひひひひひ」」

 桃瀬さんと時代劇の悪役コントをしてから。


「じゃあ、米の研ぎ汁で大根の下茹でを開始。アクが多少出るから掬ってあげてね」

「「「はーい」」」

 これで全ての下準備は完了。


 他の班はようやく調理開始といった感じだな。大根の下茹でを電子レンジでする場合や下茹でをしない場合、大根に味を染み込ませるのが薄くてもいい場合は30分程度で終わるからな。通常の授業時間でも完成は出来るんだよね。そんな事を思いつつ、内宮班の作業を見守る。


 じっくり丁寧に20分ほどかけて大根の下茹でと鮭かまの臭みとりを終わらせたら、いよいよ調理開始。とは言っても、大根と水洗いした鮭かまを調味料を入れた鍋で煮込めばいいだけ、なんだよね。

 というわけで、煮込んでいる時間は安中先生の授業となっております。俺達の班は竹串で大根の芯まで柔らかくなっているのを確認済なので、一旦火は止めている段階。


 そしてついに安中先生の授業が終わりに近づいた時間に、俺の炊飯器から勢いよく水蒸気が出始めて調理室内にお米の炊けるニオイが充満する。恨めしそうに俺達のほうを見ても、ごはんはあげないぜ!それと同時に止めていた鍋に再び火をつけて温める。


 安中先生の授業が終わったら。

「ねえ内宮。この大根の葉っぱ、どうするの?」

「これから“ふりかけ”作るからさ、鮭かま大根を雪華以外の女子組で盛り付けてもらってもいい?」

「了解よ」

 鳳来さんに依頼する。

「雪華は全員分のごはんをお願い」

「うん」

 そして俺は、ウチでは大人気の大根葉とちりめんじゃこのゴマ油炒めを作る。

「厳さん、悪いけど多澤先生を呼んできてくれるか?」

「よっしゃ」


 厳さんに呼んできてもらった多澤先生に試食してもらう。前回の餃子の時と同様、撮影をしてからだけどな。

「なるほど、これが鮭かまを使用した場合ですか。(ぶり)かまなら作った事はありますが、これは盲点でした。美味しいです」

「「「「「やった」」」」」

 よし!多澤先生とはハゼパで交流はあるけれど学校内では触れてないし、ここでは先生と生徒の立場だからな、嬉しいぜ。と、ここで蔵持先生と安中先生も到着する。安中先生は一旦職員室に行ったので戻ってきた感じだな。


「内宮君。首尾は?」

「バッチリです。炊飯器持参でホカホカごはんも用意したので召し上がって下さい」

 そう言って、鮭かま大根にごはん、大根葉とちりめんじゃこの炒め物が乗ったトレーを蔵持先生と安中先生に渡す。

「では、いただきましょう」

 そう言って作業していない場所に行き、安中先生と一緒に食べ始める蔵持先生。


「じゃあ、俺達も多澤先生の評価も終わったし食べようぜ」

「「「「「いただきまーす」」」」」

 みんなで食べ始める。大根の下茹でをしっかりやったから、エグみの無い味が染み込んだ大根になっている。鮭かまも脂がのってていい感じだ。女子組からも。

「おいしー」

「ごはんがすすむね」

「大根の葉っぱを炒めたやつも美味しいよ」

 などの声が聞こえてくる。

 結果として、雪華以外の女子もごはんをおかわりしたし、蔵持先生と安中先生もおかわりに来たので炊飯器で炊いたごはんは全て無くなりましたとさ。8合じゃ足りなかったかもしれないな。

 そして、午後の授業でも午前同様にイスの下に置いた炊飯器は先生の注目を集めたのだった。


 〜後日、商店街の魚屋にて〜

「あんちゃん。最近、鮭かまの注文依頼が増えてんだけど何でか知らねぇかい?」

「あー。多分、調理実習の影響だよ」

 鮭かまを買った店を教えたからなあ。

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