表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/150

多肉植物即売会

 学校では文化祭の熱気も冷めていつもの日常が戻ってきた。一応、球技大会が近々あるんだけれどクラス対抗というよりも部活対抗や学年対抗といった雰囲気らしい。出場も任意での参加みたいだけど、教室にいるのはNGで応援なり大会に参加するなりしないと駄目とのこと。この曖昧さが一番面倒臭いと感じるのは俺だけだろうか?


 今日は雪華が楽しみにしている多肉植物の即売会がある。そろそろ出かける時間なので階段下から二階にいる雪華に声をかける。

「雪華〜、準備できたか〜?」

「いま行く〜」


 少ししてオシャレに気を使いつつ動きやすい格好をした雪華が降りてきた。うん、今日も可愛い。俺はというと、雪華が選んだ服を着ている。オシャレ男子以外は普通ならデート服は悩みのタネかもだけど、デート相手が同じ家にいるんだから楽だよな、と雪華と出かける(たび)に思うよ。


 そんなこんなで電車に乗って会場の最寄り駅に到着。改札を出たところで。

Olen innoi(  ワクワクしてきた)ssani」

 と若干興奮気味の雪華。

「それじゃ、行くか」

 手を繋いで会場へと向かう。その道中で。

「なあ雪華?こうして出かける時は、ペアリングをいつもしているだろ?そろそろ学校にもして行かないか?」

「う〜ん。正直言うとね、必要ないかなって思うんだ。下手にペアリングをしていくと悪目立ちしそうで嫌なんだよね」

「なるほどね。雪華が嫌な空気を感じるならヤメとくか。二人で出かける時はいいんだろ?」

「デートの時はもちろん、いいに決まってるじゃん」

 そう言って手繋ぎから腕を組む格好に変えた雪華だった。


 会場に到着して、物色を開始する。

「通販もいいけど、やっぱり実際に見て購入するのがいいよね」

「だな。状態を自分の目で確認できるもんな!」

 と、ここで珍しい種類を発見する。

「雪華、雪華。これ、雪華が探していたコノフィツムの種類じゃないか?」

「本当だ!値段は…うん、大丈夫、買える」

「よかったな」

paras(最高)

 その後も、コノフィツムに似たリトープスやウサギのシルエットに似たかたちのモニラリアとかも購入してニッコニコの雪華を見ていると俺も嬉しくなる。俺も誘惑に負けて雪華が購入したのに比べると高価なハオルチアの万象を購入してしまった。


 帰り際に雪華はコノフィツムとリトープスの種子を購入していた。発芽まで数日から数年とバラつきがある上に開花となれば、俺達が結婚したり子供が産まれたり、その子供が入学したりといった長い年月がかかる可能性もある。でも、自分だけが所持しているオンリーワンにもなるんだよね。

 雪華との子供かあ、銀の髪色は遺伝するのかな?そんな事をふと思い、雪華の髪をマジマジと見てしまった。

「どしたの、ひろ君。あたしの髪に何かついてるの?」

「いや、俺達の子供って雪華の髪色は遺伝するのかなって思ってさ」

「何でそんな思考になるのよ」

「ほら、雪華が種子を買っただろ?それが開花する頃には俺達に子供がいるのかな、と思ってさ」

「んもう」

 少しだけ顔を赤くした雪華と恋人繋ぎをして最寄り駅へと向かう。


 じっくり選んでいたので、自宅のある最寄り駅に到着した頃には薄暗くなっていた。

「荷物があるけど、商店街で晩飯のオカズ買うから付き合って」

「うん。今日は何にするの?」

「魚屋さん次第かな」

 というわけで商店街へと来た俺達は。


「大将、まいど〜」

「おう!あんちゃん、今日はなんだ?」

「鮭かまか(ぶり)かま、ある?」

「鮭かまなら四つあるぜ!」

「よっしゃ!じゃあ鮭かま四つと鮭の切り身を七切れお願い」

「おうよ!今日は何にするんだ?」

「鮭かま大根にするよ。ウチはぶり大根よりさけ大根派だからさ」

「くうっ!美味そうだな」

「だろ?はい、お代」

「毎度あり!」


 次に向かった八百屋で大根を購入したんだけれど立派な葉つき大根だったので。

「大将、ちりめんじゃこ、ある?」

「あるぞ」

「じゃあ2パック頂戴」

「あいよ。もう忘れ物は無いか」

「大丈夫!それじゃあ、またね」

「気ぃ付けて帰れよ!」

「うん!」


 帰宅した俺達は雪華は購入してきた多肉植物を棚に置くために自室へ。俺も数点購入したやつを飼育部屋に置いたあとにキッチンへ。

 先に鮭かま大根を作って大根に味を染み込ませよう。作り方はぶり大根のレシピのぶりを鮭にするだけだから、難しいことは無い。


 大鍋で鮭と大根を煮ながら、今度はフライパンにゴマ油を入れてザックリと切った大根の葉をシナシナになるまで炒めてから、ちりめんじゃこを投入して軽く炒めたら完成の炒め物だ。


 大根葉とちりめんじゃこの炒め物は家族全員の好物だし、鮭かま大根も大根に味は染みてるし鮭かまも脂がのって美味いしで最高だ!

 雪華も小学生時代に俺と一緒に食べていたし、雪華の母親の雪江さんに母さんがレシピを教えていたから知っているので、ごはんをおかわりしながら食べている。


 今は寒ぶりの時期だから、今度はぶりの照り焼きにしようかな。使用するのは天然じゃなくて養殖だけどさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ